不条理とか、悲劇とか、絶望とかをただアピールするだけの退屈極まりない駄作。起承転結がなく、メッセージ性ゼロです。16点
凪待ちのあらすじ
郁男と亜弓と亜弓の連れ子の美波は、亜弓の実家のある宮城県石巻に移住することになった。移住前の郁男は競輪や酒に溺れていた。
しかし引っ越しをきっかけに印刷会社で働き、酒やギャンブルから足を洗うはずだった。
ところがある晩、美波が母親と口論になり、家を出たきり帰ってこなくなった。郁男と亜弓が辺りを探しに行くと、今度は郁男と亜弓が車内で口論になってしまう。
カッとなった挙句、郁男は亜弓を車から降ろすと、そのまま亜弓は帰らぬ人となってしまった。何者かによって殺害されたのだ。
亜弓を失くした郁男は居場所を失い、自暴自棄になり、酒と競輪にまた溺れていく。
凪待ちのキャスト
- 香取慎吾
- 恒松祐里
- 西田尚美
- 吉澤健
- 音尾琢真
- リリー・フランキー
凪待ちの感想と評価
「止められるか、俺たちを」、「孤狼の血」、「凶悪」、「彼女がその名を知らない鳥たち」、「牝猫たち」、「日本で一番悪い奴ら」、「サニー/32」、「ひとよ」などで知られる、やっつけ仕事しかしなくなった白石和彌監督による、ジャニーズを主人公とした、なにが伝えたいのかよく分からないサスペンスドラマ。
とりあえずバイオレンスを入れておけば、怖くて、エグくて、なんとなく格好いい映画が撮れると思っている人が作った映画です。
キーワードはギャンブル、やくざ、殺人、震災、そして血縁関係を超えた家族の絆です。
震災ネタを入れておけば、悲劇が作れると思っているところがまず安易だし、殺人事件が中心になると思いきや、大した展開もオチもないし、結局のところは香取慎吾がこれまでのイメージと違う役をこなしているところを、「どうよ、こんな慎吾ちゃん、見たことないでしょ?」ってどや顔で言いたいだけです。
香取慎吾が悪役を演じたと聞いていたんで、てっきり「ヒメアノール」の森田剛並にぶっ飛んだ役をやったのかなぁと思ってたら、終始不愛想にぶすっとしてただけじゃないですか。あんなのを話題にするなよ。
だいたい香取慎吾扮する郁男のキャラに思い切りがないのがこの映画の最もつまらない点ですね。
ゴリゴリの悪党にすればいいのに、いい者でもなければ、悪者にもなりきれない、ただのクズじゃあ、どこにも魅力がないんですよ。あいつにどう共感しろっていうんだよ。
クズならクズなりの魅力を出せればいいけど、出せてないし、なにより人の金をギャンブルにつぎ込む男に周囲の人々があれだけ協力的なのが意味不明でした。あんな奴が田舎町に来たら、即村八分だろ。
そのくせ郁男が「俺の金返せー」って血相を変えてやくざの事務所に乗り込むんですよ。まず、お前が返せよ。あいつ、アホだろ。
「俺がいると悪いことが舞い込んでくる」ってお前がトラブルを引き起こしてんじゃん。それに気づいてない時点でやばいな。
また、とりあえずポンコツ郁男に喧嘩させておけば、迫力出るでしょ?的な演出になっているのが嫌ですね。会社での喧嘩、祭りでの喧嘩、やくざとの喧嘩のいずれにも必然性がなかったです。
必然性といったら、亜弓が殺される下りも必要かどうかといったら疑問が残りますね。
警察の捜査の様子を深堀していくならまだしも、郁男が起訴されて濡れ衣を着させられるわけでもなく、あっさり新犯人が見つかったかと思ったら、殺人の動機や逮捕後の犯人の動向にはほとんど触れないっていうのが笑えます。
そのくせキャッチコピーが「誰が殺したのか? なぜ殺したのか? 愛という名に隠された事件の真相とは?」ってふざけんなよ。
殺す理由が全くないじゃないですか。好きだから殺したの?なんだそりゃ。そんな思考回路の奴だったら、あの年齢になるまでに何人も殺してるって。片思いの相手を片っ端から殺して来たとかならまだ分かるよ。
それにバイオレンスを売りにしてるくせに死体はちらっとしか見せないって腰抜けかよ。どうせリアルな絞殺死体を作れないんでしょ?
そうじゃなしに酔っぱらいの喧嘩繰り返し見せられてもね。ユーチューブで見るよ、そんなの。
一つ一つのエピソードが辻褄が合ってないから、ストーリーがつながっていかないんですよね。どうせストーリー性もなく、中途半端な話題性とバイオレンスで売る気なら、香取慎吾のほかに木村拓哉も出演させないと。
それで二人に喧嘩させたらいいじゃないですか。「ちょっと待てよ」とか言いながらさ。そっちのほうがずっと盛り上がると思うけどなぁ。
いやあ、それにしても落ちましたね、白石和彌監督。完全に三池崇史、園子温路線を行っていますね。とにかく断らないで、人気があるうちにたくさん映画作っておけ路線ね。
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