人食い家族をテーマにした不思議系芸術路線フランス映画。美人姉妹が人に噛み付くところをぽかんと眺める作品です。49点(100点満点)
RAW~少女のめざめ~のあらすじ
厳格なベジタリアンの家に育ったジュスティーヌ(ギャランス・マリリエ)は、姉も在学する獣医学校に入った後、新入生の通過儀礼として生肉を食べることを強要される。学校になじみたいジュスティーヌは、生まれて初めて肉を口にする。その日を境に、ジュスティーヌの隠れた本性が明らかになり……。
シネマトゥデイより
RAW~少女のめざめ~の感想
ジュリア・デュクルノー監督による食人一家が巻き起こす不気味な人間ドラマ。肉を一切口にしないベジタリアンの家族に生まれた女学生が、いかにして無意識のうちに人肉に惹かれていくかを描いています。
物語は、ジュスティーヌが姉と同じ獣医学校に入学するところからスタートします。その学校では新入生の儀式として動物の血をかけられたり、ウサギの腎臓を生で食べさせられたりといった過激なことをさせられます。
とまどいながらも、先輩たちの言われるがままに理不尽な儀式に挑戦したジュスティーヌはウサギの腎臓を食べたせいで、体中にアレルギーの湿疹が出てしまいます。
しかしジュスティーヌはそれを機に異常に肉に惹かれるようになり、姉が事故で指を切ると、その指にかじりついてしまいます。
人肉を食べたいという衝動を抑え切れなくなったジュスティーヌはやがて同級生の男子生徒の体を食べたくなる欲望を止められなくなっていく、という筋書きになっています。
話はぶっ飛んでいますが、その世界の中で不思議と一定のリアリティーを保っていて、ある種のグロさと色っぽさと気持ち悪さが混在している作品です。
血とか怪我とか湿疹のメイク技術が高いですね。特に体にできた謎のブツブツがリアルでしたね。痒そうだし、痛そうだし、思わず自分の体にまでクリーム塗りたくなってきます。
ストーリーは何が起こるのか全く予想ができないうえに、とんでもないオチを期待させる独特の雰囲気を持っていますね。
その一方ですごく怖いかというと怖くないし、すごく色っぽいかというとそうでもなく、もうちょっとどちらかの方向に突き抜けて欲しかったですね。
ホラー映画とも言いがたいし、官能サスペンスともいえないし、家族の葛藤を描いた人間ドラマでもないし、なんなんでしょうね。
フランス映画だけにあくまでも淡々と物語が進んでいき、テンポに強弱がほとんどなく、異常なことが当然のごとく描かれている様子にぽかんと置いてかれる時間帯がありました。
一番の突っ込みどころはあの学校の習慣や風習で「どんな学校だよ!」の一言に集約されます。他に笑えるところは、喧嘩するときは噛み付くのが基本という人肉家族ですかね。どんな家族だよって。
キャンパスライフを送る噛み付き姉妹が、どの程度噛み付くのが正解なのかは難しいところですね。あんまり噛み付きすぎてもゾンビ映画になっちゃうしね。
その点ではほどよく噛み付いていたといえるかもしれません。でも人食い一家だからといって特別な身体能力を持っているわけではないので、そう簡単に力の強い大の男を食い殺すことなんてできないでしょ。さすがにあんなに脚に噛み付いたら殴られるだろ。
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