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婚約者の友人は予想外の大人向け恋愛ドラマ!感想とネタバレ

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この記事は 約5 分で読めます。

ある人物の死をめぐり、二人の男女が恋愛を繰り広げる大人向けフランス映画。いろんな解釈ができそうな物語です。67点(100点満点)

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婚約者の友人のあらすじ

1919年のドイツ。婚約者のフランツが戦死し悲しみに暮れるアンナ(パウラ・ベーア)は、フランツの墓に花を手向けて泣いているアドリアン(ピエール・ニネ)と出会う。フランツと戦前のパリで友情を育んだと語る彼に、アンナとフランツの両親は次第に心を開いていく。やがてアンナがアドリアンに婚約者の友人以上の感情を抱いたとき、彼は自らの秘密を明かし……。

シネマトゥデイより

読者のスプーンねえさんのリクエストです。ありがとうございます。

婚約者の友人の感想

危険なプロット」「彼は秘密の女ともだち」「17歳」「2重螺旋の恋人」「グレース・オブ・ゴッド告発の時」などで知られるフランソワ・オゾン監督による、第一次世界大戦後のフランス人とドイツ人男女の恋愛ドラマ。

先が全く読めず、決して一筋縄ではいかない、ことごとく予想を裏切られる大人の恋愛ストーリーです。

物語は、ドイツ人女性のアンナが戦争で亡くなった自分の婚約者の墓場に花を添えるフランス人の男アドリアンを目撃するところからスタートします。

ドイツとフランスは第一次世界大戦で敵国同士。そのため終戦後もお互いの国では根強い憎しみが広まっていて、アンナの婚約者もドイツとの戦いで命を落としています。

そんな中、フランス人と思われるアドリアンがわざわざ婚約者の墓にまで訪れ、涙を流す姿を見てアンナは彼のことが気になり始めます。

戦争では両国は憎しみあっていたものの婚約者は個人的にフランスに強いあこがれを抱き、パリに留学をしていた過去がありました。

もしかすると、アドリアンは婚約者の友人かもしれない。そう思ったアンナは彼に近づき、家に招待し、婚約者との思い出を語ってもらおうとするが、、、という筋書きになっています。

よりによってフランス人に惹かれてしまうアンナ。日に日にアドリアンにのめりこんでいく彼女がアドリアンの本性を知って一体どういう行動に出るのか、というのが見どころです。

僕の最初の予想では、アドリアンは同性愛者で、フランスで実はアンナの婚約者とできていたんじゃないのか、というものでした。アドリアンの視線とか、ふるまいがちょっとゲイっぽかったので。

それで同性愛をカミングアウトして、アンナや婚約者の家族が困惑する話なのかなあと思っていたら、まさかの急展開が待っていましたね。

同性愛っぽさを出したのはいわゆる騙しとも取れるし、もしかすると本当にアドリアンはゲイなのかもしれない、という余韻を残すための演出ともいえそうです。

そして最後までアンナとアドリアンのツンデレ関係が続いて、もういい加減二人はどうするのよ?って聞きたくなるところで物語は一つの答えを与えて幕を閉じていきます。

同時に最後アンナは一体どこに行くんだろうか、あれからどうなるんだろうか、という視聴者に解釈をゆだねる謎を残すところはさすがフランソワ・オゾン監督ともいえるエンディングですね。

ラストはどう思いました? モネの自殺の絵を見つめるあたり、「自殺」を連想させるところがありました。

一方で案外アンナは美術館でイケメンと出会ってコロッと立ち直る可能性もありますよね。

美術館にいた男はなんとなくアドリアンに似てたし、ああいう系統が好きなのかなって。アンナは真面目そうな顔して、実はただのイケメン好きだったりして。

アンナにとってはフランスに自ら出向き、答えを出したことでアドリアンはもちろん婚約者の存在からもやっと解放されたとも考えられそうです。

戦争の悲しみをずっと引きずっていた彼女にとっては、アドリアンをきっかけに外に出るようになり、婚約者の死に一つの区切りをつけることができた、という気がしないでもないですね。

どうでもいいけど、フランス人って水を見ると、衝動的に飛び込みたくなるんですか? アドリアンが何度も突拍子もなく「今から、泳がない?」っていうのが笑えました。

ほかに気になったのは基本は白黒で途中でカラーに入れ替わることです。あれが意味するのは一体なんなのか。

最初は、回想シーンでカラーが使われたから、あえて現在を白黒、過去をカラーにするっていうのも面白いアイデアだなあと思ってたんですが、その後の使われ方は全く違ったもので、パターンが読めませんでした。

トンネルから出たらカラーになったり、アドリアンが倒れたら白黒に戻ったり、うーんよく分からなかった。監督いわく、感情的なシーンではカラーにしたんだそうです。

あと、なんかきれいな話のように描いていたけど、アドリアンの行動は遺族のことを無視した自己満足ですよね。結局、自分しか救われてないような気がするんだよね。

それにしてもフランソワ・オゾン監督の作品の幅広さにはいつも驚かされますね。官能ドラマも作れるし、サスペンスもできる。ちょっとユーモアが入るときもあればシリアスな映画も撮れるし、本当に器用ですねぇ。

コメント

  1. スプーンねえさん より:

    リクエストに応えていただき、ありがとうございます。嬉しいです。
    子供を寝かしつけた後に観たので、白黒の画面が眠気を誘うかなあ…なんて思いましたが全く眠たくなりませんでした。
    自分も最初アドリアンと婚約者の関係を腐った頭で妄想してましたが、その後のアンナの苦悩が描かれると本気で胸が痛くなり、土下座して謝りたくなりました。本当に先が読めませんでしたね。オゾン監督はなんでも作っちゃうんだなあ…と脱帽です。
    なるほど!確かにアドリアンは実は同性愛者の可能性は高いですね。あそこまでアンナにつれないし。でも余計にアンナが可哀想です。気のない女を泳ぎに誘うべきじゃないと思いますよ。服を脱がれたらドキドキしちゃうし。
    彼の行動は観ていて自分もイラつきました。状況が状況だし、遺族にしてみればあえてそんな話しをしにフランスから来られても…と思います。でも婚約者のご両親がめちゃくちゃいい人で、それに救われました。
    ラストですが、アンナはあの後結構ケロっと第二の人生をパリで送ったんじゃないかなあ…と自分は思いました。自殺の絵に希望を抱くぐらいだし。逆にあの絵はなんとなくアドリアンの未来なのかな…なんて思ってしまったり。やはりアンナはあのアドリアン似の男性と幸せになるんじゃないでしょうか。
    カラーになるタイミングですが、アンナに感情移入出来ると気にならなくなりました。
    あ!ちょっと今気分アガッてきたわ〜…って時にカラーになるので、よっぽど自分にはハマってたのかもしれません。
    あとフランソワオゾンの選ぶ女優って、みんな知的で可憐でなんかエロい、ひっそりとした美人が多い気がします。アンナ役の女優さんの唇のあたりに、ズキュンときちゃいました。