家族3人の微妙なやり取りをつづった上級者向け欧州映画。娯楽度はかなり低めです。42点(100点満点)
映画「息を止めて」のあらすじ
一見幸せそうな3人家族はみんなの羨望の的。そんな家族でもドアの向こうでは、それぞれの興味は別々で相容れない。お互いの理解を深めるための努力なく、3 つの平行線が描かれることに。平行線は再び交わることがあるのかどうか。
Amazonより
読者のももんがさんのリクエストです。ありがとうございます。
映画「息を止めて」の感想と評価
リナ・ルジーテ監督によるリトアニア産家族ドラマ。崩壊寸前の夫婦とその娘の関係性を描いた、冷たくて、寂しくて、ちょっと意味不明な芸術路線映画です。
大きな出来事を起こさず、登場人物の表情や仕草で淡々と状況を伝えようとするフランス映画っぽい雰囲気のある作品で、欧州映画が好きな人にはいいかもしれません。一方で何も起こらなくて退屈な物語と受け取る人がいても不思議じゃないです。
リトアニア人だからか、あるいはあえてそういう描写をしているのか、登場人物の行動が奇妙で一筋縄にはいきません。特に医者である奥さんの行動が不安定で夫婦のツンデレぶりがすごいです。
奥さんは、娘にチョコレートケーキもポテトチップスも食べさせないような厳しい母親で、旦那に対しても期待値が高く、もっとああして欲しい、こうして欲しいという不満を常に抱えている様子です。
旦那がスタントマンの仕事をするというと怒り出し、撮影で3か月家を出るというともう帰ってくるなと言い、元彼らしき男と会っては誘惑したかと思ったらまた突き放したり、情緒不安定なところが続きます。
ただ、寂しいだけな構ってちゃんの典型なんですが、ある意味あの奥さんの不安定さを楽しむ映画といってもいいですね。
「ベティ・ブルー」、「エル」、「若い女」、「17歳」、「熟れた本能」などフランス映画も結構ぶっ飛んだ女性キャラクターが出てくるけど、この映画も負けてませんね。頭のおかしい女って実生活では嫌でも映画の題材としては最高なんですよ。
奥さんはなにかもコントロールしたいんでしょうね。お医者さんでステータスがあり、今までもなんでも自分の望む通りにしてきたとも考えられます。
しかしそんな彼女に対して、旦那は無関心、娘は愛情を感じていない様子です。娘はすごいタイミングで家出しちゃったりして、親子そろって行動がぶっ飛んでましたね。
カウンセラーが家に来たとき、家族全員がハグをするんですが、娘は母親にはハグをしたがらないのに対し、父親には両手を回してハグをしているところなんかを見ても、母親のことが嫌いなんでしょう。
ジャンクフードを食べさせてくれないから嫌いなのか、あるいはそもそも料理がクソまずくて、ジャンクフードを食べてるほうがましだと思ってるのか微妙なところです。あのパンケーキの形といい、焦げ具合といい、あまり料理得意そうじゃなかったですもんね。
描写が細かくて、色々と見落としているところがありそうな、そんな難解な映画でした。字幕もあまりいいとは言えないクオリティーで余計に理解するのを難しくしています。
ラストなんて僕にはお手上げでした。奥さんはなにがしたかったんだろう。近所で事故が起きて、旦那と娘が被害に遭ったかもしれないと思い、外に飛び出て行ったはいいけど、いざ二人を見つけると、その場が走り去っていきます。
あれは旦那と娘が仲良くしていたから悲しくなったのか、二人が生きててよかったという感極まる涙なのか、いずれにしても一人で泣く意味が分かりませんでした。
ただ、頭のおかしい人のことを理解しようとするほど、不毛なことはないのでこれ以上は考えるのをやめておこうと思います。
コメント
リクエストに応えて下さりありがとうございました。
映画男様の評価が自分が想像していたより高く驚きました。
この作品で自分は何も得られなかったのですが、「頭のおかしい女を観る」
で納得いきました。
これからも記事楽しみにしています。
リクエストありがとうございました。頭のおかしい女は、嫌いじゃないです。映画の中であれば、ですが。