特に大きな笑いがあるわけではない微妙な路線を行くコメディードラマ。ベニチオ・デル・トロの熱狂的なファンが見ればいいやつです。50点(100点満点)
ロープ 戦場の生命線のあらすじ
ユーゴスラビア紛争停戦直後の僻地で国際援助活動家のマンブルー、B、ソフィー、ダミールの四人は井戸で発見された男の死体を引き上げようと奮闘していた。
ところが男がぶくぶくに太っていたため、ロープはあっけなく切れてしまう。仕方なくマンブルーたちはもっと頑丈なロープを探しに行くが、道中で少年ニコラがほかの子供たちからいじめられているところに遭遇する。それを機にマンブルーはニコラを保護し、一緒に車に乗せて行動することに。
地元の商店はロープを国際援助活動家たちには売りたがらなかった。すると、ニコラが自分の家に行けばロープがあると言い出し、マンブルーたちはニコラの家に向かうことにする。
ロープ 戦場の生命線のキャスト
- ベニチオ・デル・トロ
- ティム・ロビンス
- オルガ・キュリレンコ
- メラニー・ティエリー
- フェジャ・ストゥカン
- セルジ・ロペス
ロープ 戦場の生命線の感想と評価
フェルナンド・レオン・デ・アラノア監督による、ユーゴスラビア紛争後の混乱をコミカルに描いたスペイン製作のコメディードラマ。
登場人物たちによる会話や微妙な間を楽しむ映画で、何か起こりそうで、特に何も起こらない一日を皮肉とブラックユーモアを込めてつづった作品です。
ラストに一応ささやかなオチを用意しているものの、そこにたどり着くまでがそれほど面白いかといったら可もなく不可もなくといったところですね。
ふふふと笑える場面はいくつかあるけれど、爆笑するタイプのコメディーじゃないし、そもそも紛争直後の緊張感が強いのでユーモアが成立しずらいような雰囲気があります。
かといってシリアスな戦争ドラマになっているかというとそうでもなく、中途半端な路線を行っていますね。
また、全体的にテンポが悪く、話が堂々巡りになっている印象もありますね。井戸の死体を一体どうするかをめぐって国際援助活動家たちがあっちに行ったり、こっちに行ったりして結局解決策を見いだせない様子をわざわざ一本の映画にする必要があるのかどうかは疑問に思いました。
それとどこかベニチオ・デル・トロの渋さだけに頼っているようなところがありますね。
実際渋いし、格好いいんだけど、いつにも増して不自然に格好つけていたのが気になりました。特に無線を使うシーンは、とんでもないスケベな顔してますね。
そんなに緊張状態とかでもないのに、こんな顔しなくもよくない?
もうどうせならロバート・レッドフォードとクリント・イーストウッドも出演させて、みんなで寄ってたかって正義感アピールしながら渋い顔させたらいいじゃないですか。
ベニチオ・デル・トロが演じるマンブルーと美女を絡めて色恋沙汰を演出して色気を出そうとしていたのも安易な演出でしたね。
なにより紛争地帯の活動家たちがあんなに色気ムンムンのダンディーなおじさんたちと美女たちばかりのわけねえだろって話じゃん。活動家同士でくっついたり、離れたりしてるってテラスハウスかよ。
こんな子ばかりだったらみんな国際援助活動するって。
実際、物語の中で男女の間に何かあるならまだしも、あくまでも会話の中で盛り上がっているだけで誰もやらないし、大学生の恋愛話聞かされてるのとあんまり変わらなかったです。
「プライベート・ウォー」の女ジャーナリストなんて紛争地帯でがんがんやってたのにお前らなにしてんだよって。
つまるところ誰もやらないし、誰も死なないし、誰も何も解決せずに終わっていくメリハリのない映画だったなぁ、というのが正直なところです。もっと地雷とか銃撃戦とかできたでしょ。
それでも不思議と最後までは見れちゃうんですよね。やっぱり俳優たちひとりひとりのレベルが高いから絵になっちゃうんでしょうね。
コメント