元ネタは素敵なのに、俳優と監督がぶち壊している作品。話の膨らませ方が下手すぎです。38点(100点満点)
今日も嫌がらせ弁当のあらすじ
八丈島で暮らすシングルマザーの持丸かおりは次女の双葉と二人暮らしをしていた。子供の頃は仲良しだった次女も年頃になり、反抗期を迎えていた。
双葉はほとんど母のかおりと話してくれず、大事なことは携帯のメッセージで伝えてくるほどコミュニケーションが取れていなかった。
そんな次女に対して、かおりは彼女が嫌がるキャラ弁を作ってささやかな復讐をすることに。態度を改めるまでかおりは毎日でも次女の嫌がるような弁当を作って高校に持っていかせた。ところがやがてかおりの作る弁当は学校で話題となっていく。
今日も嫌がらせ弁当のキャスト
- 篠原涼子
- 芳根京子
- 松井玲奈
- 佐藤寛太
- 岡田義徳
今日も嫌がらせ弁当の感想と評価
「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」の塚本連平監督による、人気ブログを基にした家族ドラマ。
クオリティー的にはだいぶ低く、脚色や感動狙いの演出が多々見られますが、元ネタのおかげで、大分助けられている映画です。
物語は、夫を亡くしたシングルマザーのかおりが一緒に暮らす高校生の次女双葉との親子の交流を描いていきます。
反抗期の娘と母はほとんどコミュニケーションが取れず、娘は母から話しかけられてもうんともすんとも言わないような態度で毎日を過ごし、母はそれに腹を立てます。
そしてなにか仕返ししてやろうと思いついたのが、いやがらせ弁当という名の愛情のこもったキャラ弁だったのです。
かおりの作るキャラ弁は、芸能人の顔やセリフを海苔やチーズでかたどったり、かなり手の込んだお弁当で、学生時代に弁当を食べていた人、あるいは今まさに食べている人なら、なにかしらの感情を呼び起こす共感しやすいテーマになっています。
僕の場合、あんなに手の込んだ弁当を作ってくれるお母さんがいることに対する嫉妬と憧れと羨ましさがごちゃ混ぜになりました。
そういえば僕の同級生にもキャラ弁とか、ウィンナーがわざわざタコの脚になっているような可愛い弁当持ってい来る奴がいましたよ。女子生徒だけじゃなくて、男子生徒でもそういう奴いたもん。
そういう生徒のお母さんってやっぱり見るからに優しそうで、かつ料理も好きでやってるんでしょうね。
それにつけてうちのお母さんはこの映画の主人公のようにシングルマザーで子育てと仕事の両立に大変だったのは同じだけど、弁当はまあ手抜きだったからね。
一度、白いご飯の上に焼いたナスが一本置かれてるだけの弁当とかあったもん。もちろん友達に見せれないから隠れて食べたよ。おかずなんて何種類もなかったし、そもそも弁当箱にぎゅうぎゅうに食べ物が入ってなくて、いつもスカスカだったからね。
だから次女の双葉を見ると、お前そんなにちゃんと作ってもらったのに、なんだその態度は!ってなりますね。あれを毎日作ってたってお母さんすごいよ。愛情でしかないじゃん。でも年頃のときって娘はそんなことも分からないもんですよね。女同士対抗してしまうっていうのもあるだろうし。
この映画はキャラ弁というテーマを通して、ふと学生時代のことや親子の思い出などが蘇ってきますね。誰にでも通じる物語だし、登場人物と自分を重ね合わせることも容易にできるでしょう。
その一方で「お母さんが娘にキャラ弁を毎日作っていた」といういい話以外に話を膨らますことに成功しているとはいえないです。
なんだったら1時間で終われる話だし、サブストーリーはだいたい話を盛っているか、フィクションかのどちらかでしょう。
せっかくのいい実話なのに、作り話を混ぜた途端に安っぽくなるのが邦画の悪いところですよね。娘の部屋の襖を燃やしたとか、卒業式の直前に母親が倒れて入院したとか、そういうしょうもない嘘を入れないでもらいたいんですよ。
シングルファザーのエピソードいります? 二人が恋愛関係になるとかならまだしも、結局交わることもなく終わっていくっていうね。
それよりもっと八丈島のゆるい暮らしとか、習慣文化とか、あるいは親子の内面を描いていけばいいのにすぐ安易に感動狙いに行くのがダメですね。
卒業式で双葉が学校に持って行った弁当もでかすぎだから。絶対あんな大きな弁当作ってないでしょ?実際のサイズより10倍ぐらい盛ってるじゃん。
こうやっていい話が変形していっては、汚されていくのが残念でなりません。あと、篠原涼子の演技はどうにかならないんでしょうか。卒業式のあの弁当より嘘っぽい演技するなよ。
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