まるでコロナウイルスを予言していたかのような内容でパンデミックを経験した後に見ると、また違った感想を抱く映画。恐怖度は低めですが、現代のパンデミックの世界的な状況をものすごくリアルに伝えています。62点(100点満点)
コンテイジョンのあらすじ
ミッチ(マット・デイモン)の妻・ベス(グウィネス・パルトロー)は、香港への出張後にシカゴで元恋人と密会していたが、せきと熱の症状が出始める。同じころ香港、ロンドン、東京で似たような症状で亡くなる人が続出。フリージャーナリストのアラン(ジュード・ロウ)は、伝染病ではないかと考え始め……。
(シネマトゥディより)
コンテイジョンのキャスト
- マリオン・コティヤール
- マット・デイモン
- ローレンス・フィッシュバーン
- ジュード・ロウ
- グウィネス・パルトロー
- ケイト・ウィンスレット
コンテイジョンの感想
「ローガン・ラッキー」、「恋するリベラーチェ」、「マジック・マイク」、「エージェント・マロリー」、「ガールフレンド・エクスペリエンス」、「サイド・エフェクト」などでお馴染みのスティーブン・ソダーバーグ監督によるスティーブン・ソダーバーグ監督の感染病パニック映画。
複数の登場人物の状況を同時進行で追っていく群像劇で、ドラマチックさやストーリー性に欠けます。
スティーブン・ソダーバーグ監督にありがちな、ただ淡々と話を進める手法を取っているので退屈に感じる人もいるでしょう。僕も初めて見たときはそうでした。
しかしながら2011年公開の作品であるにも関わらず、まるでコロナウイルスの状況を見ているかのような描写の数々はお見事ですね。
コロナとの共通点はおおよそこんなところでしょうか。
- 感染源がコウモリ
- 流行の震源地が中国。
- みんながマスクをつけだす
- 学級・国境閉鎖がされる
- 人々が外に出なくなる
- デマやフェイクニュースを信じる者が現れる
- 医療関係者たちの命がけで働く
- 暴動や強奪が起こる
もちろん違うところも多々あって、例えば感染から死ぬまでがあまりにも短く描かれていますね。発作を起こして泡を吹いてばたっと死ぬ、みたいな演出はいかにもパンデミック映画的ではあります。
過去のスペインかぜなどの世界的パンデミックの情報や資料があったとはいえ現代風にアレンジして、リアルティーを創り上げるのは相当な想像力が必要だったはずです。
感染病の状況なんてだいたい変わらないんだから、想像に難しくないといった意見もありますが、絵的にも、ストーリー的にも安っぽくならず、またSFにもならずに世界観を作るにはそれなりのセンスが必要でしょう。あるいは時代や現実がSFの世界に近づいてしまったとも考えられそうです。
初めて僕がこの映画を見たのが公開当時の2011年でした。ただ、この映画を理解し、本当の恐怖を感じるには僕の想像力は追いついていませんでした。
当時は世界中で感染症が起こって、世界中の国境が封鎖されて、誰も外出しなくなるなんて、やりすぎだろって思ったわけですよ。いくらなんでも医学も進歩したんだし、ここまでひどい状況にならないでしょ、と楽観視していたんです。でも実際は違いましたね。
医学用語がじゃんじゃん出てきて理詰めで謎の感染症について説得を促される感もありますが、感染症の専門医が「顔を触るな」と注意を促している状況などは今と全く同じで、またくしゃみや咳に対して人々が異常に警戒する下りなど、なかなかの再現ぶりですね。
また、感染病が爆発的に広がった末の世界ともいえる表現もちらほらありました。アメリカだけで数百万人が死ぬ、というのはさすがに大げさかもしれないけど、コロナだってこのまま収束しなかったら暴動や略奪は多発するでしょうね。
さすがに日本では起こらないかもしれないけど、僕の住んでいるブラジルではすでにスーパーに食料を大量に買い出しに行く客を狙った強盗とか起こってますからね。薬や食べ物を求めて人々がパニックになる状況もなきにしもあらずです。
ワクチンが完成したら、抽選になるっていうのもちょっと大げさじゃないかなぁ。現代の製薬会社の生産力ならニーズに応えられそうだけど、さすがに数百万人単位の感染者がいたら、ワクチンが打てるまで1年待ちなんていう状況にもなってくるんでしょうか。
それにしてもこの映画、キャスティングが豪華ですね。公開当時はマット・デイモンぐらいしか印象に残ってなかったけど、「君と歩く世界」や「サンドラの週末」などで知られるフランス人女優のマリオン・コティヤールまでいたんですね。それにケイト・ウィンスレットまでいるし。
このときのマリオン・コティヤールとマリオン・コティヤールはどっちもスーツでびしっと決めていてセクシーで格好いいですよね。あの二人からならたとえ感染病を移されても幸せに死ねる自信あるわ。
コメント
44点はびみょ~な点数ですね。
アメリカ人にある時こう聞かれました。
「日本人は毎日寿司を食べてるのか?」
可笑しいから笑っちゃったら不思議な顔で私を見ました。
アメリカ人だって毎日ハンバーガ―を食べないでしょう?
