インドで実際に起こったテロ事件をベースにした心臓バクバクスリラー。怖くて、インドに行きたくなくなる映画です。69点(100点満点)
ホテル・ムンバイのあらすじ
2008年10月26日、タージマハル・ホテルのレストランで勤務するアルジュンは仕事に遅刻して到着した。急いで行ったために革靴を忘れた彼はサンダルで出勤しようとするが、厳しいボスは「もう家に帰っていい」といって彼を叱った。
しかしアルジュンには赤ん坊がおり、妻は二人目の子どもを妊娠中で、仕事を失うわけにはいかなかった。なんとかボスに泣きついて、余っていたサイズの小さな革靴を無理やり履いて働いた。
ちょうどその頃、10人の若いテロリストたちがブルと呼ばれるボスの指示に従って、マシンガンと手榴弾を持って、ムンバイのあちこちでテロを起こそうとしていた。
まずは、二人の男が駅で銃を乱射した。続いてレストランに入って次々とそこにいた観光客などを皆殺しにした。町中はたちまちパニックに陥り、多くの人々がタージマハル・ホテルに逃げ込んでくる。
しかしその中にはテロリストたちの姿もあった。それからタージマハル・ホテルでは長時間にわたるテロリストによる虐殺が繰り広げられた。
ホテル・ムンバイのキャスト
- デーヴ・パテール
- アーミー・ハマー
- ナザニン・ボニアディ
- ティルダ・コブハム=ハーヴェイ
- アヌパム・カー
- ジェイソン・アイザックス
ホテル・ムンバイの感想と評価
アンソニー・マラス監督による、ムンバイ同時多発テロを基にした衝撃のノンフィクション。
10件以上のテロ行為と170人以上の死者を出した一連の事件のうち、主にタージマハル・ホテルでの出来事にフォーカスした内容になっていて、テロリストVS宿泊客の壮絶な戦いを描いていきます。
キャストの演技はいいし、怖くて、緊張感があってリアルなので、見ていてヘトヘトになりました。面白いです。
一つ気になったのは、事件が起きた場所はタージマハル・ホテルなのに、なんでタイトルは「ホテル・ムンバイ」なんでしょうかね。てっきりホテルの名前かと思ったもん。もろ「ホテル・ルワンダ」みたいなネーミングですよね。
ホテルのテロ映画というと「クーデター」を思い出しますが、こちらは実際の事件だけに迫力が違いますね。
この事件のことは当時ニュースでは聞いていたとは思うけど、詳細はほとんど知りませんでした。世界中で多くのテロ事件が起こっている中で、忘れてしまったのかもしれません。
そういう人間が見ると、事前の情報が少ない分、ものすごい驚きや衝撃があります。話に入りすぎて、ふと気づくと、もしあの場にいたら、どうやって隠れて、どうやって逃げるだろうか、とシミュレーションしている自分がいました。
フィクションだったら、この人は重要な登場人物だから死なないだろうなあ、というような場面でも容赦なく殺されたりするので、余計にテロリストの無慈悲な部分が伝わってきますね。
また、テロリストたちがいかにも素人風の顔つきをしていたところもよかったです。
映画の中のイスラム過激派というと、髭もじゃで見るからに極悪人の顔をしたテロリストが多いのに、この映画のテロリストたちはみんな大学生みたいな若造で、人としても、犯罪者としても成熟していない感じが出ていて、逆に怖かったです。
彼らは完全に主犯格に洗脳されていて、電話で言われる通りに動いているだけで、自分たちの意思を超えた精神状態で、行動しているのが分かります。
みんな若くて馬鹿だから怖いもの知らずだし、アラーの神の名のもとに汚れた人々を殺せば、本当に天国に行けると思っている、あのスイッチの入りようがすごいですね。
それにしてもインドってテロ事件が決して少なくない国なのに警察の武装レベルがしょぼすぎやしませんか。
テロリストは手榴弾やらマシンガンを持っているのに警察は拳銃しか持ってないってありえないですよね。
だから数人の素人がホテルに立てこもってもなかなか突撃できないし、特殊部隊はほかの都市から送られてくるから到着まで何時間もかかる、などという無能ぶりだし、緊急事態に国が全然対応できていない様子が地獄でした。それにまだ主犯格は捕まってないらしいですね。
でもこれはなにもインドに限った話じゃなくて、日本だって数人のグループが猟銃やライフルでも持って街中で暴れ出したら、拳銃しか持ってない日本の警察じゃあまず対処できないでしょう。日本の特殊部隊なんて現場経験積んでないから、しょぼいだろうし。
だから遠い国の出来事じゃなくて、いつ日本で起きてもおかしくないことなんですよね。そう考えて見ると、ますます感情移入して見れるはずです。
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