優れた脚本、文句なしの演技、意表を突いたサプライズによって大ヒットしたホラー映画。もしまだ見ていない人はぜひ見てください。78点(100点満点)
シックスセンスのあらすじ
小児精神科医マルコム・クロウはある晩、功績が認められて市長から表彰されたことを妻のアンナと祝っていた。
ところが祝福ムードもつかの間、ガラスの窓が割られ、何者かが家に侵入したことに気づく。
するとトイレには、かつてマルコム・クロウがカウンセリングした患者ビンセント・グレイの姿があった。
ビンセント・グレイは情緒不安定で動揺しているようであった。そして彼を信じて救ってくれなかったマルコム・クロウに恨み言を連ね、あろうことかマルコム・クロウを銃で撃ち、自殺してしまう。
翌年、マルコム・クロウは少年コール・シアーのもとを訪れていた。コール・シアーもまた様々な問題を重ね、救いを求めていた。
ビンセント・グレイを救えなかったマルコム・クロウはコール・シアーに多くの類似点を見つけ、なんとかコール・シアーのことは救おうと考えた。
しかしコール・シアーと話していくうちに彼は「死人が見える」などと話し出し、強い幻覚症状に見舞われていることに気づく。問題が深いと見るや一度は自分には救えないのではないかと思ったマルコム・クロウだったが、まもなく彼はコール・シアーのことを信じざるを得ない体験をする。
シックスセンスのキャスト
- ブルース・ウィリス
- ハーレイ・ジョエル・オスメント
- オリヴィア・ウィリアムズ
- トニ・コレット
- ドニー・ウォルバーグ
- ミーシャ・バートン
シックスセンスの感想と評価
「アンブレイカブル」、「ヴィレッジ」、「ハプニング」、「ヴィジット」、「スプリット」、「ミスター・ガラス」、「サイン」などで知られるM・ナイト・シャマラン監督による唯一の名作。1999年公開の映画ですが、今見ても面白いです。
ホラーと感動の家族ドラマをミックスした斬新な作りになっていて恐怖あり、涙ありのハイクオリティー作品です。
ホラーと感動のバランスが絶妙で、どっちも狙いすぎてないのが好感が持てます。脚本が非常によくできていて、伏線がしっかり効いているし、無駄がないですよね。ラストのサプライズは映画史に残るオチだったし。
ブルース・ウィルスと子役のハーレイ・ジョエル・オスメントの息はぴったりで、脇役たちも素晴らしい演技をしています。
コール君のお母さん役を演じていたのは、「ヘレディタリー継承」のトニ・コレットだったんですね。本作ではお化けが見えてしまう息子をなんとか理解しようと努める優しい母親を演じていて、なかなかの名演技をしていました。ホラー映画と相性がいいんですかね。
あと、お騒がせ女優のミーシャ・バートンもお化け役で出てたんですね。気づかなかったけど。
しかしなんといってもこの映画はハーレイ・ジョエル・オスメントの独壇場だったんじゃないでしょうか。彼の映画といっても過言ではないほど、子供ながらにして強烈なインパクトを残しましたね。
どんだけパロティーになったか分からないぐらい、「僕には死んだ人が見える」の下りは多方面でギャグにされてたのをよく覚えています。
あんなに演技が上手いのに大人になったら売れなくなるっていうのも皮肉なもんですねぇ。子役のままずっと出続ける人もいる中で何が違うんでしょうね。
僕の好きなエピソードは、お母さんが娘の食事に洗剤を混ぜて病気にしていた下りですかね。あれは怖くて強烈だったなぁ。
あと、コール君とお母さんが車の中でお祖母ちゃんの話をする下りにも感動してしまいました。精神科医と奥さんの恋愛ドラマよりあっちのほうが僕には刺さりましたね。
よく見るとあのシーンではコール君がお母さんに抱きつくために彼だけシートベルトをしてないんですよね。確かに感動のハグシーンでわざわざシートベルト外してたら冷めるもんなぁ。口を拭いてからキスするラブシーンみたいなもんだもんね。細かいところが気になる人には興ざめしてもおかしくはない微妙なシーンでしたね。
それぞれが印象に残るシーンばかりなので久々に見てもほとんど覚えていました。名作と駄作の最大の違いがこれですね。覚えてるかどうか。
それにしてもこんな素晴らしい作品を作りながら、なんでM・ナイト・シャマラン監督はシックスセンス後から急激におかしな方向に舵を取ったんですかね。
あのままホラー+感動路線を突き進めばいいものをSF的なカルト風の世界に足を踏み入れてしまったのには残念でなりません。まあ、名作を世に一本送り出しただけでも十分にすごいんですけどね。