それともその人は毎日ハンバーガーを食べてるのかな?
mamarin42さん微妙な映画なので微妙な点数にしておきました。それとアメリカ人は毎日じゃないしにしろハンバーガーよく食ってますよ。
えーほとんど毎日ハンバガーなんて信じられませんね。
私は肉が好きですが胸が焼けそう~。
https://theriver.jp/contagion-doctor/
『コンテイジョン』の監修を担当した医師がコロナに感染したらしいですよ。
皮肉ですねえ。
らしいですね。
知ってましたが観てませんでしたが、
観よう!と決めました!
これはおすすめ
さっき観たばかりなのにもう忘れてしまっている・・。
映画男さんは、こういうのを毎日のようにやっておられるわけでしょ!?
それすごい特技ですね。
と、映画に関係ないところで感心してしまいます(笑
つまんない映画は僕もすぐ忘れます。
リクエストお願いしていいでしょうか?映画男さんのプラトーンの感想を聞きたいです。私もプラトーンが戦争映画で一番好きなので是非映画男さんのご見解を聞いてみたいです
プラトーン、今みたらどうでしょうね。昔は強烈な印象を受けた覚えがありますが。また、機会があれば見てみます。
小松左京の『復活の日』と比較する人も一定数いますね。
「宇宙から採取したウィルスから作った化学兵器が誤流出した」とかなり突拍子もない設定ですが。
そんな比較があるんですね。
ブログを読んで気になって見ました。
今の状況に酷似で笑えない話でした。というか、起きた事の再現でなくここまでのリアリティを出せるって凄いですね。
裏方の医療関係者たちがワクチン開発や感染経路追跡とかキチッと地道に仕事していて、まさに今こういう事が行われているのかなあと思いを馳せずにいられませんでした。
有名俳優の使い方に容赦がなくて良いですね、グウィネス開始10分で死亡とか。
日本では感染死者が500人台になった辺りで収束が始まり、現在は首都圏を除く地方では緊急事態宣言が解除され始めましたが、スウェーデンと同じく「ノーガード戦法」をとったブラジルはどんな感じなんでしょうか?
この手の「感染病系映画」であまり描かれない現実が見られました。
「視聴率欲しさに徒に危機や不安を煽るマスメディア」「専門知識が無いのに、自己顕示欲からデタラメな情報を発信する医療関係者」「中国からPCR検査キットの余剰在庫を買い占めて日本で売って荒稼ぎしようとしたITベンチャー社長」「普段は反体制リベラルを気取っていながら、感染最前線で戦う医療関係者を差し置いて、『政府は早く俺たちのビジネス損失を補償しろ!』と恥も外聞も無く叫ぶ歌手・役者等の芸能人」「TVに煽られて自粛閉店していない店を襲う一般市民の通称『自粛警察』」「リタイアして家でやる事が無いので大型小売店やドラッグストアに朝から並びマスクや消毒液を買い占める老人」…etc。
ブラジルだとどんな感じなんですかね?
ブラジルはノーガード戦法を取ったわけでなく、全国でロックダウンをしたのにも関わらず、今のような有様(現時点で感染者数世界3位)になっています。この混乱の中、政治家たちはやりたい放題で、また国民は全部大統領の責任にしているような感じですかね。不思議とブラジルでは買い占めは起こっていません。そもそも買い占めるほどみんなお金持ってないのと、スーパーがちゃんと制限をかけてるのが理由でしょう。