ディズニーピクサーによる記憶に残らないオリジナルストーリー。新しい話のようで、マニュアルに沿っただけの手抜き映画です。27点
2分の1の魔法のあらすじ
かつて世界には魔法が溢れていた。しかし魔法を使うことは容易ではなく、妖精たちはいつしかテクノロジーに頼るようになり、自然と魔法を使わなくなっていった。
すっかり近代化が進んだ世界で、エルフの少年イアン・ライトフットと彼の兄バーリー・ライトフットは若者らしく青春時代を送っていた。
16歳の誕生日を迎えたイアンは、学校の友達をパーティーに誘うつもりだったが、恥ずかしくてできなかった。彼は内気で、コミュニケーション能力に欠け、自分のやりたいことをなかなか実現できないことに悩んでいた。
そんなイアンに、イアンが生まれる前に亡くなった父親のワイルデンが誕生日プレゼントを用意していた。母親ローレルはこの日のためにワイルデンに託されたといって魔法の杖を渡してきた。
イアンが手紙に書かれていた魔法を唱えると、なんとワイルデンが下半身だけ蘇ったのだった。
父親の上半身を蘇らせるには、魔法の宝石を手に入れる必要があったため、まだ見ぬ父と話すためにイアンは、兄のバーリーと共に宝石探しの旅に出ることにする。
彼らに与えられた時間は24時間。果たしてイアンとバーリーは日が沈む前に父親の姿を見ることができるのだろうか。
2分の1の魔法のキャスト
- トム・ホランド
- クリス・プラット
- ジュリア・ルイス=ドレイファス
- オクタヴィア・スペンサー
2分の1の魔法の感想と評価
「モンスターズ・ユニバーシティ」のダン・スキャンロン監督による、亡くなった父親と再会するために旅に出る兄弟の家族愛ドラマ。
片親のいない主人公が成長し、精神的に自立するまでを描いた、毎度お馴染みのディズニーの型にはまったワンパターンなストーリーで、視聴者受けする新しいキャラクターやファンジーの世界を創り上げることに成功したとはいいがたい映画です。
まず、世界観がいけませんね。魔法のある世界にしては、大した魔法が出てこないし、エルフやケンタウロスやドラゴンの住む近代的な町という設定にはアイデア不足を感じます。
なぜならキャラクターの外見こそ、妖精や神話上の生き物にしているものの実情はただの人間だからです。
住人は車を運転したり、仕事をしたり、学校に通ったり、と普通の人間の生活をしているんですよね。いわば「ズートピア」の動物をちょっとだけファンタジーにしただけですよね。
「ズートピア」はまだ差別や偏見を描くのに動物が有効的だったけど、この映画ではそれぞれの生き物の特徴が出せていないので、別に人間でよくない?と思っちゃいます。
なにより主人公の兄弟二人が絵的にもキャラ的にも印象に残らないんですよね。なんでだろう。可愛くないから愛着が湧かないのかなぁ。また、見たいってならなかったなぁ。
今をときめくトム・ホランドを起用しても可愛くならないんだったら、もうなにしても無理なんじゃない?
特に兄貴のバーリーの役柄が寒かったですね。会話はほぼほぼ滑ってるもんね。お父さんとダンスするシーンとか冷や汗出たもん。
唯一、可愛かったキャラはオートバイギャングたちでしょうか。いかつい顔してるのに、小さくて羽が生えてるっていうのがちょっとよかったです。本当だったらああいうギャップをそれぞれの登場人物で作っていかないといけないんだけどね。
肝心のストーリーについても兄弟が魔法の石を探すために、散々あちこち行った末にまたスタート地点に戻ってくるっていう堂々巡り物語になっています。なによりアイテムありきで話が進んでいくのがダメダメですね。「スターウォーズ・スカイウォーカーの夜明け」みたいじゃん。
いわゆるマクガフィン(登場人物への動機付けや話を進めるために用いられるプロット・デバイス)頼りのストーリーなんですよね。魔法の石を見つけるためには、まず石のありかを示す地図を探さないといけなくて、地図を見つけるためには、山奥のレストランに行かないといけない、といった具合に話をつないでいく手法が大分手抜きです。
死んだ家族に会いたい、というプロットももういい加減にしようよ。なんでもダン・スキャンロン監督自身が早くに父親を亡くしたらしく、彼の体験や思いが込められているそうなんですが、それならそうともっと気持ちのこもった話にしてもらいたかったですね。
下半身だけしか見えない、死んだお父さんと兄弟が一緒に旅をするっていう展開が悪趣味だよね。
挙句の果てには息子たちがお父さんに犬のリードを付けて連れ回してるからね。お父さんのこと大好きです、大切です、会いたいですっていう人の発想じゃないでしょ。あんなことしちゃ、ダメだから。
息子たちはお父さんに会いたいの一心だったけど、あんなに色んなところに連れて行かれるお父さんからしたらたまったもんじゃないよね。
邦題が「2分の1の魔法」なのは、体の半分しか見えないお父さんのことを指しているんですが、ストーリーにこれと言った決め手がないから、こんな邦題になったんでしょう。
これはタイトルを付けるのにかなり苦労したと思いますよ。そもそもオリジナルタイトルのOnward(前進)がいまいちピンと来ないしね。
ちなみに僕の住むブラジルでは、「二人の兄弟:ファンタスティックジャーニー」みたいなタイトルになっていて、それぞれの国がタイトル付けで迷走しているのが分かりますね。
それだけ内容がインパクトに欠け、掴みどころがないっていうことなんですよ。これを見ると、トイストーリーシリーズがいかに偉大だったか改めて気づきました。
コメント
劇場で見なくて済みそうです。
リメンバーミーもストーリーが説教臭くて駄目だったんですがピクサーも脚本家が枯渇してるんですかね。
最近の作品は脚本が上手く書けてないの多いですよね。ストーリーに捻りがないんですよね。
このレビュー、本当に読む価値なし。
何の参考にもならない