アカデミー賞で脚本賞を受賞している学園もので、1989年公開の映画ながらいまだ語り継がれる人気映画です。65点(100点満点)
あらすじ
1959年、バーモントの全寮制学院ウェルトン・アカデミーの新学期に、同校のOBである英語教師ジョン・キーティング(ロビン・ウィリアムズ)が赴任してきた。
ノーラン校長(ノーマン・ロイド)の指導の下、厳格な規則に縛られている学生たちに、キーティングは「プリチャードの教科書[3]なんか破り捨てろ」と言い放ち、詩の本当の素晴らしさ、生きることの素晴らしさについて教えようとする。
ある日の授業では、キーティングは突然机の上に立ち、「私はこの机の上に立ち、思い出す。常に物事は別の視点で見なければならないことを! ほら、ここからは世界がまったく違って見える」と話す。
生徒も机の上に立たせ、降りようとした際には「待て、レミングのように降りるんじゃない! そこから周りをきちんと見渡してみろ」と諭す。キーティングの風変わりな授業に最初は戸惑う生徒たちだったが、次第に行動力を刺激され、新鮮な考えや、規則や親の期待に縛られない自由な生き方に目覚めていくのだった。
wikipediaより
いまを生きるは学生向けの青春映画
ピーター・ウィアー監督による、熱血教師と感受性の強い生徒たちの学園ドラマ。全寮制の名門校で厳しい規律の中、学生生活を送る高校生たちがリベラルな教師に出会い、自分たちの生き方を見つめなおしていく物語です。
校則が厳しい学校で学生時代を送った人なら感情移入してしまう内容になっていて、学校教育の不合理さと理不尽さを浮かび上がらせます。
巷では感動する、泣ける、といったことがよく言われる映画ですが、僕的には特にそれほど感情を揺さぶられるシーンはなかったです。時代性もあるのかもしれませんが、今になって見直すと演出が古く、テンポもスローですよね。
一方でこんな先生いたらいいなぁと思わせる、教員の仕事に情熱を持った教師ジョン・キーティングのキャラが際立っていて、彼の役を演じたロビン・ウィリアムズの独壇場ともいえる素晴らしいパフォーマンスが見られます。
ロビン・ウィリアムズの演技はわざとらしさがあるので当たり外れが多く、また人によって好き嫌いが分かれる演技でしょう。けれどもこの作品では見事に役にはまっていました。
ロビン・ウィリアムズ以外では若かりし頃のイーサン・ホークが登場し、美少年ぶりを発揮しています。イーサン・ホークは当時から現在にかけてずっと映画に出演し続けているんですね。
印象的なシーンは、ジョン・キーティング先生が生徒たちに教科書のページを破らせる下りと、詩の意義と深い愛情を生徒たちに説明するシーンです。
この先生は自分が教える教科が心から好きなんだなぁというのが分かって、その情熱が生徒たちにまで伝染していくのが伝わってくるようでした。なかなかいないですけどね、あんな先生。
いまを生きるの名言
本作は名言が多いことでも知られる作品です。
Carpe diem その日をつかめ
ラテン語で「その日を摘め」という意味。英語では「seize the day(その日をつかめ)と訳されていますが、邦題のタイトル「いまを生きる」はこれの意訳したものです。
We don’t read and write poetry because it’s cute. We read and write poetry because we are members of the human race. 私たちが詩を読んだり、書いたりするのは詩が可愛いからじゃない。私たちが人類の一員だからだ。
芸術なくして人類は語れないといったセリフですね。思わず詩を読みたくなってくるようなシーンでした。
No matter what anybody tells you, words and ideas can change the world. 誰がなんて言おうと、言葉やアイデアは世界を変えることができる。
ジョン・キーティング先生は英語の教師だけに言葉の持つ力を強く信じていることが伝わるセリフです。
There’s a time for daring and there’s a time for caution, and a wise man understands which is called for. (物事には)大胆になるべきときと警戒すべきときがある。賢い人間はどちらのときか理解できるものなんだ。
悪ふざけをして罰を受けた生徒に対して、ジョン・キーティング先生が言った言葉です。生徒を叱るときも声を荒げるのではなく素敵な言葉を使って諭すのが素敵です。
「退学になるようなことをするなんて馬鹿げてる。それによって君は貴重な機会を失うことになるんだぞ。俺の授業が受けられるなくなるんだから」
ジョン・キーティング先生の言葉を聴くと、中学校時代の国語の先生のことを思い出します。名言を吐くような先生ではなかったんですが、いつも授業中に授業とは関係のない人生の話をしてくれる情熱溢れる人でした。厳しくて殴られることもあったけど、根は優しかったので生徒たちからは慕われていました。
僕はその先生に自分が見た面白い映画をすすめたりしていました。今思うと、学生の頃から人に映画をすすめるのが好きだったのです。
飛行機事故の生存者が雪山でサバイバルする作品「生きてこそ」を先生に推薦したら、ある日授業中に「あいつがおすすめって言うからわざわざ映画館に見に行ったら、ものすごくつまらなかった」と酷評されて、他の生徒たちに笑われ、恥ずかしい思いをしたのを覚えています。
その先生が転校することになったときはクラスの生徒みんなで大粒の涙を流したものです。青春ですね。
おそらく誰にも一人や二人、学生時代にジョン・キーティングのような教師に出会っているんじゃないでしょうか。この映画を見ていると、ふとその先生の顔が浮かんでくる、そんな作品です。
コメント
斬新な教え方の担任に戸惑いつつも感化され「カーペディエム!」を掲げ、今を生きようとする生徒たち。
「今を生きる」
不自由さの中にいても、自分の頭で思考し決断する自由と、人生の豊かな可能性を教えてくれる。
良い先生との縁は宝ですね。
これ厳格な校則縛りがあるエリート校が舞台だから成立する話だと思うんですが。