登場人物がギャーギャーうるさいだけの薄っぺらい贖罪ドラマ。人物描写の下手さには飽きれるレベルです。6点(100点満点)
映画友罪のあらすじ
ジャーナリストを目指していたが挫折し、生活のため町工場で働くことになった益田(生田斗真)は、同時期に働き始めた鈴木(瑛太)という男と出会う。鈴木は周囲と交流せず、過去を語ろうとしなかったが、同い年の二人は次第に打ち解け友情を育んでいく。しかしあるきっかけから、益田は鈴木が17年前に世間を騒然とさせた連続児童殺傷事件の犯人ではないかと考え……。
シネマトゥデイより
映画友罪の感想
「最低」、「64-ロクヨン」、「楽園」など話題性のある駄作で知られる瀬々敬久監督による、ごちゃごちゃしていて、中身がちっとも伝わってこない、まとまりのない作品。同名小説の映画化です。
いろんな意味で下手だなあって思わせる映画ですね。誰が誰だかよく分からないキャラ設定、つながりのない複数のストーリー、ドラマチックにしすぎた演出、優しくてまともな人が一人も出てこない世界観。
そのすべてがネガティブでマイナスのほうにしか向いていなくてバランスが取れていないんですよ。暴力的で嫌な奴しか出てこないじゃないですか。
そもそも大の大人が無意味にあんなに人を殴らないじゃん。日本っていつからあんなに無法地帯になったんだよ。なにかとみんなすぐ大声を上げるし、まるで違う人種を描いていますよね。
成人した男性で、「友達なんだから本当のこと教えてくれよ!」なんてこと言います? 「俺たち友達じゃん!」とか小学生のセリフかよ。「友達」っていう関係性を強調しないと聞きたいことも聞き出せないなら友達じゃねえだろって。
それにしてもなんでこんなにいろんなエピソードを詰め込むんでしょうね。殺人、自殺、交通事故死、レイプ、中絶、いじめ、などなどとにかく思いつく限りの不幸ワードを取ってきて話を膨らませただけなんですよね。それも全部ありきたりな。
こんなにリアリティーのない話なのに「少年A」っていう言葉を使って酒鬼薔薇事件を連想させているところがいやらしいです。実際は無関係らしいんですが、連想させちゃうところにあざとさを感じます。
贖罪をテーマにしたいのはまあ分かります。ただ、罪を犯した者は一生それを償うために苦しみ続けるはずだ、っていうのを前提に描いているところが浅いですね。固定観念の塊じゃん。
それでみんな当然その傷と真正面から向き合い、罪の意識に苛まれながら生きていると思い込んでるところがさすが平和な日本でのんきに暮らしている人の発想だなあという感じがします。
だって重罪を犯した人の中には全く反省なんてしてない奴とかいるじゃん? なんでそっち側の人間も描かないのよ? 考え方が甘ちゃんなんだよ。
罪人の大部分がみんなあんなに後悔してるんだったら再犯とか起こらねえって。おそらく監督も作家も実際に人を殺したことがある人から話を聞いたことないんじゃないかなぁ。
なんでこんな話をするかというと、僕の住むブラジルでは普通にいるんですよ、人を殺したことのある人が。
例えば警察官とか、銃を携帯する警備員なんかは一度や二度経験していてもおかしくないことです。
一般人でも強盗を撃退して殺したとか、よくある話なんです。中には喧嘩で人を殺しちゃったとかもね。
それでそういう人たちに実際に話を聞いたことが何度もあるけど、深刻な顔をして「殺人」について語る人はほとんどいなかったですよ。
喧嘩の末に殺人を犯し刑務所に入ってた人とも話をしたけど、彼の場合は武勇伝のように笑いながら語っていました。本人にとってはネタでしかないっていうね。
あ、こいつ反省してねえなっていうのが分かって鳥肌が立ったんだけど、案外本人からすると、その程度のことだったりするのが現実なんですよ。もちろんどういう神経しているのか到底理解できないし、信じられないですけどね。
贖罪系の物語ってこの映画に限らず基本そういうケロっとしている元犯罪者を無視しているからダメなんです。それで一方的な決めつけで人物を描くでしょ。犯罪者は後悔しているに違いないっていう。もはや同じ人間としてそうであって欲しいっていう願望ですよね。
罪の償い方も遺族に何度も会いに行って謝罪するとかワンパターンだしね。みんながそうしてるって思ってるのかな?
それにしても瀬々敬久監督は「64-ロクヨン」から全く成長してないじゃないですか。あんなつまんない映画を誉める奴がいるからこんなことになるんですよ。
リアリティーなし、うるさい、つまらない。お願いだからどれかひとつぐらいは改善しようよ。全然反省してねえな。
コメント
映画はゴミでもレビューは最高でした!
ありがとうございます。