尾行が下手な女が男に付いて行ってまんまとバレる物語。展開が予想通り過ぎて、サプライズが足りない映画です。30点(100点満点)
二重生活のあらすじ
大学院に通う25歳の珠(門脇麦)は、19歳のときに遭遇したある出来事をきっかけに長い間絶望のふちをさまよっていたが、最近ようやくその苦悩から解放された。彼女は一緒に住んでいる恋人卓也(菅田将暉)と、なるべくもめ事にならないよう、気を使いながら生活していた。あるとき、珠は恩師の篠原(リリー・フランキー)から修士論文の題材を提示され……。
シネマトゥデイより
二重生活の感想と評価
小池真理子の同名小説の映画化で、先が読めすぎて興奮がほとんどなく、特にオチが残念です。多少色っぽく仕上げようとしているものの、絡みのシーンの描写が中途半端でがっかりさせられました。
薄っぺらい哲学をテーマに持ち込み、自分自身の存在意義に疑問を持つ悲観的な大学院生がヒロインで、彼女は教授のすすめで無目的の尾行をして論文にまとめる課題に取り掛かります。
選んだターゲットは近所に住む妻子持ちのやり手の編集者。尾行してまもなくして彼に不倫相手がいることを知った彼女は、近所のイメージとは全く違った二重生活を送る男の尾行にのめり込んでいく、というのがあらすじです。
尾行を題材にした映画はこれまでいくつかありましたが、最終的には尾行がターゲットにバレるという点ではだいたいどの作品も共通しています。となると、バレてどうなるんだ、というその先がポイントになり、最大に見せ場になるでしょう。
この映画の場合、見なくてもほとんどの人はどうなるか予想が付くはずです。大学院生の可愛い子が妻子持ちのイケメン男を尾行するとなったら、二人はやがて接近し、男女の仲になるぐらいしかないですよね。
ヒロインの珠はまた尾行が下手すぎて、どんだけ至近距離で後を付いていくんだよって感じでした。あれでバレないつもりっていうのが笑えます。
さてそんなありきたりな筋書きをなぞっておきながら、尾行者とターゲット二人の絡みのシーンをゴールにはせずにあくまでもヒロインの珠の存在意義や人生哲学に重きを置いているのが素直じゃないし、どこか芸術ぶってますね。
尾行の途中で男と不倫愛を道端でワイルドに絡ませたりするわりには、いざヒロインと男がホテルに行ったときは最中に携帯が鳴って白けて行為を中断してしまうというふざけた演出には、ちゃぶ台どころかピアノを二回ひっくり返したくなりました。
白けたらなら早くホテルを後にすればいいものを、ヒロインがまたダラダラと聞いてもない昔の恋愛話をし出す空気の読めなさ具合には絶望を覚えました。
やれ私には昔好きな人がいてとか、やれその人が癌で死んでしまってとか、やれそれ以来虚無感を抱えているだ、とてもホテルでする話ではありませんでした。するにしてもせめて一回やってからにしろって話ですね。
そういえば映画の中では何かと行為が中断するシーンがありますね。電話がかかってきたとか、急に気が変わったとか、誰かが家に帰ってきたとか色々あるけど、現実の世界で裸になって揉みくちゃになってる男女が中断することってそうそうないぞ。
この映画を見ていてふと思ったのは、ちょっと色っぽいシーンがある映画には門脇麦を出しておけばOKみたいなっことになってませんか、最近? 演技ができて、覚悟のある女優が日本には門脇麦しかいないってことなんでしょうか。
これが男だったら池松壮亮で決まりですよね(この映画には出てませんが)。なんで同じ人たちに同じような役柄をやらせるんだろう。そこに何の発見があるんだよ?
コメント
尾行していなくても、主人公は平穏な生活をおくっていないですよね?
なぜ、編集者は家庭が破綻した原因を主人公の尾行のせいにしたのですか?
アホだからです。