おっさんのつまらない日記を読んで聞かされ、散々猫好きをアピールされるだけのハラスメント映画。もっとストーリーを練ってもらいたいです。35点(100点満点)
愛しのノラ・幸せのめぐり逢いのあらすじ
しがないシナリオライター・九十九朔美の家に野良猫が迷い込む。朔美は“シロ”と命名し、妻・ひよりと飼うことに。子供のいない夫婦は我が子のようにシロを溺愛する。
ところがある日、シロが家を出たきり帰って来なくなった。朔美は仕事そっちのけでシロを捜すが、望ましい情報は得られず、泣き暮らす日々。
そして追い討ちをかけるように、ひよりに不安な出来事が、、、。「シロ、お前はどこに行ったのか」
愛しのノラ・幸せのめぐり逢いのキャスト
- 澤 紳吾
- 大島 葉子
- 守屋 文雄
- マイコ(白猫)
- カール(黒猫)
- 梶 三和子
- 速水 今日子
- 工藤 翔子
愛しのノラ・幸せのめぐり逢いの感想と評価
「こっぱみじん」の田尻裕司監督による、猫をテーマにしたほのぼの家族ドラマ。内田百閒の「ノラや」からインスパイアされた物語です。
子供のいない夫婦が白猫を溺愛している様子を緩くつづっていくだけで、何も起こらない日常の風景=ハートフルと勘違いしているふしがあります。「猫と人間が織りなす感動のドラマ」らしんですが、どこに感動があるのかちっとも理解できなかったし、ストーリーが薄すぎて、ただただ退屈でした。
舞台となるのは小さな家。大部分のシーンには夫婦と猫しか出てこないという、よっぽど脚本と演技が優れていないと、まず成り立たないタイプの作品ですが、終始笑わせ続けてくれる会話もなければ、ついつい見とれてしまう演技も見せてくれません。遅くて緩い。本当にただそれだけです。
主人公を演じた澤紳吾の一人芝居が見たくてしかたがない人か、猫が好きすぎて携帯の待ち受け画面を猫にしている人にしか無理じゃないかなぁ。
エピソードらしいエピソードは4つぐらいしかないんですよ。
- 突然、白猫がいなくなる
- 白猫の代わりに黒猫が迷い込んでくる
- 妻が癌の疑いを持たれる
- 白猫が戻ってくる
よくもまあこれで映画を撮ろうと思うよなぁ。妻の癌の下りいります? 癌かもしれない。でもやっぱり癌じゃなかったっていうエピソードは、妊娠してるかもしれない、いややっぱりしてなかったっていう「ハローグッバイ」の下りと全く同じパターンじゃん。検査結果出てから騒げっての。
唯一誉められる点は無理な設定がなく、リアリティーがあるところです。しかし良く言えばリアルになるけど、悪く言えばありきたりなんですよね。大して語るべきものがないのにわざわざ語っている感が拭えません。
「世界から猫が消えたなら」しかり、この映画しかり猫好きをターゲットにした映画って結構あるじゃないですか。
どれも胡散臭いっていうか、小動物の可愛らしさと人間の優しさに触れたりして、最後は感動に持ってこようとするあざとさが見えるから嫌ですね。
猫を家族みたいに溺愛する人って僕の親戚、家族、友人にも結構いるんですよ。色んなケースがあると思うけど、大半は自分たちの寂しさを紛らわすために猫を利用している感があって、どうしても人間のエゴだなあって思っちゃうんですよね。
犬はもともと群れで生きる習性があるから家族とみなすのはまだ分かるんです。それに対し猫はもともと単独行動する動物じゃないですか。
だからお前は家族って思ってるかもしれないけど、猫は思ってないでしょ?って話なんですよ。餌をくれるから住み着いただけで。それをなついてるって信じるの乱暴じゃないですか?
そんでもって猫が好きな人に限って人間に冷たかったりしません? うちの親父がまさにそうなんです。
僕がブラジルから久々に会いに行っても、ほぼ目も合わさないし、無口だからほとんど喋らない。でも家の猫にはめちゃくちゃ話しかけるんですよ。嘘つけって思いますもん。実の息子より猫のほうが可愛いのかよって。
また、会いに行く度に親父が飼っている猫が変わるんですよ。前の猫どうしたの?って聞くと「車にひかれた」って言って一匹死んだらその直後にもう次の猫を飼っているっていうね。なんでもいいのかよ。
だから僕は猫好きは信用しないことにしています。猫好きをアピールする人はもっと信用しちゃダメです。この映画の登場人物も同じです。
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