テニスシーンはしょぼいけど、ストーリーには興奮できる、世紀の男女テニス対決を描いた映画。これが実話っていうところが夢があります。59点(100点満点)
バトル・オブ・ザ・セクシーズのあらすじ
女子テニス界のトップアスリート、ビリー・ジーン・キングは女子と男子の扱いの違いに異論を唱えていた。特に観客動員数は変わらないにもかかわらず、男子トーナメントと女子トーナメントとの間には報酬に8倍もの差があった。
そんな状況に嫌気がさしたビリー・ジーン・キングは女子選手たちを集め、自分たちで女子による女子のための大会を開催することに。
しかしそれに反対するテニス協会のジャック・クレーマーは女子大会に参加する選手たちを協会から追放すると脅しをかける。
ちょうどその頃、4大大会優勝者である元男子プロテニス選手のボビー・リッグスはギャンブル依存症のせいで妻から家を追い出されていた。
路頭に迷ったボビー・リッグスはお金を稼ぐために55歳であるにもかかわらず、女子の現役トッププレーヤーと対戦することを思いつく。
ビリー・ジーン・キングは世間から女子選手が馬鹿にされることを嫌って最初こそ対戦を拒否するものの、自分に勝った別の女子選手がボビー・リッグスにこてんぱにやられたところを見て、挑戦を受けることにする。
こうして55歳の引退した男子選手と29歳の現役トップ女子選手の対決の火蓋が切って落とされた。
バトル・オブ・ザ・セクシーズの感想
「リトル・ミス・サンシャイン」で知られるジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス監督による、実際にあった男と女のガチテニス勝負を描いたスポーツドラマ。
男女差別に強く反対し、女性の地位向上のために戦い続けたテニス選手ビリー・ジーン・キングの半生をつづったシンプルで分かりやすいスポ根物語です。
協会に反発したことで自分たちで自らテニスイベントを開催し、男と対決して女性の力を世に知らしめるまでの過程を描いた、女子アスリートにはたまらない感動と興奮をもたらす内容になっています。
出来事を最小限に抑えているせいか、テンポが良く、見やすいです。ボクシング映画でいうところのロッキーみたいなベタな展開ではあるけれど、男尊女卑社会に一石を投じる歴史的イベントとその立役者を取り上げているので、男の僕が見ても刺激と爽快感がありました。
一方でテニスの試合シーンはかなりしょぼいですね。あの学生レベルの遅いラリーでは試合中の臨場感は伝わらないでしょう。
それはさておき、いまだプロスポーツにおいては女子選手のほうがギャラが少ないことは普通にあるんでしょうね。
観客動員数が女子のほうが少なければお金が集まらないので、それもしょうがないんですがテニスの場合は1970年代の時点ですでに女子も男子に負けないほどの観客を集めていたそうです。
それなのにギャラが男の八分の一だったらそりゃあ切れますわな。そんな時代に女の凄さを証明するために男とだって戦いますよっていう気合の入った女子選手がいたことに痺れます。
勝ち負けはどうであれ男女対決が興行として成立し、テレビ放映され、三万人の観客を呼んだ、だけでも大成功ですよ。
こういうイベントはもっとやったらいいと思います。テニスで言ったら大坂なおみ対松岡修造とか面白い勝負になりそうだけど、どうかな?
テニスじゃなくても、総合格闘技とかボクシングとかもできるんじゃないかな。ギャビ・ガルシア対高田延彦だったらギャビ・ガルシア勝つんじゃないの?
それをテレビ番組のお遊び企画でやるんじゃなく、興行を組んで真剣勝負でやることに意味があって、性別の垣根を越えた戦いにロマンを感じ、感動を覚える人も少なくないはずです。
ビリー・ジーン・キングはそんな戦いで女子の実力を証明しただけでなく、LGBTのコミュニティーも背負っていたんですね。彼女は旦那がいながらヘアスタイリストとできてしまうなどレズビアンとしての一面も持っていました。
劇中にはビリー・ジーン・キングと旦那、ギャンブル狂いのボビー・リッグスと妻との関係が破綻していく様子も描かれていますが、いずれもお互いを尊重した身の引き方がやけに潔くて、アメリカの夫婦の描き方としては斬新です。
でも実際はどうなんでしょうねぇ。特にビリー・ジーン・キングと旦那は修羅場になったんじゃないのかなぁ。女に自分の妻を取られる男の気持ちって複雑だろうなぁ。パートナーがそっちの世界に行ってしまったら、もう勝ち目ないからね。
コメント
エマストーンとスティーブカレルの演技が大変素晴らしかった、面白かったと思いました。