なにかとギャーギャーうるさい、スペイン人家族が木を取り戻す偽善まみれの物語。ヒロインの女の子が自分勝手すぎて、とにかく腹立ちます。15点(100点満点)
オリーブの樹は呼んでいるのあらすじ
気難しい20歳のアルマ(アンナ・カスティーリョ)は、オリーブ農園を営む祖父(マヌエル・クカラ)にだけは心を開いていた。だが、父が樹齢2,000年のオリーブの樹を売ってしまった日から、祖父は一切しゃべらなくなった。アルマは最愛の祖父のためにその樹を取り戻そうとするが……。
シネマトゥデイより
オリーブの樹は呼んでいるの感想
イシアル・ボジャイン監督による、情熱的で偽善的な家族のロードムービー。「ロスト・エモーション」が感情を排除した世界の話なら、こっちは感情的すぎる人たちの端迷惑な物語です。
先祖代々その土地に伝わる大きな木を大事にしていた祖父と、生活苦になってそれを売ってしまおうとする父親と叔父。そして彼らが衝突するのを見て育った孫娘アルマによるファミリーの崩壊と再生のストーリーになっています。
ヒロインのアルマはお転婆で、わがままで、気が強く、反抗的だけど、おじいちゃんだけには無条件で優しいという、ちょっと無理のあるキャラクターになっています。
そしてこの映画をぶち壊したのもほかでもないアルマのサブいキャラでしょう。アルマの特技とするのは逆切れで、お父さんだろうと、叔父さんだろうと、自分に手を差し伸べてくれる人たちにも、なにかと理由をつけてキレまくります。
あれでもっと愛すべきキャラだったら、彼女を応援する人の気持ちも分かるんでしょうが、いかんせんいいところがほとんど見当たらなかったので、話についていけませんでした。
アルマは、すっかり痴呆がひどくなった祖父が元気がないのを見て、家族が売り払ってしまった木を取り戻すことを決意します。木さえ取り戻したら、おじいちゃんはきっと良くなるはずだと信じて。
もうその辺からしてかなりのアホじゃないですか。木を見せて急に元気になって走りだしても逆に怖いだろ。
そしてその木はスペインではなく、あろうことか遠いドイツの企業に売られていたことが発覚し、アルマはトラックを手配して、スペインからドイツに向かう、、、というロードムービーになっています。
もちろん返してもらえる保障はどこにもなく、行く前に相手側との交渉を済ませたわけでもないです。でもなにがなんでも返してもらうんだとさ。だってあの木はおじいちゃんの大事な木だから。
たまに現実社会でもいるじゃないですか、こういう子。正義感と使命感が空回りしちゃってる人。意気込みと大義名分をかざして、周りが見えなくなっちゃてる奴ね。自己陶酔度が半端ないんですよ。
ああいう奴に限って、木が飾ってある会社に不法侵入するのは平気だったり、友人のトラックを職場から無断で持ってこさせることにも抵抗がなかったり、自分の悪さは全部棚に上げるからね。
もともこもないことをいうと、最初からおじいちゃんを飛行機でドイツに連れて行って、会社に飾ってある木を二人で眺めてたら良かったんじゃないの? 会社のロビーで二人して木登りしてたら面白かったのに。
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