そこそこ見れる映画だけど、記憶には残らない青春もの。悪い話に対して、いい話が少ないのが問題です。44点(100点満点)
青の帰り道のあらすじ
カナ、キリ、リョウ、タツオ、コウタ、マリコ、ユウキの7人は高校の同級生。群馬の田舎町で育った彼らは卒業を前に進路について悩んでいた。
カナとキリは東京に出てそれぞれ音楽、写真をやろうという夢があった。タツオはカナと音楽をやるために東京の大学を受験しようと勉強に励んでいた。
一方でマリコとコウタは結婚し、地元に残ることに。それに対し、リョウは何者にもなれない自分に焦りを感じていた。リョウは、工事現場から導線盗んだりと、犯罪に手を染めだし、それにタツオを巻き込んだりしていた。
東京進出を果たしたカナはまもなくニンジンの着ぐるみを着て歌う歌手として人気を博し、キリは、カナのマネージャーとして活動を始める。
しかしカナは自分が歌いたい歌を歌えないことで現実と夢とのギャップに苦しむ。キリはキリで自称写真家の彼氏と同棲を始めるも、彼がキリのお金を使い込んだうえ、DVをするようになり、逃げ場を失っていく。
7人はそれぞれが学生時代に思い描いた理想とは全く違う厳しい社会に翻弄されつつ大人になろうとしていく。
青の帰り道のキャスト
- 真野恵里菜
- 清水くるみ
- 横浜流星
- 森永悠希
- 戸塚純貴
- 秋月三佳
- 冨田佳輔
- 工藤夕貴
- 平田満
青の帰り道の感想と評価
ドラマ「新聞記者」、「新聞記者」、「7s [セブンス]」、「ヤクザと家族」の藤井道人監督による仲良し高校生が大人になるまでを描く青春ドラマ。高畑裕太の不祥事によるお蔵入りになりかけた作品で、彼の部分はほかの俳優で撮り直し、完成させたそうです。
物語は、群馬の田舎町で育った同級生の仲良し7人組が高校を卒業するにあたり、それぞれの幸せと成功を求めて東京に出たり、また道を外したりする様子をドラマチックに描いていきます。
学園ドラマなのかと思いきや学生時代のシーンはごくわずかで、最初の10分で登場人物たちが学生を卒業し、社会人になるので甘ったるい青春映画とは違いますね。
メインのストーリーはヒロインのカナがミュージシャンとして活動していくパートです。TVCMに出るなど表向きの成功は手に入れたものの、事務所の売り出し方と自分の方向性が全く合わず、私はこんなことがやりたいんじゃない、という葛藤を彼女は抱きます。
そして思い切り好きな歌を歌っていた昔を思い出し、自分の音楽に影響を与えた友人のタツオや仲間たちのことを想うのでした。しかしそんなときタツオは突然この世を去ってしまい、カナをはじめ、仲間たちは自暴自棄になっていく、というのがおおよそのストーリーの流れです。
2008年から2018年に日本で起きた実際の出来事を背景に、7人の近況を群像劇風にざっと描いているのはいいんだけど、それぞれの見せ場を自殺、DV、オレオレ詐欺などベタな材料で勝負しているのはもったいないですね。
どこかで見たこと、聞いたことあるようなストーリーしか出てこないので、インパクトに欠けるし、見ようによっては田舎の人が持つ東京のイメージを映像化しみたいな話になっていましたね。悪い人が大勢いる東京あるあるみたいな。
そんでもって田舎はやっぱりのどかで素敵で、仲間がいて、最後はみんな故郷に帰るみたいな田舎最高幻想のもとに成り立っているといってもいいでしょう。
ポジティブエピソードとネガティブエピソードのバランスも悪く、9割方ネガティブの話が全体を支配していました。いい話って結婚して子供産んだ夫婦ぐらいじゃない?
意外性があったのはイケメン自称カメラマンがDVを働く下りでしょうか。彼女のお金を「俺たちの金だろ?」と共同財産のように思っているところなど、なかなかのクズっぷりでしたね。
でもそれぐらいかなぁ。ほかにも色々と話を詰め込んでいるけど、印象に残るものはほとんどなかったです。
俳優陣は若干、若者たちの演技が嘘っぽいぐらいで、それほど悪くはなかったです。一番良かったのは、お母さん役の工藤夕貴ですかね。
ちなみに高畑裕太がやるはずだった役は、戸塚純貴演じるコウタ役だそうです。7人の中でも一番出番が少ないほうだし、それほど重要な役柄でもないんですよね。別に撮り直しする必要あったかなぁ?
いいお父さんっていう役がイメージと違うからダメなんですかね? もしDV男役ならそのままいけかもしれませんね。それにしても主役ならともかく、あんな脇役のために作り直すって最悪ですね。
これでせめてカナが歌う歌が心響く名曲だったらなぁ。それだけでもっと話題になりそうなもんだけど、当たり障りのないポップソングを起用しちゃダメでしょ。
だって最後の締めの歌が「もしも僕が王様だったら、嫌いな奴は全員消えてもらう」っていう歌だからね。ただの独裁者じゃん。
コメント
青春モノなら、ジブリの『海がきこえる』が好きです。
若手のみで作らせたら宮崎駿が思いっきり内容を批判して、アンサーとして『耳をすませば』を作った のも面白い話です。
(リアリズムの海きこ、ロマンティックの耳すば と比較される)