クスりとしか笑えない、ナンセンス誘拐劇。コーエン兄弟の作品の中でも失敗作に入る一本です。29点(100点満点)
ビッグ・リボウスキのあらすじ
ジョージ・H・W・ブッシュ政権下、湾岸戦争のころのロサンゼルス。ジェフリー・リボウスキこと“デュード”は同姓同名の金持ちと間違えられ、闖入してきた暴漢たちに部屋の敷物に小便をかけられてしまう。
敷物の弁償を求めて金持ちの“ビッグ・リボウスキ”を訪れるデュード。しかしビッグ・リボウスキは彼を穀潰しの怠け者と見なして、けんもほろろに追い返す。去り際にデュードは屋敷から立派な敷物を持ち帰る。
その後、デュードはビッグ・リボウスキから呼び出され、彼の豪邸に再び向かう。そこでデュードは、ビッグ・リボウスキの誘拐された妻バニーの身代金の引渡し役をして欲しいと頼まれる。依頼を引き受け、自宅でまどろむデュード。彼は新手の侵入者たちに気絶させられ、ビッグ・リボウスキの家から持ち出した敷物を奪われてしまう。
誘拐犯たちとの交渉にあたって、デュードはビッグ・リボウスキの秘書から身代金の入ったブリーフケースを託される。
身代金の引渡しに向かうデュードに、ボウリング大会のチームメイトであるウォルター・ソブチャックが無理やり同行すると言いだし、ウォルターはこの事件はバニーによる自作自演の狂言誘拐であり、みすみす大金を彼女に与える必要はないと主張する。
wikipediaより
読者のMikonさんのリクエストです。ありがとうございます。
ビッグ・リボウスキの感想
「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」、「ノーカントリー」、「バーン・アフター・リーディング」、「シリアスマン」などで知られるコーエン兄弟によるドジでポンコツな登場人物が繰り広げるドタバタコメディ。
気だるさと、ナンセンスな会話と、破天荒な行動を売りにしている、メリハリのない誘拐ドラマで、コーエン兄弟が得意とするユダヤ人ネタ、恐喝、誘拐、オチのないのストーリーで構成されています。
物語は、同姓同名の金持ちと間違えられ、ギャングに襲われた主人公が、本人にクレームを入れに行ったことがきっかけで、誘拐事件に巻き込まれる、といったストーリーラインが一応あります。
ただ、ギャングに命を狙われたり、身代金をなくしてしまったり、といった深刻な状況になっても、登場人物にシリアスな様子は一切なく、事件を解決することにフォーカスしている映画ではないことが分かります。
犯人探しでもなければ、謎解きでもなく、ただなんとなく場の雰囲気と会話と主人公のノリを楽しむような演出になっています。
そのため何も解決しないのに終わっていくようなすっきりしない後味の悪さがあり、オチなんて別にいらないじゃんといった製作側の態度が見えて嫌でした。
それでも内容が面白ければもちろんOKなんだけど、いかんせんつまらないからね。
はまる人にははまるんでしょう。僕の英語圏の友人にもコーエン兄弟の熱烈なファンがいます。登場人物の滑稽なやり取りが爆笑なんだそうです。その友人いわく「ファーゴ」なんて腹を抱えて笑えるそうで、文化の違いを感じちゃいます。
僕にとっては笑えたとしてもクスクス程度で、大部分の会話やネタは滑りまくっていました。コーエン兄弟の特別なファンで、全部の作品を見たいという人じゃない限り、楽しめないんじゃないかな。
ジェフ・ブリッジス扮するデュードのキャラが寒いというのが大きいです。だらしない奴=笑える、みたいな狙いが安易ですね。
そもそもコーエン兄弟はいい作品とダメな作品の差が激しいですよね。「ノーカントリー」はよかったけど、「ヘイル、シーザー!」とかひどかったしね。
でも一部のマニアとプロの批評家からはやたらと評価が高いところなんかはどこかタランティーノと立ち位置が被りますね。
ふと、数十年後にでもコーエン兄弟の作品を見直したら、笑える日が来るのかなぁと考えたりしました。多分来ないだろうなぁ。だってつまんねえもん。
コメント
アメリカに住んでますがこの映画は酒を飲んだくれて大勢で名台詞を言ったりして見るのが楽しい作品だと思います。一人で見るとあんま笑えないですよね。
僕は二人で見たんですが笑えませんでした。酔っ払ってなかったからかも。
初めまして。この映画、私はめちゃツボです。ラバウスキを始めとして、あのボーリング仲間のダメ〜な感じが面白いんですよね。ダメ過ぎるとギャグになるのだと思います。
はまる人にははまるんでしょうね。
取り上げていただき、ありがとうございます!
私もこの映画は「?」でした。
内輪ノリ…?残念ながら、私には入れなかったです。
同じ監督の「ノーカントリー」は好きなのですが。。
(「オタクな西川のりお」みたいな暗殺者など、笑わせてもらいましたが。)
リクエストありがとうございました。僕も「ノーカントリー」は好きなんですけどね。
コメディー映画は、最後の着地が難しいと思います。大別すると、「最後まで笑わせて終わる」か「しっとり感動させて終わるか」の二つに分かれるかと思うんですが、この作品の場合はラストが駆け足すぎる雑展開な上に、非常に中途半端な締めで終わっている。
ストーリーや演出で笑えるというよりは、主人公の「出オチ」みたいなお笑い存在感や、ベトナム帰還兵の友人の奇人っぷり、その他富豪の娘やライバルチームの奇天烈なキャラクター設定で場当たり的な笑いをとっているだけなので、作品中の「笑い」に継続性が無いという印象を受けました。
「ダメ人間の日常を描く」という意味では、「トレイン・スポッティング」の方がまだ笑えます。