女子中学生がナイフでいじめっ子たちを刺しまくる、なにかと痛い映画。残酷さを売りにしている決して見てて気持ち良くはならない学園ホラーです。42点(100点満点)
映画ミスミソウのあらすじ
東京から田舎に転校してきた野咲春花(山田杏奈)は、学校でひどいいじめを受けていた。唯一心を許せる存在は、同じ転校生の相場晄(清水尋也)だけだった。彼の存在を頼りに学校生活を送っていた春花だったが、いじめはどんどんひどくなっていく。ある日、彼女の自宅が火事になってしまい……。
シネマトゥデイより
映画ミスミソウの感想
「先生を流産させる会」で知られる内藤瑛亮監督による、いじめられっ子の女子中学生が巻き起こす復讐劇。同名漫画の実写化です。
物語は、東京出身の野咲春花が田舎の生徒数の少ない中学校でいじめに遭い、やがて不登校になるところからスタートします。
学校に行かなくなってもいじめは終わらず、ついにはいじめっ子たちに家を焼かれ、両親を殺されてしまう、というのがストーリーの流れです。
序盤は陰湿ないじめに不快感を抱き、中盤は壮絶な復讐に恐怖を覚え、後半やりすぎの演出に笑ってしまうホラー映画です。
学生がお互いを殺し合う「バトルロワイヤル」の雪国バージョンといった感じで、まともな人が一人も出てこない極端な設定の中で成り立っています。
登場人物はもれなくクズです。学校でいじめがあっても先生は見て見ぬふり。両親は無能。警察は全く動かない、という中で中学生たちがナイフで刺したり、ボーガンで撃ったり、鉄パイプで殴ったりする残虐なシーンが見どころとなっています。
これでもかというぐらいの執拗ないじめのシーンから主人公が両親を殺されて復讐に出るまでの流れは良かったんですけどね。ヒロインがキレたときの鉄パイプの振りかぶり方が強烈で、大谷翔平なみのスイングでした。
暴力の描写はえぐいし、迫力あるし、日本のホラー映画では久々に「怖い」と感じましたね。しかし「怖い」時間帯があっただけで、恐怖を最後まで保つことができていないのが残念でなりません。
生徒全員が殺人鬼になるみたいな展開はもはやコメディですよね。先生が除雪車に巻き込まれる必要なんてないし、恋人役の男の子が暴力的になるのも辻褄が合わないですよね。あれだけ暴力的なら好きな子がいじめられてる時点で体張って守るだろ。
あと、ミスミソウの花のエピソードは全くいらないですよね。なんで日本映画ってああいう、つまらないウンチクを入れてくるんだろう。
漫画だからしょうがないといえばそれまでなんだけど、もうちょっとリアリティー路線で行ったら海外でも受けそうなぐらい、ものすごく面白いホラー映画になってたはずですよ。
まず、キャストからして田舎の少人数の学校の生徒がみんな美男美女すぎるんですよ。ぶーちゃんが一人か二人いるだけで、あとはみんなルックス重視でキャスティングしてるのがダメですね。閉校寸前の学校にあんなに可愛い子ばかりいるわけないじゃん。
ああ、もったいない。
コメント
質問なのですが、記事の文章のなかに『日本のホラーのなかに久々に「怖い」と感じましたね。』という文章があったのですが、ジャンルや毛色が違うものの、以前同じいじめへの復讐を題材にした映画で吉田恵輔監督の『ヒメアノ~ル』があったと思うのですが、『ヒメアノ~ル』と『ミスミソウ』だったらどっちが怖かったのですか?
また、映画男さんの総合的な評価として『ミスミソウ』よりも『ヒメアノ~ル』のほうがより恐怖感を最後まで保っていた映画だったのですか?
ヒメアノ~ルのほうが全然怖いです。ヒメアノ~ルは完成度も高いし、殺人鬼がリアルですよね。感想はこっちに書いてあります。
https://www.tadamonkugaiitakute.com/19986.html
映画男さんが「『ヒメアノ~ル』の方が全然怖い」とおっしゃっていたのでこの間早速『ミスミソウ』を観賞してみました。
この映画を観賞したと同時にこの映画の原作漫画を読んだ私が思った結論なのですが、映画男さんの言う通り『ミスミソウ』よりも『ヒメアノ~ル』の方が全然怖いなぁと思いました。
まずこれは原作にあった下りだったので敢えて製作者が入れたと思うのですが、先生が除雪車に巻き込まれる下りが物語上必要なかったと私は思いました。そもそも主人公の春花の復讐劇がメインなのにわざわざ先生の話を入れるところがどうも蛇足気味になっているし、そもそも原作では丁寧に回想込みで描かれているのに先生やいじめっ子の父親が説明するという感じでやっているので、だったら先生が除雪車に巻き込まれる下りって果たしているの?と思いました。
次に映画男さんの『ミスミソウ』の記事で「恋人役の男の子が暴力的になるのは辻褄が合わないですね。」という記述があったのですが、確かに原作通りなのでなんとも言えないところではありますが、個人的には
あの登場人物を暴力的になる必要性を伝えきれていなかったというのが難点だったのかなぁと思います。さっきの先生が除雪車に巻き込まれる下りの件同様、こちらも恋人役の男の子の過去が語られるのは説明台詞というのも説得力が欠けていて、惜しいと感じてならなかったです。
そして、この映画に関しては主人公の春花と元親友のいじめっ子の関係性がメインであり、原作ではそのいじめっ子が死んでるのに対して映画版では生きているので、『ヒメアノ~ル』のラストにあった昔の森田と岡田が仲よくしているシーンのような感動的で切ないものを期待していたのですが、見せ方が悪いのか、何故かラストシーンでは切なさが物足りなかった気がしました。
結論からすると、『ミスミソウ』は確かに怖い映画ではあったのですが、映画男さんの言う通り、恐怖感を最後まで保つことが出来なかった映画だと思いました。
長文すいません。
詳しい感想ありがとうございます。わざわざ『ヒメアノ~ル』見てくれてうれしいです。『ヒメアノ~ル』は怖いですよねぇ。
原作ではたえちゃんは死亡しますが、映画では生き残りラストに教室で在りし日の姿(主人公とたえちゃんが微笑ましく仲良しくしているシーン)を見つめています。
この映画のラストシーンを原作者が見て「ラストこれにすればよかったーー!」と言わしめた映画です。