特に見所がない老人が残りわずかの余生をゆっくり生きる哲学ドラマ。淡々としすぎて暇になるし、肝心の会話がいまいちです。35点(100点満点)
映画ラッキーのあらすじ
舞台はアリゾナ州砂漠地帯の田舎町。そこに一人で住む老人ラッキーは朝起きると体操をしてから喫茶店に行ってクロスワードをし、夜になるとバーに通い、客と談話するのが日課だった。
ラッキーはタバコを毎日吸い、酒を飲むものの身体は至って健康で、どこにも異常が見られないことがむしろ医者に驚かれるほどだった。
そんなラッキーはしかし常に自分の人生や死や孤独について一人向き合っていた。ときどき喫茶店やバーの客ちと口論しつつも、また誰もいない家に一人帰っていくのだった、、、。
映画ラッキーの感想
俳優として知られるジョン・キャロル・リンチが監督した、孤独なおじいちゃんのマンネリ化した日常を描いた人間ドラマ。
俳優ハリー・ディーン・スタントンの遺作で、彼が演じるファンキーな老人がちょっと面白いことを言ったり、喧嘩したり、孤独を感じたりする話です。
砂漠地帯の田舎を舞台に繰り広げられる緩い会話とエピソードにはまれば面白いんでしょうが、そうじゃなければ退屈で眠くなるはずです。
リタイヤした高齢者向けの映画で、元気溌剌働き盛りの人たちには刺激がなく、物足りなさを感じるでしょう。
偏屈なおじいちゃんが若者と威勢よく喧嘩したり、汚い言葉を喋ったり、皮肉たっぷりの会話をしたりというのは、老人を主人公にしたハリウッド映画のパターンですよね。
「最高の人生の見つけ方」、「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」、「ラスト・ベガス」あたりがそうだし、いずれももれなく滑ってます。
この映画は、どん滑りまではしていないけど、ふふふと笑えるシーンがいくつかある程度で面白いかというと大して面白くないです。
悲観的で、陰気だし、死についてばかりうじうじ考えてる暇人たちの物語という印象しか残りませんでした。
一人暮らしの老人のなんともいえない寂しさと虚無感は伝わってきます。それはリアルですらあるし、実際ああやって毎日完全にルーティンと化した一日をやり過ごしている老人はどこにでもいるでしょう。
しかしその先に何かあるのかっていうと、ストーリーに意外性のある展開があるわけでもないし、練りに練られた会話のやり取りが見られるわけでもないです。
純粋に会話と演技で見せようとしている製作側の意図も分かります。でもそれならそうと、こういう映画はもっと笑えないときついなぁ。
脚本がどこか格好付けてるんですよね。哲学的にして、いいこと言ってやろうみたいな。名言残してやろうみたいな嫌らしい狙いが感じるのがちょっとね。名言いらないからもっと楽しませてって思っちゃいます。
ちなみに監督のデヴィッド・リンチが俳優として参加しています。演技やセリフの言い回しはツインピークスのときと全く同じで、俳優としてはなかなかのポンコツぶりを披露していました。
デヴィッド・リンチは亀が大好きなおっさんの役を演じていて、彼は自分が死んだときには全ての財産を亀に引き渡したいと弁護士に相談したりします。
そのエピソードにしても「うーん」って感じですよね。控えめに言ってもさぶいじゃないですか。おっさんと亀の長年の友情を美談みたいに語られてもね。
お前にとっては亀が親友でも、亀からしたら知らねえよって話じゃん。だから逃げたんだし。ベストフレンドとかおこがましいでしょ。
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