有名女優を起用した割には、話題性も完成度もいまいちな作品。全然怖くないです。21点(100点満点)
グレタGRETAのあらすじ
ニューヨークに友達と住んでいるフランシスは母親を亡くしたばかりで、父親とも疎遠になっていた。
そんなある日、フランシスは地下鉄で女性もののバッグを見つけ、中に入っていた持ち主の所持品から住所を見て、直接届けに行くことに。
すると、そこには娘と離れニューヨークで一人で暮らすフランス人女性がいた。彼女はグレタと名乗った。グレタは夫を早くに亡くしたそうだった。
お互い愛する家族を失った者同士、フランシスとグレタは意気投合した。フランシスはグレタに母性を感じ、グレタはフランシスを自分の娘のように扱った。
ところがあるとき、フランシスはグレタの家の棚から彼女が拾ったバッグと同じバッグが複数保管されているのを目撃する。
グレタは、わざとバッグを置き忘れ、親切に家にまで届けてくれるターゲットを探していたのだった。
グレタGRETAのキャスト
- イザベル・ユペール
- クロエ・グレース・モレッツ
- マイカ・モンロー
- コルム・フィオール
- スティーヴン・レイ
- ゾウイ・アシュトン
- グレアム・トーマス・キング
- パーカー・ソーヤーズ
グレタGRETAの感想と評価
イザベル・ユペールとクロエ・グレース・モレッツが共演した、「俺たちは天使じゃない 」でお馴染みのニール・ジョーダン監督によるホラー映画。
ニューヨークを舞台に頭のおかしいおばちゃんが若い女の子にストーカー行為を働き、やがて監禁するサイコパス系の恐怖ストーリーです。
予告動画で見るとなかなか怖そうだし、面白そうなのに本編はかなり期待外れで、登場人物の少なさや変わり映えのしないシーンのせいで途中で飽きてしまう作りになっていました。
物語の中で重要な出来事が起こるのはヒロイン、フランシスの家か、職場のレストランか、サイコパス、グレタの家の3か所ぐらいです。それらのロケーションを何度も使い回しているせいで、あまりお金をかけてない感じが吐露していますね。
低予算ホラーでも工夫をすれば飽きさせないことも可能ですが、この映画の場合は安っぽさをカバーする特別な工夫も感じられなければ、視覚的、心理的恐怖を演出することにも失敗しています。
怖いのは、グレタがわざと地下鉄に自分のバッグを置いてきて、見つけた人と接触しようとする、というパートだけですね。
それ以外はグレタがフランシスにしつこく付きまとい、薬を飲ませて監禁するぐらいしか話の広がりがなく、実際あったら怖い話なのになぜかどうにも恐怖が伝わって来なかったです。
そもそもグレタがフランシスに執着するには、あまりにも二人に接点がなさすぎる、あるいは展開が早過ぎる気がしました。
だいたい大都会ニューヨークに家族と離れて住むような若者が、あれだけ年の離れたおばさんに強い興味を抱くかなぁ? フランシスは孤独だったといっても親友がいるんだし、母親を亡くしたから、という設定だけでは弱いんですよね。
グレタがフランス人のフリをする意味も分からなかったし、娘のエピソードも含めて背景描写がかなり雑です。
そもそもグレタは寂しいから獲物を探すのか、殺したい願望があるのかどっちなんですかね。もし寂しがり屋なんだったら、人質を殺しちゃったら意味ないじゃん。
なによりホラー映画なんだから暴力シーンがもうちょっとあっても良かったなぁ。小柄なおばちゃんが若い女の子にどれだけの恐怖を与えられるのか、というのがこの映画の見どころなんだから、その分ぶっ飛んでくれないと。ガムをペって吐いて相手の髪の毛につけるとか子供みたいなことされてもね。
力づくで争ったら明らかにおばちゃんと若いフランシスとではフランシスのほうに分があるでしょう。グレタが凶器をぶんぶん振り回すとかならまだしも、本気で戦ったらどうにでもなるだろって思ったせいか、フランシスが監禁されててもいつでも逃げられそうな雰囲気があったのもいけませんね。
いまいち怖さが伝わってこないのはフランシスを演じたクロエ・グレース・モレッツのさえないパフォーマンが原因の一つでしょう。
クロエ・グレース・モレッツ演じるフランシスは箱に閉じ込められたり、ベッドにくくりつけられたりして、完全に自由を奪われているのに、全然やつれていかないし、生きるか死ぬかの緊迫感をろくに表現できていませんでした。
クロエ・グレース・モレッツは「キック・アス」などの作品では光ってたけど、当時は子役としての可愛らしさのおかげで、ごまかされていた部分もあったんでしょうね。
演技自体は上手くないし、少なくともこの作品でホラー向きではないことがバレちゃいましたね。
コメント
そういや、映画男さんのレビューの基準って「脚本のツッコミどころの少なさ」と「俳優の演技」がメインなイメージですが、
「演出」あたりはあんま気にしてないですかね?
カメラワークやカット割りの良し悪しなどを語った記憶があまりないので。
(僕は演出や美術メインで評価するタイプです。アニメだと作画の枚数とかも)
演出気にしてますよ。大げさじゃないのが好みです。特に感動狙いの演出とかは嫌いです。カメラワークもアイデア溢れるのには興奮します。
大袈裟じゃないので思い浮かべたら、小津安二郎、木下惠介、溝口健二あたりかな?
古い作品の方が「ロングショット長回し」にこだわってるので。
逆に僕が好きな実相寺昭雄や深作欣二、市村混あたりの「奇をてらったカメラワーク」は好きじゃなさそう。(手ブレの多用、光と影の極端なコントラスト、アオリとフカンの多用 など)
市村混じゃなくて市川崑ですスンマヘン。
そういう、人物を見抜かず、いい人だと思って安心して近づいて、珍妙なことに巻き込まれるという、アメリカ映画でも日本の映画やドラマでもやたらと出てくる流れだと思いますが、私はそれが大嫌いです。そんなに簡単に人は人を信用しませんね。人は、人とは親しくなるべきで、そういう人が素晴らしい人である前提で、しかし距離感を間違えないのが賢い人で、人を疑わない良心の固まりみたいなのが、相手の魂胆も疑わず接近を許し、酷い目に遭う、みたいな、災難の起点をそこに持ってくる話ってのがダメです。わざわざトラブルに巻き込まれる、そこでバカなのに、後半は起点を利かし逆転する、そんな話はいらねえよ、始まりがバカなら終わりもバカだろ、まともな人物ならこんな話になってないぞ。となるので、ダメな話を作って稼ごうとしてる輩に腹が立ちます。
こんな愚か者に付き合えない、やられてしまえ。上映おしまい、こんな映画作るんじゃねえよボケ監督が!となってしまいます。
よってこれも、そこでまずダメですね。
そういうとこを教えてもらあるのでただ文句が好きですね。
クロエモレッツはヒットガールしか印象ないですね。
同じグレタなら国連で騒いでいたあっちのガキの映画作った方が面白そう。
何か最近「中国のひも付き」がバレちゃったけど。