映像はきれいだけど、ストーリーは滑りまくっているSF的家族ドラマ。彗星が落ちてくるけど、さあどうするっていうくだらない話です。15点(100点満点)
東京彗星のあらすじ
2021年、東京。親のいない少年ショウ(10)は、兄ソラ(20)とふたりで小さなアパートで暮らしていた。ある日、東京に地震が。ショウは心配して仕事中のソラに電話するが、そっけない。ソラは仕事をクビになっていた。
そんななか、突如「1年後、東京に彗星が落ちる」というニュースが発表される。都民は次々と避難していき、不動産相場も暴落、治安も悪化。どんどん人が去っていく首都・東京で職も希望も、生きる気力も失ったソラは、ショウだけを学童疎開で岩手に送ると言う。一緒に避難しようと譲らないショウはソラとケンカしたまま、政府の手配でひとり岩手へ避難する。
兄ソラと連絡が取れくなったまま数ヶ月が過ぎた頃、疎開施設のショウの部屋に、東京から新しい子供がやってくる。彼が混乱する東京で家族を失ったことを知ったショウは、たったひとりの家族である兄を助けるため東京へ向かおうと、深夜の路上へ。果たしてショウは、兄と再会し一緒に逃げることができるのか。
東京彗星衝突まで、あと7日…。
東京彗星公式サイトより
東京彗星の感想
ショートショートフィルムフェスティバル&アジアで賞を獲った洞内広樹監督による、短編映画。現在、U-NEXTで独占配信されています。
彗星が落ちてくることが確実視されている東京を舞台に兄弟が喧嘩したり、一緒に逃げたりする人類滅亡系家族ドラマです。
物語は、1年後に彗星が東京に落下する、というNASAの発表をテレビが伝えるところからスタートします。
時代は東京五輪後の2021年。両親を亡くし、兄弟二人でほそぼそと暮らす弟ショウ(10)と兄ソラ(20)は避難するかどうかの決断に迫られていました。
そんな中、兄のソラは東京に残り、弟のショウだけ岩手に疎開しますが、連絡の取れなくなった兄のことを心配して、弟のショウが岩手から東京に兄を探しに行く、という物語になっています。
二人して東京にいたのにわざわざ一人だけ岩手に行ってまた助けに戻ってくる、という堂々巡りストーリーがまずいけませんね。じゃあ最初から東京にいとけよって話じゃないですか。
そういえば東日本大震災のとき僕の姉夫婦は子供二人を連れて東京から沖縄に避難したんですが、2、3日滞在したら逆に疲れてまた東京に戻ってましたね。ただの家族旅行かよって。そういうレベルの話ですよね、これ。
それも助けに行くのが弟で、兄のほうがポンコツっていうのも響かないですね。幼い弟がお兄ちゃんを救うためにヒッチハイクして東京に向かう>その道中で優しくて強いおじさんに会う>おじさんのトラックでお兄ちゃんを迎えに行くっていう流れがさむいです。
兄がキレるシーンやおっさんの暴力シーンも必要ないです。おっさんがいちいち恰好付けるのも痛いですね。
ドラマチックにしようしようというのが目に見えちゃって、登場人物の言動がもはや日本人っぽくないんですよ。
あと、彗星の落下日時と場所まで正確に当てるほどの情報があるのに彗星の大きさや予想被害については結構アバウトなんですね。「小規模な彗星」ってどれだけ小さいんだよって気がするし。
この映画の最大の問題点は、わずか20分程度の短い尺の中に東京五輪、彗星落下、東日本大震災などの様々なビッグワードと出来事を詰め込みすぎたことでしょう。
特に東日本大震災に絡めたのは失敗でしたね。3月11日に人が亡くなったから東日本大震災の被災者だっていう下りは日本人には通じるかもしれないけど、日付を聞いただけでは外国人にはピンと来ないからね。
世界中の誰が見ても分かる表現を使ってるのかどうかも結構重要で、スケールの大きな話にしてはターゲット層が小さいなあとも感じました。
それに今、邦画で東日本大震災をテーマにする作品ってたいがい滑りますよ。家族の絆や絶望感を描くのに災害を使うのなんて安易だし、誰でもやる手法だから。日本の天災をテーマにした面白い映画あります? ないでしょ?
コメント
天災がテーマなら日本沈没と妖星ゴラスですね。面白いですよ。合うかどうかはわかりませんけど、
残念ながらどっちも無理そうです。
例によって安物の「感動」を詰め込みすぎ。
あんなクズな男がコロッと良い人に変わるか?
映画としてもクズですが、もっと悪いことは、まだまだ記憶も生々しい悲痛な被災をネタに、二束三文の感動を押し売りする駄作。
というか悪質。
ですね。
邦画の監督はそういうタイプが多いですね。社会が変に感動を求めているからなのかもしれません。