出身地差別を面白おかしく描いた、低レベルギャグコメディー。こんなの見て埼玉県K民は笑ってる場合じゃないよ。5点(100点満点)
翔んで埼玉のあらすじ
ある日、菅原家の両親と娘は、娘の結納のため車で会場に向かっていた。家族が車の中でラジオを聞いていると、埼玉に関する都市伝説ドラマが流れていた。
それは埼玉を解放した偉人、麻実麗の話だった。かつて東京では埼玉県人に対してひどい迫害が行われていた。
埼玉県人は通行手形を持っていないと東京に入ることが許されなかった。見つかれば即逮捕され、晒し者にされた。
そんな時代、東京の名門校、白鵬堂学院では出身地によってクラス分けがされていた。都心部出身の者たちからA、B、Cとランク分けされ、元埼玉県人が集まるクラスはZ組だった。Z組の生徒たちは校内でもゴミ扱いされていた。
ところが帰国子女の美少年、麻実麗はそんなZ組の生徒たちにも優しかった。一見エリートの彼は実は埼玉県人だったのだ。
麻実麗は、差別を受ける埼玉県人を解放しようと、通行手形制度の撤廃を目標に掲げ、埼玉解放運動を指導していく。
しかしそこに埼玉のライバル県である千葉も名乗りを上げ、埼玉と千葉が江戸川を挟んで全面戦争となる。
翔んで埼玉のキャスト
- 二階堂ふみ
- GACKT
- 伊勢谷友介
- 中尾彬
- 武田久美子
- 京本政樹
- 麿赤兒
- 益若つばさ
翔んで埼玉の感想と評価
「テルマエ・ロマエ」の武内英樹監督による、埼玉いじりを約1時間30分かけてぶっ通しでやる、ひどい企画。同名漫画の映画化です。
笑えるのは最初の10分ぐらいで、肝心のストーリーがつまらないので、最後まで見るには2、3回に分けて見る必要があります。
物語は、結納のために会場にまで車で向かっている家族の現実ストーリーと、その家族が聞いている都市伝説のラジオドラマのファンタジーストーリーの二重構成になっています。
現実ストーリーのほうはまだ見れるのにファンタジーストーリーが8割ぐらいの割合を占めていて、登場人物がギャーギャー騒ぐだけなので付き合いきれなかったです。
これをもし映画館で見たらと思てたらと思うと、冷や汗出ますね。だってGACKTの演技を見るのに1800円払うんでしょ? ありえないって。
確かに埼玉ポーズとか、サイタマラリヤとか、くだらなさで笑える箇所はありますよ。ローカルネタを理解しているかどうかによっても楽しめる度合いも変わってくるでしょう。
ただ、そういうギャグやあるあるネタって短いからいいんであって、30分超えたらしつこいだけなんだよね。ラストで流れる、はなわの曲が一番まとまってて面白かったもん。
ラジオドラマの物語の中では演者があえて大げさに王子様、お姫様風に喋る演出になっていて、埼玉いじりがあくまでもフィクションであることを強調しています。
冒頭で「この物語はフィクションであり、実在の人物名、団体名、特に地名とは一切関係ありません」というテロップが流れるのもそうですが、埼玉をいじり倒している割にはちゃんとクレームのための逃げ道を作っているところがダサいです。
出身地を馬鹿にするって結構タブーなことだと僕は思うんですよ。でもそれをあえて笑いにして挑戦するっていうんだったら言い訳なしでやれよって。クレームが来ても「だって全部本当じゃん」って開き直れるぐらいの意気込みで作るんならまだしもね。
それに埼玉を題材にしているくせに埼玉出身の俳優をほとんど使っていなかったり、埼玉というより、そもそも映画を舐めてるよね。これで「実はけなしているようで埼玉愛に溢れてます」みたいな感じで来られても。
日本ってなぜか多くの人の頭の中では田舎=格下、都会=格上みたいな謎のカースト制度が成り立っていて、そのコンプレックスの中で普通に生活しているじゃないですか。
これだけグローバルな世界になっても、いまだに日本という狭い場所で、しょうもない地理的優位性を競ってるわけですよ。
僕は東京出身なんですが、東京の中でも都心出身の人たちはやたらドヤ顔で出身地を言うからね。なんの自慢だよって思うけど。
一方で地方から東京に出て来る人もまた都心に住むことをステータスに掲げて、六本木とかで遊ぶことに悦を感じたりしてるからね。
それで東京に住み始めた途端に自分の地元を馬鹿にしだす、というパターンは結構あるんじゃないかな?
この映画はまさにそういう層に向けた作品で、これがヒットして、共感を得ている時点で、いまだに多くの日本人の価値観が田舎蔑視と都会への憧れに基づいているとも言えそうですね。小っちゃいわー。
コメント
原作が宝塚歌劇のオマージュなので、(主人公の名前は元タカラジェンヌ麻実れい の引用)
映画版の伝承パートも「わざと舞台演劇っぽく演じさせた」そうです。
そうだったんですね。
ただただ映画内容に同調できなかった人の卑屈な感想で草
ローカルネタを散りばめた超ニッチな日本のB級映画として観るならいいです。
ただ、それ以上の期待を持って見るとなると浜辺でGacktが救われるシーンや、終盤の大集団を使ったカメラワークや演出が下手な印象しかなかったですね。
加えていえば映画の内容をコメディ一辺倒にしてしまうとやがて客は飽きるので緩急をつけなければいけないんですが、上記でGacktが捕われたシーンも中途半端に笑いにサイを振っているので緊迫感がなく、それ故に敵対者の伊勢谷のキャラが立たず茶番劇にしか映らない。だから終盤で主人公たちが伊勢谷と共闘してもカタルシスが感じられない。
私は味のないスルメを永遠と噛んでる気分で観てましたね。
ほんと、味がしませんでしたね。
冒頭のテロップはフランクな言い回しも含めて原作マンガの再現(原作もそうですがこれすらもジョーク)で、単なるクレーム回避ではありませんよね(というか、どう見ても火に油でクレーム回避出来てないです)。これを寒いという感性がうすら寒いな、と思いました。
この作品、笑えることは笑えるんですけど、映画として観るものじゃない気がしました。
お笑い番組の企画で、「あの人気マンガを再現してみようよ!」ってやったなら面白かったと思うんですが、映画としてレンタルしてまで観るか?ましてや映画館で観るか?と言われると、もっといい時間やお金の使い方がありそうな気がしてしまいます…。
実際に東京や千葉、埼玉に住んでる方ならともかく、九州出身者には、へぇ、そうなの?としか…。友人の解説でやっと意味のわかるシーンも多かったです。
外国人ならなおさらだし、映画にするにはだいぶニッチな内容だと感じました。
原作には忠実っぽいので、原作ファンには嬉しい作品にはなってそうですよね。
テレビでやっとけレベルですよね。
埼玉生まれの千葉、茨城育ちの私には細かいギャグ満載の楽しい作品でした。
映画を観たのが現住地の中部なので周囲に笑っている人がおらず、イヤミな人にならないために感情を押し殺し続けましたが解放戦線が逃げ込んだ先が池袋で、それを東武と西武デパートのネオンで示す演出ではこらえきれず爆笑し周囲から変な目で見られました。
そんなローカルムービーです
地元民しか分からない小ネタ多そうですね。
むしろそれ以外になにがあるのかわかりません。
まごうことなきカルトムービーの大傑作です、これ