ポイントが分かりずらく、掴みどころのない作品。結局最後は父性愛を出して終わっていくポール・トーマス・アンダーソン監督の雰囲気映画です。53点(100点満点)
ハードエイトのあらすじ
ジョンは、ラスベガスのカジノで一文無しになりダイナーの外で座り込んでいた。そこへシドニーという老人が現れ、彼に助言を差し伸べる。 2年後、プロのギャンブラーに成長したジョンはリノ (ネバダ州)でシドニーと再会。
この時、シドニーはジョンに恋人のウェイトレス、クレメンタインと友達のジミーを紹介されるが、ジミーには過去の秘密を握られていた…。
wikipediaより
ハードエイトのキャスト
- フィリップ・ベイカー・ホール
- ジョン・C・ライリー
- グウィネス・パルトロー
- サミュエル・L・ジャクソン
- フィリップ・シーモア・ホフマン
- メローラ・ウォルターズ
ハードエイトの感想と評価
「ブギーナイツ 」、「マグノリア」、「パンチドランク・ラブ」、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」、「ザ・マスター」、「インヒアレント・ヴァイス 」、「ファントム・スレッド」などで知られるポール・トーマス・アンダーソン監督の長編デビュー作。
ギャンブルで無一文になった青年ジョンが謎の老紳士シドニーと出会い、カジノに行き、ギャンブルの手ほどきを受け、親子のような関係になっていく様子を描いていきます。
ジョンは無一文から自分を救ってくれたシドニーを恩人として慕うのに対し、シドニーはジョンを息子のように可愛がり、美人のウェイトレスを紹介したり、トラブルを解決してあげたりします。
ジョンはもともとそれほど出来が良くなく、頭もどちらかといえば悪いほうです。それなのにシドニーは何のメリットがあって、ジョンを助けようとするのか、というのがずっと謎として残り、終盤にそれが明らかになっていく構成になっていました。
オチがどうとか、ストーリーがとうとかよりも、どちらかというと会話や雰囲気を楽しむタイプの作品で、そのせいか一つ一つのシーンは長めになっています。
また、結構長い時間を費やしたシーンがストーリー上それほど重要じゃなかったりするので、戸惑ってしまいますね。ほかのポール・トーマス・アンダーソン監督の作品もそういうところあるけど。
会話が中心になっている割にはユーモアが足りないのと、カジノの街におけるギャンブルやトラブルを題材にしている割にはハラハラドキドキが少ないですね。
ジャンルでいうと、サスペンスや犯罪ドラマになるんでしょうか。かといってシリアスな感じもしないし、ドラマチックにもなっていないし、すごく淡々としている印象です。
脚本はよく書けているし、先の読めないストーリーテリングはポール・トーマス・アンダーソン監督の才能の片鱗を伺わせますね。
なんだかんだいって俳優たちに助けられたところが大きいんじゃないかな。今振り返ると、わき役がすごい豪華だもん。
この頃のグウィネス・パルトローは色気があるし、美人ですねぇ。サミュエル・L・ジャクソンの悪そうな雰囲気は最高だし、ちょい役で登場するフィリップ・シーモア・ホフマンもしっかりインパクトを残しています。
ポール・トーマス・アンダーソン監督はその後の作品でも同じような面子の使いまわしをしているんですね。
この作品で一緒に仕事をしたフィリップ・ベイカー・ホール、ジョン・C・ライリー、フィリップ・シーモア・ホフマンなどが「ブギーナイツ」や「マグノリア」にも出てくるっていうのが面白いですね。
また、会話の中でジミー(サミュエル・L・ジャクソン)が「お前の仲間たちのことなら俺も知ってるよ。フロイド・ゴンドリだろ、ジミー・ガーターだろ」などとシドニー(フィリップ・ベイカー・ホール)に向かってギャングの名前を挙げるシーンがあるんですが、それらが後に「ブギーナイツ」や「マグノリア」でフィリップ・ベイカー・ホールが演じる役名になっている、という粋な演出がされています。
タイトルの「ハードエイト」はクラップスと呼ばれる、2個のサイコロを使ったゲームの4のゾロ目を指すそうです。
クラップスは客がサイコロを振れる数少ないゲームということもあってか、客の興奮を伝えるのにカジノ映画でよく使われますよね。「カジノ」でもシャロン・ストーンがサイコロ振ってたし。
ただ、クラップスやゾロ目がこの映画のストーリーと関連性があるかというと、特に見当たらなかったし、タイトルはただ格好付けた感がありますね。
もともとは「シドニー」というタイトルだった、というのは有名な話で、監督のデビュー作でまだ無名だったからほとんど権限がなく、制作会社にタイトル変えられちゃったんだって、可哀想に。
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