芸術の名のもとに視聴者に精神的苦痛を与える時間泥棒映画。議論を起こしたくて仕方がないといった作風が寒いです。11点(100点満点)
ハウス・ジャック・ビルトのあらすじ
ジャックは運転中、車が故障し路頭に迷っている女性と遭遇する。女性は横柄な態度で接してきたが、ジャックは仕方なく彼女を自分の車に乗せ、修理屋まで連れて行ってあげる。
自分でタイヤを交換するために修理屋で車載ジャッキを直してもらい、二人は再び車のあるところまで向かったが、今度はその車載ジャッキが壊れてしまう。
女性は再びジャックに修理屋まで乗せていくように半ば強引にジャックの車に乗り込む。あまりの横柄な態度にジャックは車載ジャッキで女性の顔を殴り、殺害してしまった。
こうしてジャックは殺人の味を占め、やがてそれをアートとみなし自分のライフワークにしていく。
ハウス・ジャック・ビルトのキャスト
- マット・ディロン
- ブルーノ・ガンツ
- ユマ・サーマン
- シオバン・ファロン
- ソフィー・グローベール
- ライリー・キーオ
- ジェレミー・デイビス
- エドワード・スペリーアス
ハウス・ジャック・ビルトの感想と評価
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」、「メランコリア」、「ニンフォマニアック」、「アンチクライスト」などでお馴染みのラース・フォン・トリアー監督によるシリアルキラーを芸術的に描いて失敗した作品。
殺人を覚え、女性を中心に次々と人々を殺していく精神異常者の頭の中を哲学と歴史を絡めてつづった、2時間半にも及ぶ極めて退屈な話です。
物語は、事件ごとに分けられ、全部でエピローグを含む6部構成になっています。残虐で大胆な殺しのシーンとジャックの異常性を描くシーンはそこそこ見ごたえがあるものの、それ以外の無駄な対話シーン、不快な音楽、無関係な挿絵や歴史映像の数々にイライラさせられること間違いなしです。
シリアルキラーが冷凍庫に何人もの殺した被害者の死体を保管していったり、アメリカだったらありえなくもない話だけど、死体の処理や証拠隠滅の仕方は雑だし、目撃者は多数いるのにお咎めなしだし、そもそもなんであいつはあんなに悠々自適に暮らしてるんだよっていう疑問点が晴れないままでは話に入っていけませんでした。
おそらくラース・フォン・トリアー監督はただの連続殺人事件映画にはしたくなかったんでしょう。そこで何をしたかというと、殺人者のジャックとヴァージこと詩人のウェルギリウスを対話をさせて、ジャックが犯した事件を取り上げ、ジャックの狂った考えや殺人哲学をディスカッションしていく手法を取っています。
二人のディスカッションが興味深いのならまだしも、芸術かぶれの不毛な会話が繰り広げるだけの内容に体力と集中力を奪われましたね。
それならむしろ普通のサイコスリラーにしてもらいたかったし、恐怖でも与えてくれればよかったのに。どこか残虐な行為の全てを滑稽かつ笑いにしているようなところがあって、かといってブラックコメディー風に皮肉ってるわけではなく、終始シリアスなトーンで小馬鹿にしている感じが不快で仕方なかったです。
子供をライフルで撃ち殺したり、死体で遊んだりする下りは話題作りでしょうね。「アンチクライスト」のときもそうだったけど、面白い映画を作るというより、話題作や衝撃作をドヤりながら撮っている気配があって嫌ですね。
「アンチクライスト」とかなり雰囲気が似ているので、それでも一部のマニアは喜ぶんだろうなぁ。
コメント
不快に思ってる時点で、監督の意図にズブズブっと嵌まっているような気がしますが・・・
意図的に不快にさせようとしてるなら、性格悪いなあ、この監督。
トリアーはニーチェ同様信仰の人であり、彼の映画には神が存在します。彼の態度はプロテスタンティスム的で、教会(映画界)に籠る神学者(例えば、彼を追放したカンヌの審査員)たちに対する痛烈な批判がこの映画の核だと思いました。
ヴァージは詩人ウェルギリウスで、黒服の案内人はソクーロフ監督「エルミタージュ幻想」を想起させられました。また映画の作りは「ゴダールの映画史」とも通じています。
被害者も、進歩主義者(トリアーを訴えたビョークにも重なる)、保守主義者(金になるなら受容する)、反動主義者(トリアーをポリコレと闘う父と扇ぐ)、四人目は特殊でシンプル(理論や解釈を持たない人=純粋)であり、最後はナチスを肯定した(=人間を単なる素材とみなした)ことにより神への背徳から地獄に送られるという流れだと思いました。
ミスター洗練は神の遣いを自称し、アートにおける様々な態度の人々を殺害していきますが、結局彼(トリアー)も哀れな芸術家に過ぎないということなのでしょう。
某映画サイトで高評価ばかりだったことに期待して観に行った自分が無知で愚かであったなと深く反省しながら鑑賞後にサイト内で高評価を付けていた方のコメントを読みつつあーこれはこの監督の作品が好きで好きでたまらない信者しか観に行ってはいけなかったタイプの作品であったかと重ねて反省を繰り返しながらも流石に無駄にしたお金と時間のことを考えると胸糞悪いなクソが無駄におもしろそうなポスター作ってんじゃねえよ最後のクッパ城みたいなクソCGでも貼っとけクソクソとくすぶりながらあちこちザッピングしていたところ、こちらの記事を見つけいくらか胸がスッとした次第です。ありがとう私には合わなかった
不快にさせられますよねぇ。逆にこの映画が好きな信者は、どこが気に入ったのか知りたいです。
へんな映画で、やたら長く感じつかれました。
残虐でも映画として面白いならいいのですが、面白くないので、ただの不快な残虐シーンとブツブツ話してるだけ映画でした。
何を伝えたくてこの映画自体を撮ったのか、さっぱりわからなかったです。
私の無知が悪いのでしょうか。