子役の演技が上手すぎるハイクオリティーな現実路線ドラマ。貧しい家庭のつらい現実をフラットな目線で描いた作品です。75点(100点満点)
フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のあらすじ
フロリダ州キシミー。6歳になるムーニーは母親のハリーと一緒にマジック・キャッスルというモーテルに滞在していた。ムーニーは友人のスコッティやディッキーと一緒に外で遊んでいた。
3人は観光地や地元の商店などを訪れていた。そんなある日、フューチャー・ワールドで遭遇した出来事が原因で、ディッキーは父親から2人と外出するなと言われてしまった。
ディッキーと遊べなくなったことを残念に思った2人だったが、ジャンシーを新たな遊び仲間に加えた。その後、ディッキーと父親はニューオーリンズに向かった。
ムーニーの母親、ハリーは観光客を相手にした売春で滞在費を稼いでいた。ハリーとムーニーの日々の食事は教会の施しやスコッティの母親(アシュリー)からのお裾分けで賄われていた。
モーテルの管理人であるボビーは2人の境遇に同情的ではあったが、ハリーの粗暴な振る舞いには苦々しい思いを抱いていた。
wikipediaより
フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のあらすじ
ショーン・ベイカー監督による、モーテルに住むシングルマザーといたずらっ子の娘を中心にアメリカの貧困家庭の生活をリアルに描いた人間ドラマ。
舞台はフロリダのディズニーワールドの近くにある町、キシミー。そこにはディズニーワールドを訪れる観光客向けの安モーテルがいくつもあります。
宿泊代が安いことからモーテルは貧困家族の安アパートとして利用されていて、そこでは日々様々なトラブルが住人の間で起きます。
そんな環境で生活しているのがシングルマザーのハリーと娘のムーニーの二人。ムーニーはいたずら好きでやんちゃな少女で、近所に住む友達と辺りを徘徊しては近所に迷惑をかけて歩くことが日常です。
そんなムーニーに対して母親のハリーは特に注意することもなく放任します。そのせいかムーニーは汚い言葉を喋り、アイスクリームを食べるために他の客からお金をせびったり、家に火をつけたり、とやりたい放題。
やがて母親のハリーは滞在費も払えなくなり、犯罪に手を染めていく、というのがストーリーの流れです。
冷静に見れば、後先考えずにその場しのぎの安易な行動ばかりを選択するシングルマザーがもたらす、自業自得のストーリーです。
それのなにがすごいってそれぞれの登場人物のリアリティーですね。特にハリーのキャラが恐ろしいぐらいリアルですね。
言葉遣いが悪く、常に喧嘩腰で、人のせいにしてばかりいる彼女は、まともな人付き合いができず、気に入らないことがあればすぐ逆キレし、結局は自分で災いを招いてしまう救いようのない性格の持ち主です。
生活するためにハリーが考え付くことといえば、香水を卸売り店で仕入れて、高級ホテルの前に通りかかる人たちに高く売りつけること。
それが上手く行かなくなると、今度は売春をして滞在先のモーテルの部屋で客を取ります。さらに客の荷物を盗み転売するなど、まるで怖いものなしです。
飽きれる話だけど実際にハリーのような奴っているから笑えないんですよね。お金の管理ができなかったり、犯罪を犯したらどうなるのか想像できなかったり、人に迷惑ばかりかけていたら自分が損することが分からないから、貧乏なのか、あるいは貧乏だから気が回らないのでしょうか。
娘のムーニーのやんちゃぶりを見ていると教育って大切だなぁってつくづく思わせられます。子供には罪はないけれど、もしかしたらハリーもまた子供のときに同じような環境で育ったんじゃないのかと思うと、貧困と負の連鎖を感じる作品でした。面白かった。
フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のラストシーンの意味
ラストのディズニーワールドのシーンはディズニーに金を払ったのかなと思うぐらい不自然でしたが、実は許可を取らずにゲリラ撮影したそうです。
モーテル、マジック・キャッスルの住人が、マジック・キングダムに行くっていうオチは急に現実路線からシュールな路線に脱線したような感じもあって正直拍子抜けしました。
しかし救いようのない話にオチをつけるとしたらあれぐらいしかなかったんでしょう。夢の国のすぐ側では、厳しい現実がある。そしてその住人である子供が夢の国へと現実逃避する、というのはなんとも皮肉で、せつないですねぇ。
コメント
こんにちは。
これ見てきました。リアルで面白かったです。ウィレム・デフォーはここ最近アクションとかサイコ系とか、ろくな映画に出てなかった気がしますが、この映画ではいい演技してましたね。
あと、途中に出てきた猫背の爺さんは一体何がしたかったんだろうなぁ。
あのお爺ちゃんはいたずらしようとしてたんでしょうね。