飛行機作りに没頭する大金持ちの波乱万丈な人生をつづった伝記ドラマ。いくらなんでも長すぎて、ずっと見ていられない編集ミス映画です。40点(100点満点)
アビエイターのあらすじ
20世紀初頭。一人の少年が母親に体を洗われているところから映画は幕を開ける。この少年がハワード・ヒューズである。そのとき母親からひとつの言葉を教わる。「QUARANTINE」…和訳すると「感染予防のための隔離」という意味である。後にこの単語にヒューズは苦しめられることとなるのだった。
それから時は流れて1920年代。ヒューズは父から受けた莫大な遺産を元手として、夢のひとつであった映画製作を開始。映画『地獄の天使』の製作はトラブルが続き思うような撮影はできなかったが、史上空前の莫大な予算を費やして3年がかりでようやく完成させた。
ヒューズは手当たりしだいの女性を口説き手に入れる傍ら、もう一つの夢である飛行機事業に着手、ヒューズ・エアクラフトという会社を立ち上げ、世界一速い飛行機H-1の開発を始めた。しかし、同時期に知り合った女優キャサリン・ヘプバーンとの恋愛は破綻する。
潔癖症の母親の影響もあり、青年時代から伝染病、不潔なものへの嫌悪感の強かったヒューズの強迫神経症はここにきて顕著となる。自分を拒絶した女の触れた洋服全ての焼却、常に石鹸を持ち歩き病的なまでに手を洗浄する、同じ言葉を執拗に繰り返す等、一般人には理解不可能と思える行動を繰り返す。
ついには衣服を着ることも水に触れることも出来ず部屋に閉じこもり、顔も洗わず髭もそらず全裸のまま暮らし、排泄は部屋の中で牛乳瓶に、何かに触れるときにはティッシュペーパー越しにでなければ触れられない、ドアすら開けられなくなり他人との接触を恐怖と感じる等、ヒューズの強迫神経症は深刻化する。
wikipediaより
アビエイターの感想
「キング・オブ・コメディ」、「沈黙 -サイレンス-」、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」、「シャッター アイランド」、「カジノ」などで知られるマーティン・スコセッシ監督による、飛行機好きの神経質おやじの物語。
映画監督であり、航空機開発に生涯を捧げたハワード・ヒューズのぶっ飛んだ話で、一般人には到底理解できない狂人の半生を描いています。
若くして莫大な財産を相続した若者が、お金に糸目をつけず、映画製作をしたり、飛行機を作ったりしながら、周囲を巻き込み、女優たちと浮名を流し、好き放題やっていく様子は痛快で、スケールの大きさと夢を感じさせます。
それに対し、ストーリー構成にやや問題があり、この映画に約三時間の尺は必要ないです。前半は映画製作、中盤は飛行機製造、後半は航空業界の利権争い、といった感じで構成されていて確実に途中でダレます。
できれば1時間半ぐらいにカットしてもらいたかったし、あそこまで長尺にするなら、ハワード・ヒューズの死まで描かないと意味ないですよね。
飛行機に対する類稀な情熱とこだわり。度を過ぎた潔癖症や神経症。いわばハワード・ヒューズの光と影の表現のバランスもあまり良くないです。
変人を取り上げているのに面白さやユーモアに欠けるし、かといってダークでもなければドラマチックでもない。あれもこれも描こうとしたばかりに一つ一つのエピソードのインパクトが小さくなった感が否めませんでした。
それにしても、社員たちには無茶振りばかりだし、耳は遠く、コミュニケーションは一方通行だし、あれだけ神経質で、よく多くの人に支持され、女にもモテるなぁって思いましたね。
女優のキャサリン・ヘプバーン、エヴァ・ガードナー、ジーン・ハーロウなどの美女を次々と落としていき、また誰と付き合っても満足しないところが笑えます。あれだけ神経質で、潔癖症でも女は好きなんですね。キスには不快感を覚えないんですかね。ちょっと彼の頭の構造は想像が付きませんね。
自ら飛行機を操縦し、墜落して大怪我しても決して飛行機に乗ることをやめようとしないあの度胸と情熱に人は魅了されたのでしょうか。あるいは金と権力なんでしょうか。
レオナルド・ディカプリオの演技は相変わらず安定感がありました。独壇場といってもいいでしょう。何気に演技派俳優がたくさん揃っているんですが、ディカプリオがほとんど見せ場を持って行っちゃってましたね。
それに対してキャサリン・ヘプバーン役のケイト・ブランシェットの演技は全然魅力的じゃなかったし、わざとらしかったです。あれじゃあ、ただの声の大きなおばちゃんじゃないですか。
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