コーエン兄弟が得意とする、掴みどころのない、曖昧な人物描写の目立つギャング映画。殺し合いや騙し合いがあるのに全体的に地味で、何か物足りないです。39点(100点満点)
ミラーズ・クロッシングのあらすじ
アメリカ東部のある町では、アイルランド系マフィアのボス、レオがビジネスを仕切っていた。レオの右腕は頭の切れるトム・レーガン。彼は口が達者で、人を操ることに長けていた。
ある日、レオは、イタリア系のマフィアのキャスパーから八百長の試合の情報を漏らした男バーニーを消すように頼みこまれる。しかしバーニーはレオの愛人ヴァーナの弟だったことからレオはキャスパーの頼みを一蹴した。
これに腹を立てたキャスパーは、レオの組織に歯向かうことを考えるようになる。一方でレオの右腕のトム・レーガンはレオに内緒で、彼の愛人のヴァーナと恋仲になっていた。
やがてその秘密をレオが知ってしまい、トム・レーガンは組織を追放されてしまう。そしてあろうことかトム・レーガンが向かった先はレオに牙をむき始めたキャスパーのところだった。
ミラーズ・クロッシングのキャスト
- ガブリエル・バーン
- マーシャ・ゲイ・ハーデン
- アルバート・フィニー
- ジョン・タトゥーロ
- ジョン・ポリト
- J・E・フリーマン
- マイク・スター
- スティーヴ・ブシェミ
ミラーズ・クロッシングの感想と評価
「ビッグ・リボウスキ」、「シリアスマン」、「ノーカントリー」などで知られるコーエン兄弟によるマフィアの抗争ドラマ。
ツイッターのフォロワーさんに教えていただいた作品です。
こんにちは。マフィア映画。
ミラーズ・クロッシングですね。
あとはベタですがアンタッチャブル(SコネリーとRデ・ニーロが好きなもので)。更にベタですがゴッド・ファーザー2。💦— まき コウジ (@koji_0320) 2019年2月18日
誠に勝手ながらここで紹介し、文句を言わせていただきます。
コーエン兄弟にしては珍しいハードボイドもので、登場人物が敵味方のサイドを変え、裏切りを繰り返す展開や会話を中心に動いていくストーリーは、少し「レザボア・ドッグス」を彷彿させますね。
主人公のトム・レーガンは、自分の手は汚さずに知恵と話術だけで人を動かし、マフィア同士の抗争に巻き込まれながらも賢く生き延びようとする男で、ほとんど暴力を使わず、殴られたら殴られっぱなし、という従来のマフィア映画の主人公とは一線画すキャラになっています。
彼は終始エレガントに身をこなし、余裕綽綽たる態度でトラブルと向き合い、命の危険にも無頓着といった様子です。その一方でかなりリスキーな悪知恵を働かせて、マフィアのボスたちをも手玉に取ってしまうような大胆さも持ち合わせています。
そんな男に共感や好感が得られれば、この映画は楽しめるでしょうが、逆に彼に魅力を感じなければそれほど面白く感じないと思います。ちなみに僕は後者でしたね。
その理由はトム・レーガンが物事を複雑にしている目的がさっぱり分からないからです。
愛する女のためなのか、忠誠心を抱くボスのためなのか、自分が生き延びるためなのか、全てがちぐはぐで、結局は全員を欺くことなり、誰も得しないような状況が生まれるには頭を傾げるしかなかったです。
果たしてトム・レーガンはあれだけ手の込んだ騙しをする必要があったのか、という疑問もさることながら、ほぼほぼなにからなにまで彼の思い描いていた通りになっていくのがつまらないですね。
一つや二つの予想外な出来事が起きても、結局はトム・レーガンが得する都合のいい状況になるんだもん。
あと、ウイスキーグラスを転がしたり、タバコを吸いながらする、あいつのドヤ顔がうざいです。ものすごくやばい状況にも関わらず、ちっともシリアスな表情を見せないせいか、生死を左右する出来事に全くピリピリした緊張が生まれなくなっていましたね。
トム・レーガンとヴァーナによるツンデレの恋愛関係は一体なんだったんでしょうか。罵り合ったり、殴ったりした末にまた仲直りしたり、脅しをかけられ、グラスを投げつけられた後にまた抱き合ったり、二人ともバカじゃないの?
せめてあの関係にもっと深みがあればよかったんですけど、ツンデレ具合が行き過ぎていて、とても付いていけませんでした。
また、トム・レーガンが仕掛けたことは全てボスのレオを守るため、という言い訳も苦しいですよね。
義理人情にうるさいマフィアの世界で、あれだけ裏切りを繰り返したら生きていけるはずないし、あれをボスへの忠誠心などと表現されることには違和感しかありませんでした。あんなことして信頼を回復できるはずないじゃん。
トム・レーガンは実はボスに同性愛的な感情を抱いていたという説もありますが、そういう深読みや暗示も嫌いです。僕から言わせると、どこがだよ?ってなります。
セキュシャリティーを表現するのにそもそも暗示なんていらないんですよ。ただやればいいだけで。同性愛なら同性愛でちゃんとしゃぶってから言えよって話なんですよ。
だってトム・レーガンは女のヴァーナとは物語の中でちゃんとやってるのに、男とはやってないのに同性愛だとか言い出したら、元も子もないじゃん。
直接的な同性愛シーンがあるわけでもないのに、あの目線はきっと愛する男を見つめる瞳だとか、あのセリフには嫉妬が含まれているとか言い出したらなんでも同性愛になるじゃん。
たまにゲイの中にも誰構わず「あなたにはゲイの素質があるわよー」とか言う奴いるけどそれと同じぐらいうざいですね。僕はまだ言われたことないですけど。
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