アイデアはいいけど、2時間視聴者を楽しませるだけのネタと展開を用意してないホラー映画。怖くなかったです。30点(100点満点)
イン・ザ・トール・グラス・狂気の迷路のあらすじ
妊娠中のベッキーとカルの姉弟はサンディエゴに向けて車を走らせていた。途中、古い教会の前で車を停車させると、二人は草むらの中から少年の叫び声を聴く。
草は大人の背丈よりもはるかに高く、少年がどこにいるのかは分からなかったが、すぐ近くにいそうな感じだった。少年は迷ってしまって出られなくなった、とベッキーとカルに助けを求めた。
心配になってカルが草むらの中に入っていくと、道路に一人残されたベッキーも後を追って中に入っていく。
すると、二人はすぐにはぐれてしまい、少年を助け出すどころか自分たちが迷ってしまう。お互いの声は近くに聞こえるにどれだけ歩いても姿を見つけることがなかった。
イン・ザ・トール・グラス・狂気の迷路のキャスト
- パトリック・ウィルソン
- ライズラ・デ・オリヴェイラ
- ハリソン・ギルバートソン
- エイヴリー・ホワイテッド
- レイチェル・ウィルソン
- ウィル・ビュイエ・Jr
イン・ザ・トール・グラス・狂気の迷路の感想と評価
テレビドラマ「ハンニバル」で知られるヴィンチェンゾ・ナタリ監督によるホラー映画。原作はスティーブン・キングとジョー・ヒルの短編小説です。
迷路系ホラーとループ系ホラーをミックスした恐怖の物語で、アイデアは面白いし、最初の2、30分はそこそこ楽しめます。
一方で短編小説が元ネタということもあってか30分を過ぎた辺りでネタが尽きた感が吐露し始め、つまらなくなっていきます。
中盤から後半にかけて景色にも登場人物にも物語にもほとんど進展がなく、長編映画向きじゃないのが分かりますね。これは絶対短編映画にするべきでしたね。
物語は、草むらの中に迷い込んだ少年を助けるためにフィールドに足を踏み入れた姉弟が、不思議な力によって草むらの中に閉じ込められ、また彼らと同じよう迷った家族と遭遇し、次々と怪奇現象に襲われていく、という流れになっています。
自分より背丈のある雑草が生い茂る草原で、もし迷ってしまったら?というプロットはいいし、すぐそこに声がするのに歩いても歩いても声の主と会えない、という設定も悪くないです。
しかし死んだはずの登場人物がループ現象によって蘇るあたりから、このSF世界の中におけるロジックが崩壊し、緊張感がなくなりました。
草むらの中では複数の次元や時間軸が流れていて、草にかかれば現在、過去、未来を操ることも朝飯前、ということなんでしょうか。
それとも草むら自体が一つの生命体で、人間を誘い込み、人間のエネルギーを吸収することで生命を維持しているのでしょうか。
いずれにしてもホラー映画の登場人物(被害者)が死んでも生きかえるんだったら、死の恐怖から逃げまどう意味がなくなりますよね。ループホラーだったら、なおさらどうせまたスタートに戻るんでしょ?的な態度で見ちゃうし。
唯一、不気味だなあと感じたのは少年トビンのキャラですかね。最初に登場したときは泥だらけの顔に殴られたような怪我をしていたり、となかなか気持ち悪かったです。
トビン役の子役俳優がインパクトある顔をしてるし、ハリウッド映画って本当毎回不気味な少年少女をよく見つけてくるなぁ、と感心しちゃいました。
草むらの中を歩いていくと、大きな黒い岩が出てくるんですが、なんでもその岩に触れると、なんだかとっても気持ちいいらしく、頭から迷いが消え、マインドが開けるようになるんだそうです。
草むらで起きていることの秘密を知るにはその岩に触れないとダメだそうで、まんまと岩に触れた者は、なぜか狂暴になってほかの人たちを襲い始める、あるいは草むらの使者のような存在になる、というよく分からないオチになっていました。
どうもあの岩が草むらを支配している、というのは分かっても、それ以外の比喩的表現やファンタジーシーンは理解に及ばなかったし、理解したいと思うほど、好奇心をそそられませんでした。
また、草むらの前に教会があったことや登場人物がそれぞれ罪の意識を抱えてることや「redemption」というワードが何度も登場することからも、キリストの贖罪をテーマにしているような雰囲気もあって、「どう? キリスト教を引用してるから深いでしょ?」的な主張を感じてしまうのも嫌でした。
何がテーマであろうと、何が答えであろうと、この映画の最大の欠点は、どうあがいてもたかが草に対して大した恐怖を感じられない、ということに尽きます。
炎天下の中、草むらの中で迷ってしまうのは恐怖だけど、それだけだよね。だって草だもん。
コメント
スティーブン・キングというと、シャイニングやミザリーで焼き付いているから
どうしても観てしまうのですが、しょーもないのも多いですね。
ハリウッドはスティーブンキングに頼りすぎですね。