一見、面白そうな雰囲気をかもしつつ、全然面白くないホラー映画。アカデミー賞イギリス代表作品に選ばれながら、見事エントリーから外れた作品です。21点(100点満点)
アンダー・ザ・シャドウのあらすじ
イラン・イラク戦争のさなか、爆撃が続くテヘランでシデーは娘のドルサと暮らしていた。ある日、ミサイルがシデーらの住むアパートに着弾。爆発はしなかったものの、シデーは隣人から、呪われたミサイルが何かを連れてきたと告げられる。それは風に乗って移動しながら人に取り憑くと言われる邪悪な精霊ジンだった。
アマゾンより
アンダー・ザ・シャドウの感想と評価
ババク・アンヴァリ監督によるイランを舞台にした密室ホラー映画。アラブ系のホラー映画なんて珍しいな、と思って見たけどかなり期待外れでした。
物語は、イラン・イラク戦争が勃発し、夫が戦場に出向いている間、妻と娘が自宅で怪奇現象に出くわす様子を描いていきます。
怪奇現象といっても、娘が情緒不安定になったり、娘が大事にしている人形がなくなったり、ベッドシーツが暴れたり、これで誰が怖がるんだよっていう演出に終始します。
迫力がなく、スケールが小さく、基本的には狭い建物の中だけで撮影しているので、ストーリーだけでなく絵的にもつまらないです。あの分だと下手したらロケ地はイランですらない可能性もありますね。だってイランじゃなくてもいいもん。
それでも舞台をイランにしたのは、メインの題材がアラブ世界で知られる邪悪な精霊ジンだからからでしょう。
ある意味、ジンありきのジンのゴリ押し映画といってもよく、やたらとジンジンうるさいです。そのジンがまた姿が見えるわけでもないので、迷信や都市伝説に近く、映像としての恐怖が全くないのがダメダメです。
アラブ社会では知られる存在らしいけど、そうじゃない人からしたらジンって誰よ?って話じゃないですか。日本でいう花子さんみたいもんなんでしょうかね。
ちなみにジンは超自然的な生き物の総称として使われる言葉らしく、アラジンと魔法のランプの精ジーニーの語源もジンだそうです。
だからといってベッドシーツがバタバタ揺れるだけでお化けだぞーって言われてもね。「ア・ゴーストストーリー」もそうだったけど、最近シーツのお化けが流行ってるんですか? 色んなお化けがいる中でシーツのお化けが一番腹立つかも。
見どころはほとんどないので、お母さんが美人なのが唯一の救いでしょうか。イラン人女性って家の中でも保守的な恰好をしているのかと思ってたら、お母さんがタンクトップでエクササイズ始めたり、意図的なのかややセクシー路線なのにはびっくりしました。
性格もかなり情熱的で、すぐ不機嫌になったり、わがまま言ったり、怒鳴ったり、ミサイルの攻撃が始まるから旦那が避難しろと忠告しているのにもかかわらず、のほほんとテヘランで暮らしたり、ある意味ジンよりも怖い存在でしたね。あいつ、危機感のなさすぎだろ。
それであれだけ家に残ることをこだわっていたお母さんが最後はあっさりジンに追われるように車で出て行ったのには笑えました。
それならそうと最初から避難すればいいじゃん。結局ただの頑固な女が引っ越しする話かよ。
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