9・11をテーマにした感動狙いの映画。見る人によって好き嫌いが真っ二つに分かれそうな家族ドラマで、好きな人は号泣、嫌いな人はサブサブの思いに浸ること間違いなし。39点(100点満点)
ものすごくうるさくて、ありえないほど近いのあらすじ
911の同時多発テロで、大切な父(トム・ハンクス)を亡くした少年オスカー(トーマス・ホーン)。ある日、父の部屋に入ったオスカーは、見たことのない1本の鍵を見つける。その鍵に父からのメッセージが託されているかもしれないと考えたオスカーは、この広いニューヨークで鍵の謎を解くため旅に出る。
(シネマトゥデイより)
ものすごくうるさくて、ありえないほど近いの感想
「愛を読むひと」、「リトル・ダンサー」、「トラッシュ! -この街が輝く日まで-」でお馴染みのスティーヴン・ダルドリー監督による家族ドラマ。
「世界の中心で愛を叫ぶ」とかが好きな人は、この映画を「超感動するから、絶対見てみて」などと友達に勧めそうで怖いです。
突っ込みどころがたくさんあって僕的にはオイシイ映画ではあります。まず一番最初に突っ込みたいところは、9・11を題材にしたら感動的な映画が作れると思うな、ということです。
あれだけ世界に影響と衝撃を与えた事件ですから、それを映画にすればある程度の反響があるのは保証付きです。
事件そのものがショッキングで悲しいから、特に技術や演出の力を持たなくても映画は自然と涙を誘います。
すると視聴者は映画館を出たときになんかとてもいい映画を見たかのような錯覚に陥ります。
しかしそれは大間違いで、目の肥えた映画好きはちゃんと分かってるのです。思わせぶりなだけでストーリーも演出もいただけないな、ということを。
この映画にいい時間帯があるのも事実です。2時間の上映時間の中で10分ぐらいはいいシーンもそれなりにあります。
けれども肝心な最も時間を割いている、ニューヨーク探険の部分が痛い痛い。父親が残した謎を解くためにニューヨーク中に住むブラックという名字の人を片っぱしから訪ねる、という下りがふざけすぎ。
日本でいえば東京に住む「小林さん」を全員訪ねて歩くことに等しいわけですが、史実を基にした映画のくせに、そういう部分があまりにもフィクションすぎて嫌いです。
少年オスカーと言葉を話さないおじいちゃんの会話シーンは特にじれったいですね。だいたいあの老人をプチ聾唖に設定する必要性がまったくないじゃないですか。
ただ単にミステリアスでユニークなシーンにしたかった、というだけで発想が小説好きの女子高生みたいでした。
全体的に主人公の男の子に任せすぎたのが最大の失敗でした。演技、雰囲気に可愛げがなく、喋り方が屁理屈かつインテリクソガキ風なのが鼻につきます。
あれはアスペルガー症候群の子供を描いている、という指摘がありますが、障害うんぬんじゃなくて、オスカーを演じたトーマス・ホーン自体が力不足です。
「それはいつのことだ?」とあるおじさんが聞くと、あのガキは「3カ月17日8時間16分12秒前のことです」などと答えます。実生活でもあんなこと言ってそうで嫌です。日本ではまず確実にいじめられるでしょう。
コメント
映画館で予告を若干見たかしら?よく覚えてないけど、他の予告のほうが面白そうでしたから。
トムハンクスも年を取ったなぁ。。。
トムハンクスに主役をやらせてればもっとよかったんだろうけど、子供に主役をさせたところがこの映画の致命的なミスだと思います。
あの主役の少年はアスペルガー症候群という設定ではなかったですか?
あなたがかわいげがなく、屁理屈を言い、インテリ風くそがきなのが鼻についたのすれば、アスペルガー症候群という病気を持つ人は、その実態を知らない人が見ると、そんな人間に見えるのかもしれないな、と思います。
うちの子にはそんな障害があります。
>あなたがかわいげがなく、屁理屈を言い、インテリ風くそがきなのが鼻についたのすれば、
>アスペルガー症候群という病気を持つ人は、その実態を知らない人が見ると、そんな人間に見えるのかもしれないな、と思います。
確かに、アスペルガー症候群を知らない人が見たら、「ただの我儘ちゃん」としか受け取れないと思います。
「ものすごくうるさくて、あり得ないほど近い」は、アスペルガー症候群はどういう障害なのか、調べてから見れば、見方が違ってくると思います。
映画男さんはこの映画の主人公に対し、文句を言ってるのであって、一言もアスペルガー障害を持つ子がくそがきだとは言ってませんよ。それに障害があろうとなかろうと、くそがきはくそがきですから。
>それに障害があろうとなかろうと、くそがきはくそがきですから。
それでしたら、もし「ものすごくうるさくて、あり得ないほど近い」のオスカーが、
知的障害者や知的障害を伴う自閉症、ダウン症だったら、「障害があろうとなかろうと、くそがきはくそがきですから」だと言えますか?
この映画のマックス・フォン・シドー演じるおじいちゃんは、第二次世界大戦のドレスデン(ドイツ)の空爆を体験して聾唖になった設定ですよ。だからこそ、あのコミュニケーションが重要になるのに、「だいたいあの老人をプチ聾唖に設定する必要性がまったくない。」と書いてしまう、映画男さんの言説は大きな誤りです。
第二次世界大戦のドレスデン(ドイツ)の空爆を体験して聾唖になった設定というのがそもそもこの映画に必要ですか。
ドレスデン爆撃は、作家カート・ヴォネガット・ジュニアも「スローターハウス5」などに書いている、ものすごい殺戮、人災です。その爆撃によって声を失った老人と、9・11(これも人災ともいえる無差別テロ)で父を失ったアスペルガー障害の少年のコミュニケーションだから、いいと思うけど。
なるほど、そういう二人のやりとりだったわけですね。