壮大な大自然の映像美と青春を感じさせるストーリーに心洗われるピュアで芸術的な映画。ロードムービーの名作に数えられる作品のひとつです。77点(100点満点)
モーターサイクル・ダイアリーズのあらすじ
エルネストと友人のアルベルトはブエノスアイレスからバイクの旅に出発する。旅の途中女と知り合い浮かれることもあれば、遺跡の壮大さに心を奪われたりもする二人。
インディオの生活を目の当たりにし、ハンセン病患者の実態を知るうちに、いつしかエルネストは自分のやるべきことが見えてくる。
モーターサイクル・ダイアリーズの感想
「オン・ザ・ロード」、「セントラル・ステーション」のウォルター・サレス監督によるチェ・ゲバラの若き日を綴ったロードムービー。とにかく景色がきれいで、見ていて旅行気分にさせられる物語です。
ウォルター・サレスはロードムービー向きの監督だと思いますね。さてはこの男、若い頃たくさん旅をしたなあ、と思わせる目線を持っています。「オン・ザ・ロード」もロードムービーだしね。
登場人物の中に素人俳優みたいな人たちが含まれていて、フィクションからドキュメンタリーにすり変わるようなシーンがいくつかあって、ああいう素朴なシーンも嫌いじゃないです。
なにより昔の話を今の時代に撮影しても、不自然にならないくらい南米にはまだ未開拓な土地が残っているのが日本人からしたらうらやましいですよね。日本なんてどこに行っても整備されてるから景色が人工的なんですよ。
これがもし「三丁目の夕日」のようにセットやCGばかりを使った映画だったら、まず見る気は失せていたでしょう。
ただ、アルゼンチン人のエルネストをメキシコ人のガエル・ガルシア・ベルナルにやらせたのは客寄せに過ぎないでしょう。
スペイン語がネイティブのガエル・ガルシアにしてもアルゼンチン訛りのスペイン語は上手く使えていなかったのが印象的でした。こだわりを見せるのはあそこはやっぱりアルゼンチン人俳優がやるべきですよね。
彼の演技からも、やっぱり同じスペイン語諸国といえど、それぞれが別の国の人たちなんだなあ、と気づかされます。そんな意味でも中南米は奥が深いです。もっと旅をして色々と知りたいなあ、と考えさせられました。
ふと、気づいたのがウォルター・サレスは恋愛をあまり映画の中心に持ってこないですね。
あくまでもおまけ程度に抑えています。ベッドシーンもほとんどないです。「君たち、いいか、人生にはイチャイチャするより、もっと大事なことがあるだよ、例えば貧困とか、平和とか、そうだろ?」などと言いたいんでしょうか。
あるいはむっつりスケベなんでしょうか。多分後者だと思うなぁ。
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