精神異常者やエグい描写ばかり出てきそうなイメージを与えつつも、中身は至って普通な映画。クリスティーナ・リッチがちょっと色っぽいだけの内容になっています。44点(100点満点)
ブラック・スネーク・モーンのあらすじ
性依存症のレイは恋人のロニーのことを愛していたが、彼が軍隊に入隊するや否やすぐに町の男たちと次々と関係を持って行く。その強い衝動はどうしても止められなかった。
ある晩、ロニーの友人に車で家に送ってもらうことになったレイは、車内で口論となり、酩酊状態のまま彼に殴られ、道に捨てられてしまう。
そんなレイを道端で見つけたのは、信仰心の強い農夫のラザラスだった。ラザラスはレイのことを看病し、面倒を見ようとするものの、レイが性依存症であることを知ると彼女を鎖で縛り、治療をしようとする。
最初はそのやり方に反感を覚えたレイだったが、ラザラスの優しさに触れていくうちに心を開いていく。
ブラック・スネーク・モーンのキャスト
- サミュエル・L・ジャクソン
- クリスティーナ・リッチ
- ジャスティン・ティンバーレイク
- S・エパサ・マーカーソン
- ジョン・コスラン・Jr
- デヴィッド・バナー
- マイケル・レイモンド=ジェームズ
ブラック・スネーク・モーンの感想と評価
「ターザン:REBORN」の脚本家であるクレイグ・ブリュワー監督による、一見ぶっとんだ風でいて、実は至って真面目な人間ドラマ。
「アダムス・ファミリー」や「バッファロー’66」でお馴染みのクリスティーナ・リッチが大胆な演技に挑戦したのが話題を呼んだ作品です。
前半は病的に男を求めてしまうヒロインの中毒ぶりを、色気を交えて描いています。
そんなヒロインを鎖につないで監禁するというと、なんかサスペンススリラーのような聞こえがするけど、実際はサミュエル・L・ジャクソン扮する真面目なバツイチ男が、悪魔祓い的に彼女を癒そうとするお話です。
だから監禁した美少女をおっさんがいたずらしちゃおうとか、そういう類の話ではないので、気味の悪さや恐怖の演出は一切ないです。
それはそれでいいんだけど、鎖や監禁を全面に打ち出しているだけに多少のホラーテイストがあってもよかった気がしますね。そういうノリで見た人も少なくなかったんじゃないのかなぁ。僕はてっきりサミュエルの親父がスケベなことをするもんだと思ってましたよ。
「ミザリー」みたいにおせっかいで世話焼きな登場人物が過剰な看病をし、徐々にエスカレートしていく展開でもよかったですね。
見ようによっては中毒患者のマジな闘病ドラマで、父親に虐待を受け、心の傷を負った少女がどう立ち直るかをつづった、ただのいい話です。そういう意味では中途半端ですね。
一方でクリスティーナ・リッチはそれまで子役や童顔のイメージが強かったこともあり、この作品でイメージをがらりと変え、一皮むけた感がありますね。よく、この役を引き受けたなぁ、という気がします。
日本でいうところの安達祐実が脱いで、子役のイメージから脱却したみたいな感じでしょうか。
「バッファロー’66」のときのようなムチムチ感はなくなってたけど、クリスティーナ・リッチは小柄で華奢なのにいい体してますねぇ。正直、彼女の色っぽさが唯一の見どころでした。
対するサミュエル・L・ジャクソンは、宗教心の強い真面目な男役にも関わらず、威圧感と迫力は相変わらずです。
劇中には歌やギターも披露しています。ギターはこの映画のために練習して臨んだそうですが、素人ギターでもサミュエル・L・ジャクソンが持つと、どこか様になったように見えるから不思議ですね。ブルースが似合うし。これでクリスティーナ・リッチとの絡みがあったらなお良かったですけどね。
ラストは、テーマや題材にしては不釣り合いなほどハッピーエンドで終わっていくのがダメですね。拍子抜けするレベルです。
前半部分のワイルドさと比べると、後半部分のシリアスさがアンバランスで、あわよくば悲劇のエンディングやサプライズを期待してしまう自分がいました。例えばトラックに轢かれるとか。
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