19歳にしてデビューし、カンヌ映画祭やヴェネチア映画祭など欧州を中心に高い評価を受けているカナダ人監督といえばグザヴィエ・ドラン。
個性溢れる表現と、一貫してLGBTにまつわる物語を描く彼はこれまでどんな作品を発表しているのか。ここでランキングにして紹介します。
8、ジョン・F・ドノヴァンの死と生
子供の頃、自殺したセレブ俳優と文通していた青年がインタビューでセレブ俳優の苦悩を明かしていく、回想シーンと現在のシーンが行ったり来たりする人間ドラマ。
グザヴィエ・ドラン監督には珍しく、全編英語になっていてターゲットを広げたものの、大して話題にもならず、酷評を受けた作品です。語り聞かせ風の手法を取っていて、ストーリーが頭に入ってこないだけでなく、グザヴィエ・ドラン本人が出ていないのも残念です。
7、胸騒ぎの恋人
男と女とゲイの三角関係を描いたボーイズラブ風恋愛ドラマ。グザヴィエ・ドランにしては特別個性が感じられない、至って普通のテーマを扱っており、なんとなくオシャレっぽいだけで退屈です。出演キャストが美男美女なので、目の保養にはなるかもしれませんが。
6、たかが世界の終わり
久々に集まった家族の口論を延々と見せられるだけの人間ドラマ。仲の悪い家族の会話が中心になっていて、嫌味と皮肉に溢れる一方でユーモアと面白さに欠ける作品です。
舞台劇が基になっているので、オーバーリアクションな演技やたわいのない会話を好む人にはいいかもしれません。ちなみにグザヴィエ・ドラン本人は登場しません。
5、マティアス&マキシム
幼馴染で親友の二人が同性であるにも関わらず、ひょんなことからお互いを意識し始め、やがて気持ちが抑えられなく様子を描いた恋愛ドラマ。
中性的なイケメンをただ眺めていたい、という人けど、そうじゃない人には決しておすすめできない作品。話が普通すぎて退屈です。
4、わたしはロランス
既婚者の性同一性障害の男が女になっても恋人との生活を続けていく様子を描いた問題作。
性転換だけに収まらず、性を超えた愛が果たして成り立つのかどうか、といった難しいテーマを取り上げていて、色々と考えさせられる内容になっています。
一方で理解や共感するのはなかなか難しいし、シリアスで重い話なので、娯楽性は低いです。
3、マイ・マザー
まだ無名の19歳だったグザヴィエ・ドランが世界に衝撃を与えたデビュー作。意思の疎通がほとんどできない母親と息子のツンデレの関係を描いた親子ドラマで、シングルマザーとティネイジャーの息子による会話がリアルです。
脚本がよく書けていて、ユーモアもあって、演技が上手く、芸術性に長けていて、どうやったらこんなアイデアが浮かんでくるんだろう、と感心せずにはいられないです。
2、トム・アット・ザ・ファーム
不気味さと怖さと芸術性を含んだ、ほかのグザヴィエ・ドラン作品とは一線を画す、心理スリラー。
同性の恋人が亡くなり、葬式に参列するために、二人の関係を知らない恋人の家族のもとを訪れたことで巻き起こる危険な出来事を描いた話で、見ていて先が全く読めないし、終盤までどんな種類の物語なのかも検討がつかない斬新なストーリーに仕上がっています。
同性愛ドラマや家族ドラマのほかにこんな映画も撮れるのか、と思っては脱帽してしまう完成度で、グザヴィエ・ドランにはぜひホラー映画を撮ってもらいたいと思いました。むしろそっちのほうが向いてるんじゃないかな。
1、Mommy/マミー
シングルマザー、注意欠陥多動性障害の少年、そして吃音症の教師の日常を描いた衝撃の家族ドラマ。演技、演出、脚本が素晴らしく、愛憎、友情、裏切り、といった要素をこれでもかと投入してくる芸術作品です。
マニアックな話ばかり取り上げがちなグザヴィエ・ドランですが、これに関しては一般受けする普遍的な物語ですね。
目の離せないキャラクターたちによるサプライズに次ぐサプライズのせいで、ストーリーに釘付けにされるはずです。
まとめ
グザヴィエ・ドランは同性愛をテーマに芸術路線の作品ばかりを撮る監督なので、基本的に一般受けするタイプではないです。
それでも彼のオリジナリティーと斬新さは誰にでも伝わるはずで、ちょっと変わった映画に挑戦したい人にはいいでしょう。邦画やハリウッド映画はもう飽きた、という時期が来たら、ぜひ一度見てみてください。
最初はとりあえず「Mommy/マミー」から入ると、ほかの作品にも入りやすくなるかと思います。
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