サンダンス映画祭で大反響を呼んだらしい、ちょっと変わった斬新な恋愛スリラー。オレンジ色に覆われたフィルム写真のような映像がカッコよく、ストーリー、編集に独自性が見られ、出演者の演技が上手いです。70点(100点満点)
ベルフラワーのあらすじ
『マッドマックス2』を愛し、悪の首領ヒューマンガスに心酔するウッドロー(エヴァン・グローデル)とエイデン(タイラー・ドーソン)は親友同士。映画で描かれた文明滅亡後の世界を夢見て、二人はひたすら火炎放射実験や戦闘用改造車作りに明け暮れていた。そんなウッドローにも恋人ができ幸せなひと時を過ごすが、恋人に裏切られた彼は怒りと絶望から正気を失い、狂気に陥っていく。
(シネマトゥディより)
ベルフラワーの感想
エヴァン・グローデルが脚本、編集、主演、監督の全てを一人でこなした作品です。普通の恋愛映画にしても、この監督ならおそらくいい映画が撮れたはずです。
ただ、エヴァン・グローデルは普通で終わらすのではなく、中盤から終盤にかけて物語りを容赦なくぶっ壊しにかかります。前半と比べると中盤以降の展開があまりにも極端で温度差があるため、驚きと共に恐ろしさが倍増して、狂気のストーリーに上手く仕上っていたと思います。
あそこまでぶっ壊さずに出会いと別れを描いただけの恋愛映画にするにはエヴァン・グローデル監督に照れがあったのかもしれません。
中盤以降の話よりも、特に前半部分がロマンチックで良かったですね。男女の出会いの描き方、そこでの会話が自分の実体験をそのまま映像化したような雰囲気すらあります。
また、ユニークなエピソードが次々と飛び出してくるために退屈しないし、恋愛映画にありがちな見ていて恥ずかしくなるようなセリフやシーンを意図的に省いているようなセンスも感じ取れます。
主人公のウッドローが初めてのミリーとのデートのときに聞きました。
「せっかくの初めてのデートなんだからどこか素敵なレストランに行きたいでしょ?」
するとミリーは予想に反してこんなことを言います。
「一番安くて、一番気持ち悪いレストランに連れて行って。そこの料理を食べてもし気持ち悪くならなかったら、キレるからね」
変わり者の二人の運命的な共通点や化学反応がこうした会話の節々から感じ取れるのがいいです。
「一番安くて、一番気持ち悪いレストランに連れて行って」
シャレの効く男ならこんなことを最初のデートで言われたら、お、こいつなかなかやるな、って思わずほくそ笑んでしまうでしょう。
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