安っぽい演出に埋め尽くされた感動狙いの恋愛ドラマ。誰がこれを見て泣くよっていう映画です。マイナス25点(100点満点)
世界にひとつのプレイブックのあらすじ
妻が浮気したことで心のバランスを保てなくなり、仕事も家庭も全て失ってしまったパット(ブラッドリー・クーパー)は、近くに住んでいるティファニー(ジェニファー・ローレンス)と出会う。
その型破りな行動と発言に戸惑うパットだったが、彼女も事故によって夫を亡くしており、その傷を癒やせないでいた。人生の希望を取り戻すためダンスコンテストに出ることを決めたティファニーは、半ば強制的にパットをパートナーに指名する。
シネマトゥデイより
世界にひとつのプレイブックの感想
「ジョイ」、「ザ・ファイター」、「アメリカン・ハッスル」などでお馴染みのデヴィッド・O・ラッセル監督による2013年のアカデミー賞ノミネート作品。
「ハッシュパピー ~バスタブ島の少女~」のことを同年の作品の中でもおそらくワースト1位だといいましたが、それをはるかに超える代物がこれです。
おそらく感のいい人は、この邦題を聞いただけで、嫌な予感がしていると思います。「世界にひとつ」と聞くと寒気がするのは僕だけではないはずです。「世界にひとつ」と言われるとそれだけもう安っぽく、嘘臭く、いかにもそこら中にころがっていそうな印象を受けるのです。
この映画もいかにもそこら中にころがっていそうな凡作でした。ストーリーは共に大切な人を失い、心に病を抱えるパットとティファニーの交流に重きを置いていますが、低能で、アホで、幼稚で、それでいてお喋りという端迷惑な二人のやり取りに2時間付き合える人はよっぽど心の広い人か、カウンセリング関係の職業に就いている人かのどちらかでしょう。
アメリカを代表する空気の読めない、痛すぎる男女をぜひ見てみたい、という人がいたら鑑賞したらいいと思います。
あなたがもし浮気をした妻と別れ、職を失い、精神に異常をきたしたとしましょう。しかしかといって夜中に急にヘミングウェイの小説の内容に激怒し、寝ている両親の寝室に小説の内容について文句を言いに行ったりはしないはずです。
レストランに行ってコンフレークと牛乳を注文しないでしょう。ゴミ袋をかぶって近所にランニングには行かないと思います。そしてなにより精神に異常をきたしているときに、精神に異常をきたしている女とわざわざ付き合わないでしょう。
頭のおかしい二人がくっついてさらに二人とも破滅の道に行くならまだ分かります。それがこの映画ではどんどん正常へと、幸せへとのぼりつめていくのです。
この映画の見せ場は家族同士の言い合い、男女のケンカ、警察沙汰と反抗期の中学生のような出来事で埋め尽くされ、そのいずれも必然性がまったく見当たりません。
そしてパットとティファニーの二人の距離を縮めるのがダンスって。あまりにも発想がおそまつでしたね。二人のダンスのレベルも、演技も普通でいいところなし。
なにより一番信じられないのはこの映画がオスカーの作品賞だけでなく主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞の各部門にノミネートしていることです。もういっそのこと全部この作品にあげたらいいと思いますね。どうせそのぐらいの価値しかないんだからアカデミー賞なんて。
ーー追記ーー
結局、ジェニファー・ローレンスが主演女優賞を受賞しちゃいましたね。嘘だろ?
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