27歳の新鋭監督による商業映画デビュー作品。実話ベースながら荒削りな点が多く、リアリティーは薄めです。38点(100点満点)
全員死刑のあらすじ
家族思いのタカノリ(間宮祥太朗)は、組長の父テツジ(六平直政)と母ナオミ(入絵加奈子)を苦しめる借金を何とかしようと、兄のサトシ(毎熊克哉)と近所の資産家の金を狙って強盗を実行する。その際、資産家一家の息子を殺害したのをきっかけに、タカノリたちは次々と殺人を犯し……。
シネマトゥデイより
全員死刑の感想
鈴木智彦のノンフィクション「我が一家全員死刑」を基にした小林勇貴監督による、バイオレンスムービー。
「全員死刑」と聞くとどこか登場人物を片っ端から死刑(殺して)にしていくような内容なのかとイメージしましたが、実際は家族全員が死刑判決を受けた稀な事件である大牟田4人殺害事件を基にしていることからこの名前が付いているようです。
主人公が銃を構えている宣材写真のせいで、よくあるドンパチ映画かのような印象も与えがちだけど、実際にあった話なんですね。
【コラム】狂った野獣=小林勇貴の狂い咲きが始まるーー『全員死刑』を商業映画デビュー作に選んだ理由#小林勇貴 #全員死刑 #間宮祥太朗 #モルモット吉田
pic.twitter.com/3TuXRSxIzh狂った野獣=小林勇貴の狂い咲きが始まるーー『全員死刑』を商業映画デビュー作に選んだ理由ここ数年で、最も勢いを感じさせる日本の若手映画監督と言えば、小林勇貴である。最近の新人監督は天才肌が多い。最初から才能に...— リアルサウンド映画部 (@realsound_m) 2018年5月2日
物語は、多額の借金を抱えるやくざの組長家族が金欲しさに知り合いの家族を襲い、一人殺したことをきっかけに歯止めが付かなくなっていく様子を描いていきます。
映像は、セピア調でいかにもインディーズ映画といった雰囲気があります。よく言えば味のある映像。悪くいえばB級っぽい絵。
キャスティングは「ケンとカズ」にも出ている毎熊克也や間宮祥太朗が人相の悪いやくざの兄弟を演じていて迫力はそこそこあります。特に毎熊克也はいい顔してますねぇ。
一方で予算のせいか登場人物やエキストラが少なすぎて特定のメンバーが入れ替わり出演するだけのスケールの小ささを感じさせます。
実話を基にしたバイオレンスムービーであることや人が殺人へと走る過程を描いている点で「凶悪」を彷彿させるものの、「凶悪」ほど怖いと感じなかったのは暴力の描写がどこか漫画的だからかもしれません。あれはブラックな笑いを狙ったのかちょっと意図が読めませんでした。
登場人物たちは人生を棒に振るような重い罪を犯そうとしているのに関わらず、全く深刻さがなく、まるで何事もないかのように人を殺していきます。
その光景が本当なら恐怖を引き起こしそうなものですが、彼らの不真面目さばかりが目に付いてしまって「こいつらアホだなぁ」としか思えませんでした。
また、暴力シーンの数に対してベッドシーンが手抜きです。これで暴力や性をもっとリアルに描けていたらいい映画になっていたような予感がするだけに惜しいですね。
なぜか過激さを売りにしているくせに男女の絡みは隠すっていう邦画多いですよね。監督の照れなのか年齢制限を嫌ってなのか分かりませんが、そこでバランスが崩れるのがすごくもったいないです。
あんなに胸を強調した服を着せるなら、せめてサトシの彼女役を演じたグラビアアイドルの護あさなは脱がさないと。まあ、僕が見たいだけなんですけどね。
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