様々な監禁事件を彷彿させるリアルで恐ろしい脱出劇。俳優たちの演技がいいし、演出も自然で見ごたえがあります。66点(100点満点)
アニマルズ・愛のケダモノのあらすじ
高校生のヴィッキーは思春期の多感な時期に両親が離婚の危機に立たされていた。母親が家を出て行き、週末は母の家で過ごすようになっていたが、彼女は家族を捨てて出て行った母親に対して強い反発を覚えている。
ある晩、ヴィッキーは母親に内緒で夜中に家を抜け出し、パーティーへと向かった。道中、自動車に乗った夫婦に呼び止められ、車に乗っていかないかと誘われる。
ハイウェイでタクシーを呼ぶより、家から電話をかけてタクシーを呼べばいいと言われたヴィッキーは言われるがまま車で知らない夫婦の家にまで行ってしまう。
最初は家に入ることを躊躇していたヴィッキーだったが一杯お酒をもらい、その直後に突然意識を失ってしまう。それからヴィッキーはサイコパスな夫婦によって監禁、拷問される地獄の日々を送ることになる。
アニマルズ・愛のケダモノの感想
ベン・ヤング監督によるオーストラリア産監禁ホラー映画。頭のおかしい夫婦が次々と若者を誘拐し、監禁していく実際にありそうなリアリティー溢れる話です。
出演者の数は少ないし、大部分のシーンは家の中だけで撮影されていて、よくできている割には低予算で作られているのが分かります。低予算ホラーは捨てるほどあるけど、最近の見た中ではかなりアタリです。
予告動画を見ると、さもグロくて、エグい、血まみれホラー映画かのような印象を与えますが、実際は殺人やレイプシーンといった目を覆いたくなるような箇所は上手くオブラードに包んでいてマイルドにしてあります。
つまり映像で怖がらせるよりも、心理的に怖がらせようといった意図があるので、ホラー映画ファンじゃなくて普通に見れると思います。もちろんハラハラドキドキはやばいですが。
犯人カップルが狙うのはいつも10代の女の子です。夫婦は、車で町を徘徊し、一人で歩いている女の子を探します。
そして奥さんのほうが「暑いから乗って行きなさいよ」などと声をかけて、車の中へと誘うのです。
あれが男だけだったら、少女たちは警戒してひっかからないでしょうが、奥さんがいることで安心してしまうようです。
家に少女を連れて行った夫婦は、お酒を飲ませて意識を飛ばし、両腕に鎖をつけてベッドに縛り付けます。そしてそこから性的暴行や拷問をして、自分たちの歪んだフェチを満たし、用が済んだら殺してしまうのです。
そんな夫婦の狂いっぷりがすごく、奥さんはヒステリックで精神疾患、夫は家では威張るくせに外ではビクビクしている小心者の男という設定がいかにも現実社会でありそうな話ですね。
監禁殺人に手を染めるサイコパスの歪んだ性的欲求も描いていて、夫婦と少女の間に妙な嫉妬と三角関係のようなものができる展開も興味深かったです。
庭には放し飼いの猛犬がいて、窓は板で塞がれ、ドアには南京錠で頑丈に鍵がかけられている家から果たしてヒロインの少女はどうやって逃げ出すのかというのが見所になっていて、思わず「早く逃げろ、逃げろ」って声に出してしまうほど、ストーリーの中に入ってしまいました。
鑑賞後、どっと疲れるし、もしかしたらその晩の睡眠にも影響が出るかもしれません。ぐっすり眠りたい日は見ないほうがいいです。
それにしてもこういう監禁事件、世界中で後を立たないですよね。こうしている今も世界のどこかには誰にも気づかれずに誘拐されて、何年も監禁されたままの人がいるんだろうなぁと思うと、まったく恐ろしい世界ですねぇ。
コメント
視覚で怖がらせるというよりも、犯人妻がとにかく精神的に不安定で見ていて不安になりました。
犯人妻役の女優さん、上手かったですね。
被害者の少女より、犯人妻の方に感情移入してしまい、あの愛し方は辛いなあ、最後は自由になれて良かったね、と思ってしまいましたw
あの女優すごかったですね