イギリス人家族の絶妙な関係性と会話のやり取りを描く良質の人間ドラマ。徐々に人間性が明らかになっていく様子が面白いです。71点(100点満点)
家族の庭のあらすじ
地質学者のトム(ジム・ブロードベント)と、医学カウンセラーのジェリー(ルース・シーン)は誰もがうらやむおしどり夫婦だ。彼らは30歳になる孝行息子 (オリヴァー・モルトマン)にも恵まれ、私生活は非常に充実していた。ある晩、ジェリーは同僚メアリー( レスリー・マンヴィル)を夕食に招待するが、彼女は酔ってしまい自分には男運がないと愚痴っていて……。
シネマトゥデイより
家族の庭の感想
「ハッピー・ゴー・ラッキー」や「秘密と嘘」のマイク・リー監督による群像劇。
幸せな夫婦トムとジェリー、そして彼らのもとに集まってくる不幸な人々たちをいわゆる“勝ち組”と“負け組”として対比させたうえで両者を絶妙なやり口で交流させているテクニカルな映画です。
空気の読めない女メアリーを軸に、登場人物全員で作り出すユーモアが見事で大いに笑わせてもらいました。
メアリーを演じたレスリー・マンヴィルが感受性豊かな演技を繰り広げる一方でトムのお兄さんロニーを演じたデヴィッド・ブラッドリーが無口で無表情なしんみりとした顔芸を披露してくれました。
ストーリー上接点を持たせる必要のないこの二人の絡みこそがこの映画の最大のハプニングです。
また、いかにもマイク・リー監督らしいな、というシーンが二つありました。葬式を終えた親族が家で集合し、そこにロニーの不良息子がやってくるシーン。ジョーが恋人を連れてくるパーティーでのラストシーン。
どうやったらあれだけ自然な形で複雑かつリアルで面倒くさい状況を映画の中で構築できるのでしょうか。特にラストシーンは、あれを撮るためにこの映画を撮ったんじゃないかと言っても過言ではない仕上がりでした。
ストーリーが登場人物を形作るのではなく、日常のありきたりな会話からそれぞれの人物の個性が徐々に浮かび上がってはジワジワと共感につながっていく。
あの感覚がなんとも言えません。なにも解決せず、なにも完結しないまま淡々と過ぎていく一年を追った物語。できればこの設定のままさらにもう一年彼らの行方を追ってみたくなる、そんな映画でした。
コメント
この映画つい最近上映されましたが…うちの近所の映画館では(イクスピアリ)ネズミ―ランド系やお子ちゃま系ばかりなのでやりません。こういうの観たいです。
夏時間の庭とかも好きで観ました。庭とつくと観たくなります。^^;
mamarin42さん
家の近くにミニシアターがないっていうのは問題ですよね。少なくともミニシアター系の映画を置いてるレンタルDVD屋があればいいんですけど。