シンガポールを舞台に、日本人の料理人が繰り広げる、遠い家族との交流を描いた、惜しい映画。感動ポルノ寄りの作品です。47点(100点満点)
家族のレシピのあらすじ
真人は日本人の父親とシンガポール人の母親の下に生まれたハーフで料理人を志していた。父はラーメン屋の店主で頑固者だった。
ある日、そんな父が突然調理場で倒れ、亡くなってしまう。母親も真人が小さいときに亡くなっていた。
一人ぼっちになった真人は、ふと母親のことを思い出してシンガポールに行くことを思いつく。真人はブログでシンガポールの料理のことを読んでいて、ますますその気になっていた。シンガポールのどこかには叔父がいるはずだった。
真人は、現地の日本人に助けを借りながらも叔父と再会を果たし、母の味である肉骨茶(バクテー)を作ることを決意する。
しかし叔父に一度も会ったことのない祖母を紹介してもらうと、祖母は真人を門前払いするのだった。一体、祖母と母の間には昔に何があったのか。そこで初めて真人は母親のつらい過去を知ることになる。
家族のレシピのキャスト
- 斎藤 工
- マーク・リー
- ジネット・アウ
- 伊原剛志
- 別所哲也
- ビートリス・チャン
- 松田聖子
家族のレシピの感想と評価
エリック・クー監督による、シンガポール、日本、フランス合作の料理家族ドラマ。日本で育った日本人とシンガポール人のハーフの青年が母親の故郷であるシンガポールに出向き、母方の家族たちと料理を通じて交流していく感動狙いのストーリーです。
英題の「RAMEN TEH」は、日本のラーメンとシンガポールのバクテーをミックスした造語で、「家族のレシピ」よりもよっぽど内容を的確に表しています。
ラーメン屋の息子が、日本のラーメンをひっさげて、シンガポールに乗り込み、現地のバクテーを学んで、両国のいいところを取って最高の料理を家族に提供し、関係性を深めていく、というプロット自体は悪くないです。
問題は、キャスティングと演出ですね。まず、斎藤工のお父さん役が伊原剛志って若すぎない? 叔父さんが別所哲也って恰好良すぎない?
この三人が全然家族の雰囲気を出せてないんですよ。二、三日前に撮影始まりましたっていう感じの距離感でやってるからね。
お母さんも美人すぎるし、リアリティーはまあないですね。ラーメンの主人と食堂のウェイトレスがあんなに美男美女なわけねえだろって。
演出については、初っ端からずっとジメジメしています。お父さんはなぜか息子と口を聞かないし、酒におぼれてて、仕事が終わるとずっと飲み屋でくだをまいています。
対するお母さんはお母さんで、お父さんと結婚し、日本に移り住むようになってから、ずっとシンガポールの家族を想いながら暗い日記を書き続けてるんですよ。そりゃそんなことしてたら二人とも早死にするって。
普通に幸せな家族なのに何を深刻な顔をして、メソメソしてるのか全然分からなかったですね。家族に結婚を反対されたからって、自分の家族がもういるんだから頭切り替えようぜ。
お母さんがシンガポールの家族に結婚を反対された理由は、日本がその昔戦争時代にシンガポールを侵略して、現地の人々にひどいことをしたからだそうです。
その辺のシナリオはありがちな話だし、悪くはないんだけどねぇ。おばあちゃんのわざとらしい態度と、その割には案外すんなり心を入れ替えるところがダメですね。どうせなら最後まで許さないでもらいたかったです。
そしてそんな暗い家族に育てられた息子の真人もやっぱり終始センチメンタルで、シンガポールの気候並にジメジメしてるんですよ。
また、息子が現地で会う日本人が、松田聖子扮するフードブロガーのおばちゃんで、あのおばちゃんの出しゃばり具合が半端なかったです。
どんだけお前は喋るときに相手の瞳を覗くんだよっていうぐらい、今にも真人にキスしそうになるぐらい顔を近づけて喋るんですよ、こんな感じで。
日本から来た若い男に抱かれる気満々じゃん。あともうちょっとで「Hold me、嵐の夜はベッドで抱いていてねぇ」とか歌い出すのかなぁって思っては怖くなりました。
監督がよっぽど松田聖子のファンだとしか考えられないくらい、このストーリーにしてはあの登場人物の扱いが特別すぎますね。
家族となんの関係もないのに、登場シーンが多すぎませんか? どんだけ暇なんだよっていうぐらい真人に昼間っからべったりくっ付いてガイドしてるし、ラストシーンにまで顔出してくるってどういうこと? 完全に主役を奪おうとしてるじゃん。
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