けれどもシックスセンスのファンの中でどれくらいまだM・ナイト・シャマラン監督の作品を追っている人がいるのかは気になるところですね。ファン層入れ替わってそうだもんなぁ。
「スプリット」は好きだけど、シックスセンスは見たことないっていう若者とかも少なくなさそうだし。そんな人はぜひ見てみてください。必見ですよ。
シックスセンスのトリビア
好きな映画なのでシックスセンスにまつわるトリビアを紹介したいと思います。もしまだ本編見てない人はネタバレも含まれますのでスルーしてください。
1、マルコム・クロウはずっと同じ服しか着ていなかった
気を付けて見ると、小児精神科医のマルコム・クロウは最初から最後まで基本的にはずっと同じ服装をしていたのが分かります。
ときおりジャケット、スウェット、ベストを着たり脱いだりすることはあってもおおそよ最初から最後まで同じシャツ、同じズボンを使っていたのです。
そのこともラストのヒントになっているのでした。
2、もともとはディズニー映画だった
シックスセンスを制作したのはスパイグラス・エンターテインメントなどの制作会社ですが、実はもともと映画化の権利を買っていたのはウォルト・ディズニー・ピクチャーズでした。
しかし当時のウォルト・ディズニー・ピクチャーズの社長が独断で購入したために問題になって彼は後に首になってしまいます。
また、シックスセンスの成功を信じられなかったウォルト・ディズニー・ピクチャーズは、映画化の権利を配給の権利の15%だけを残してスパイグラス・エンターテインメントに売ってしまったのです。
3、ブルース・ウィルスは無理矢理出演させられた
実はブルース・ウィルスはこの映画に出演を希望したのではなく、ディズニーとの契約上出演せざるを得なかった、というのは有名な話です。
というのもブルース・ウィルスは、それ以前にディズニーとの間で制作が進められていたコメディー映画「ザ・ブロードウェイ・ブラウラー」を台無しにした経緯があったからです。
ブルース・ウィルスは「ザ・ブロードウェイ・ブラウラー」ではプロデューサーも兼ねていたため、撮影中に気に入らないことが起こったのを理由に監督をはじめとするクルーを全員解雇してしまったのです。
これによって映画はお蔵入りになり、何十億円という制作費の損害が生じました。それを埋め合わせるためにディズニーが関わる作品に出演することで話がまとまり、その一つがシックスセンスだったのです。ちなみにもうひとつは2000年公開の「キッド」です。
4、サントラに答えがあった
本作でサンドトラックを担当したのは作曲家のジェームズ・ニュートン・ハワード。彼の音楽によって物語の恐ろしい演出に拍車がかかっていたのはいうまでもないでしょう。
しかしながら彼はずっとサントラの曲名を公開することはできませんでした。というのもサントラの曲の中に「マルコムは死んでいる」という曲があったからです。
監督のカメオ
M・ナイト・シャマラン監督は自分の作品に出演することで知られていますが、この作品も例外ではありません。
コール君が友達にいじめられて、狭い部屋に閉じ込められ、発作を起こして病院に連れていかれる下りで、ドクターとして登場するのがM・ナイト・シャマラン監督本人です。
ちなみにM・ナイト・シャマラン監督は、自身の長編デビュー作「Praying with Anger」では主役まで務めています。
赤の意味
劇中、ほとんど「赤」が使われなかったのに気付いたでしょうか。この映画においては、赤は特別な場面にだけ登場します。
例えばマルコムの地下室のドアノブ、コール君のセーター、風船、教会のドアなどがそうでした。
あれは監督によると、この世の世界の物が死後の世界によって汚染された状態を表しているんだそうです。
コメント
2回目観ました。
レビューを読んで、お〜そうかあれやっぱり名作だよなぁとガッテンしました。
こういう強烈なオチのあるやつは、面白みは半減しますけど、ちょっと細かなところを改めて楽しめました。
これもレビューのおかげです。
子役の男の子、もう一人前の兄ちゃんになってますね・・「え!」って感じ。
実はでかくなったペットに興ざめしてるけど、口に出して言えない切なさですか。
それにしてもヴィレッジとヴィジットですか、ややこしいですね。そんでもってお勧めのヴィレッジがない。
子役の少年はすっかり大人になっちゃいましたね。ヴィレッジとヴィジットと名前確かにややこしいですよね。