不思議ちゃんを愛する小学生低学年しか見てはいけないファンタジー家族ドラマ。末期の病気を使った同情と感動を誘う演出で、最後にきれいにまとめようとしているところがダメです。22点(100点満点)
バーバラと心の巨人のあらすじ
バーバラ・ソーソンは『ダンジョンズ&ドラゴンズ』やハリー・コヴェルスキーに触発された独自の空想世界を構築しており、しばしばその中に入り浸っていた。バーバラは巨人が他の世界からやってきて自分の住む町を破壊すると確信しており、襲来に備えて武器や罠の準備をしていた。
そんなある日、バーバラはイギリスから引っ越してきたばかりのソフィアと出会った。ソフィアはバーバラと親しくなろうとしたが、バーバラの方はソフィアを警戒していた。空想に没入するバーバラは学校で変人扱いを受けていたが、彼女はそれを意に介することなく、来たるべき巨人との戦いに注力していた。
wikipediaより
バーバラと心の巨人の感想
アンダース・ウォルター監督による、同名コミックの実写化。「ビッグフレンドリージャイアント」と「怪物はささやく」をミックスさせたような話で、いかにも漫画的ファンタジックなストーリーになっています。
物語は、学校に友達もほとんどいない変わり者の小学生バーバラが、いつか巨人がやって来て人々を皆殺しにすると信じ込み、そのときのために誰に何を言われようと準備をしておく様子を描いていきます。
バーバラは学校で変人扱いをされていて、いじめっ子たちと喧嘩をしたり、先生たちに暴言を吐いたりとトラブルが絶えません。
兄弟もいうことを聞かないバーバラにはうんざりしていて、バーバラはほとんど味方のいない孤独な世界の中、ひたすら巨人のことを考えるのでした。そしてそれだけ彼女が巨人に執着するのには実はある理由があった、、、、というのがストーリーの流れです。
問題は、主人公の少女が「巨人、巨人」って言いたいだけで、延々と少女の妄想に付き合わさせられることですね。それにしてもアメリカ人の描く巨人ってダサいよね。巨人っていうよりただの岩じゃん。
話がなかなか本題に入って行かないし、なんとなくいじめのエピソードで時間稼ぎしつつ、気づいたらいつの間にかオチが明かされるという起承転結の「起結」しかない、ひどい内容になっていました。
ジャンルもはっきりしないから、ファンタジー>学園ドラマ>家族ドラマの順にコロコロ雰囲気が変わっていきます。
なによりバーバラの変人ぶりと暴走ぶりを「家族の不幸」を理由に帳消しにしようとしている魂胆が腹立ちますね。
「家族が病気です」って言えば「ああ、じゃあしょうがないかぁ」ってならないから。どうでもいいけど誰だよコヴェルスキーって。空想の世界に野球の話とか持ってくるところなんかがセンスないですねぇ。
そして最後は、ふっきれたバーバラが急にいい子になって人ががらりと変わって、ほかの生徒や先生たちにも笑顔を振りまき、それまでの卑屈と嫌味が嘘だったかのようにやるき満々で授業を受けたりしている姿がバカバカしかったです。
あんなに先生や家族のいうことを聞かない子が巨人にだけは素直なのが意味不明でしたね。最後は「ありがとう」なんて言ってたし。
物語の教訓も「今を大事に生きろ」みたいなありきたりなものだったし、巨人にはがっかりさせられました。もっとビッグなこと言ってくれないと。
ヒロインも幼い子供だし、彼女に感情移入するには相当実年齢、あるいは精神年齢が低くないとまず無理ですね。
バーバラと心の巨人のネタバレ
さてバーバラの秘密は一体なんなのか、というと、それはお母さんが重い病で寝たきりになっていて、お母さんの死に向き合うことができず、やがてファンタジーの世界を創り上げ、母親を連れ去ろうとする巨人を退治してやろうという発想に至ったんだそうです。
幼い子供が母親の死を受け入れられないというのはまだいいでしょう。病にむしばまれていく母の姿を見るのはつらいだろうからできるだけ見たくないというのも分かります。現実から目を背を向けたくなることもあるでしょう。
ただ、あのぐらいの年齢でも巨人を退治したらOKみたいな発想にはまずならないでしょ。だってもう小学生だから。
百歩譲って現実逃避が行き過ぎたということにしましょう。怖くてお母さんに会いたくないのはいいよ。でもお母さんがどこにいるかって言ったら自宅の二階にいるからね。
重病でも家の中にいるならいつでも会えるじゃん。そこはせめて病院にしようよ。それになんで衰弱している寝たきりの病人をわざわざ長い階段を上った二階に寝せるんだよ。普通、一階だろ!
コメント