バツイチのおっさんがお婆ちゃんに変装してメイドになりきる、ドタバタコメディー劇。笑いとせつなさ溢れる親子愛の物語です。60点(100点満点)
ミセス・ダウトのあらすじ
三人の子供を溺愛しているダニエルは定職にもつかず、子供たちと遊ぶことばかりに夢中だった。
ある日、ダニエルが子供たちとホームパーティーをして騒いでいるところに妻のミランダが帰宅。散らかり放題の家を見てミランダは激怒し、案の定喧嘩になる。
ついに堪忍袋の緒が切れたミランダはダニエルに離婚を叩きつけると、無職のダニエルは裁判所から親権を奪われてしまう。
週に一度しか子供たちと会うことが許されなくなった彼は子供たちと時間を過ごすために老婆に扮し、メイドとして家族の住む家で働くことを企む。
ミセス・ダウトの感想
「ピクセル」のクリス・コロンバス監督によるコメディー家族ドラマです。今は亡きロビン・ウィリアムズが主演していて、彼の顔芸や声芸が光る、ちょっと笑えて、ちょっと心暖まる、ハートフルな作品です。
一方で離婚と親権といったシリアスな問題を扱っていて、親の喧嘩によって子供たちが戸惑う様子が切なく、悲しげに描かれている、コメディーだけにとどまらない内容になっています。
他のロビン・ウィリアムズ主演映画と同様彼の才能と芸に頼っているだけに、そもそも彼のどこが面白いのか分からないという人にはむいていないでしょう。
僕もロビン・ウィリアムズの物真似や即興芸で笑うことはほとんどないんですが、俳優としての彼は嫌いじゃないし、この映画の彼は誰にでも分かりやすい笑いを提供していると思いました。
というのも笑いの大分部が会話や動作ではなく、ドタバタ劇のシチュエーションによる笑いだからです。
主人公がお婆ちゃんに変身する姿やお婆ちゃんからおっさんに戻る姿が滑稽でアホらしく、そしてなにより子供受けするほど分かりやすいです。結構話題になりましたもんね、当時は。
93年公開の映画で、離婚後の家族のあり方が当時はいかにもアメリカという感じがしました。
それが今や日本でもすっかり離婚は普通のことになり、離婚後に親権をどうするかという悩みもすっかりあるあるになってしまいましたね。
一昔前まではあくまでも外国でのお話だったことが、年月を経て日本でも当たり前になっていくのを映画を通じて目の当たりにされるのは不思議なものです。欧米化って避けられないんですねぇ。
男だとどうしてもダニエル側の目線で見てしまいがちで、そうなると彼がなんだかとても子供思いのいいお父さんという錯覚に陥ります。
しかし冷静に考えると、ろくに仕事はしないは、家は散らかすは、家事もやらないはその割りには自分の権利は主張するダニエルはなかなかのダメ男ですよね。
子供といたいならもっと真面目にやれよって話なわけで、子供が好きなのかただ遊ぶのが好きなのか、微妙なところです。
子供好きなことをアピールするだけで、いいお父さんのイメージができてしまう社会も問題ですね。イクメンって呼ばれて喜んでる男とか気持ち悪いですもんね。
若干ミランダのほうを悪者のように描いている印象を受けるけれど、ミランダはなにも悪くないですよ。僕が女でもダニエルとは離婚します。
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