テレビ局のワンマン社長が女性問題で失脚していく様子を描いたエンタメセクハラドラマ。特別面白い話ではないけど、実際にあった出来事として、十分に見れる映画にはなっています。58点(100点満点)
映画スキャンダルのあらすじ
アメリカの人気ニュース専門放送局FOXニュースでは、CEOのロジャー・エイルズが絶対的な権力を握っていた。
FOXニュースの人気キャスターのメーガン・ケリーは、2016年の共和党大統領候補のディベートを担当し、女性蔑視の発言を繰り返してきたドナルド・トランプに鋭い質問を飛ばし、たちまち話題となった。
ところがその報復として、ドナルド・トランプから嫌がらせのツイートをされたり、休暇中にパパラッチを送られたりと、プライベートを脅かす出来事でストレスを抱えることになった。
一方、もう一人の人気キャスター、グレッチェン・カールソンは、CEOのロジャー・エイルズから目を付けられていた。度重なるセクハラを受けていた彼女はある日、人気番組を降板させられ、マイナーな番組に異動させられると、弁護士を通じてロジャー・エイルズを訴える準備を着々と進めていた。
そしてある日、グレッチェン・カールソンは首になったのをきっかけにロジャー・エイルズをセクハラで起訴した。それを知ったメーガン・ケリーも声を上げようがどうか迷っていた。実はメーガン・ケリーもかつてロジャー・エイルズからセクハラを受けていたのだ。
社内にもほかに被害者がいるかもしれなかった。しかし誰もがロジャー・エイルズを恐れて決して口を割ろうとはしなかった。
映画スキャンダルのキャスト
- シャーリーズ・セロン
- ニコール・キッドマン
- マーゴット・ロビー
- ジョン・リスゴーケイト・マッキノン
- コニー・ブリットン
- ケイト・マッキノン
映画スキャンダルの感想と評価
「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」、「ミート・ザ・ペアレンツ」などで知られるジェイ・ローチ監督による、実話ベースのセクハラ訴訟ドラマ。
FOXニュースの創立者であり、CEOのロジャー・エイルズがいかにして権力を振るって女性キャスターたちを食い物にしてきたのかをつづった衝撃の物語です。
男からすると、冷静に見てられるけど、もしかすると一度でもセクハラまがいのことをされた女性からしたら、苦い記憶が蘇ってくるつらい映画になるかもしれません。
いまやテレビで人気キャスターとして活躍する女性たちが、かつてはそのポジションに上り詰めるために、CEOのロジャー・エイルズのセクハラに耐え、ときには性的に奉仕させられてきた、という気持ち悪い話で、FOXニュースに限らず、芸能界ではさもありそうな出来事ですね。
子供たちに夢を売る会社ディズニーピクサーですら、創設者のジョンラセターが社員にセクハラしまくってたそうですからね。
映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインなんて性的暴行まがいのことを繰り返していたみたいだし、華やかさの裏側には必ずこうした闇があるというのがなんとも人間社会らしいです。
ロジャー・エイルズの場合は、社長室に女性スタッフを呼び出し、密室でやりたい放題していたみたいで、マーゴット・ロビー扮する、出世意欲の強い若手社員カイラはスカートを持ち上げろと言われて断れなかったことが暗示されていましたね。
ロジャー・エイルズの社長室には彼専用のエレベーターまで備わっていて、その理由も女性たちが彼の部屋から出て行く姿をほかの誰かに見られないようにとも噂されているほどで、自分なりに一連のセクハラ行為を隠そうとしていたのが分かります。
彼の手口はいつも出世か、あるいは左遷か首かを天秤にかけて、女性を利用するというもので、どうしてもこの世界で生きていきたいと願う多くの女性が断れずに被害に遭ったもようです。
ロジャー・エイルズがまたいかにもすけべジジイといった風貌で、足が悪く、歩行器を使って歩いているぐらい体が弱いのに、性欲だけは絶倫というのが余計に気持ち悪いですね。
一見、ゴリゴリのフェミニストっぽいメーガン・ケリーまでなかなかセクハラの被害を言い出せなかった、ということが事件の悪質性を物語っています。
ドナルド・トランプには女性蔑視の発言を猛抗議できるのに、自分の会社の社長には到底歯向かえない、というのも皮肉な話です。
強そうに見える女性でも、被害を公表することによって、様々な偏見にさらされることから言わないほうが得策だと思ってしまい、またそれによって別の被害者を増やしてしまう負のスパイラルに陥っていましたね。あの辺の心境はセクハラ被害にあった女性にしか分からない部分かもしれません。
男の僕からすると、ついつい「断ればいいじゃん」って簡単に思いがちです。でもCEOとの関係性がどんどん強くなっていくにつれて、社内で大きな責任を課され、断れない状況が生まれてしまう、というのはなんとなく想像ができますね。美人は美人でどこにいても常に性的な対象とされるから大変ですよねぇ。
ふと、思ったのは加害者の男のセクハラ行為がこうして映画化されることについて、被害者女性はどういう気持ちになるのかぁ、ということです。
加害者が世間に晒し者にされることによって、少しは救われるのでしょうか。それともつらい記憶が蘇ってくるのでしょうか。まだ、闇に葬られるよりはましなのかな。日本もどんどんこういう映画作ればいいのに。例えばジャニー喜多川とかで。
さて、キャスティングは、シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビーとハリウッド界のイケイケ女優三人を集めていて、彼女たちの共演はなかなか見ものでした。
ただシャーリーズ・セロンとニコール・キッドマンの絡みがほとんどなく、もしかすると、仲が悪いのかな、なんて勘繰ってしまいました。
ちなみにこの映画で、シャーリーズ・セロンとマーゴット・ロビーがアカデミー賞にノミネートされていますが、特にマーゴット・ロビーのセクハラを受けたときにする表情はリアルで、目を見張るものがありました。
ほかにノミネートしている女優にそれほど目立った人がいないというのもあるけど、、もしかするとがマーゴット・ロビーが受賞するかもしれませんね。
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