未亡人をめぐる未解決事件の謎を追うサスペンススリラー。前半はそこそこ面白いものの、オチが物足りない作品です。39点(100点満点)
白い闇の女のあらすじ
ニューヨークで働く事件記者ポーターは、パーティ会場で美しい未亡人キャロラインと出会う。彼女の夫は映画監督だったが、不可解な死を遂げていた。既婚者でありながらキャロラインと関係を結んでしまったポーターは、情事の後で彼女から奇妙な依頼を受ける。それは、キャロラインの夫が遺したビデオを見てほしいというもので、彼女は何故か警察の調書や現場写真まで持っていた。ポーターは危険な罠だと勘づきながらも調査を進め、やがて事件の核心に迫るが……。
映画ドットコムより
白い闇の女の感想
小説「MANHATTAN NOCTURNE」を基にした、ちょっとした色気と気持ち悪いストーリーをミックスさせた、官能スリラーです。
警察が解決できなかった、とある男性の死亡事件を、凄腕ジャーナリストが調べていくうちに様々なトラブルに巻き込まれ、衝撃の事実を突き止める、といったストーリーにしたかったんでしょうが、ラストがしょぼすぎてがっかりでした。
夫をなくした悲劇の未亡人ヒロインが、若くて金髪のモデル系美人というのがいかにもハリウッドの官能スリラー的発想で、主人公で妻子持ちの男と恋仲になる、という設定がベタでした。
アメリカ人からすると「未亡人」って色っぽいんですかね。僕からすると、そもそも若くて美人な未亡人って存在がレアすぎてピンと来ないんですよ。そんな人一人も会ったことないし。
そんでもって映画の中ではそのイケイケの未亡人がなぜか独身を貫いていて、危険をオーラを漂わせながら既婚男性に近づいていく、というのが決まりのパターンですよね。
この映画の未亡人のヒロイン、キャロラインは目的と行動がはっきりしない女で最後まで結局なにがしたいのか分かりませんでした。
彼女はバーで知り合った汚い男にその場でプロポーズされて結婚してしまい、結婚後その男が変体だったことに気づき、変体プレイに散々付き合わされます。
その時点でただの間抜けな女なんですが、とっとと離婚すればいいのものをなぜかどっぷりその変態男にはまっていく始末で、またそのせいで男は最終的に命を落すことになります。
物語の鍵は二つ。ひとつはキャロラインがジャーナリズム界のドンとホテルの部屋で隠し撮りした動画に一体なにが写っていたのか。もうひとつは誰がキャロラインの夫を殺したのか、ということです。
そのいずれの答えも散々引っ張った割には大したことがなく、たったあれだけの動画ごときのために主人公家族の命が狙われる理由にはなりません。
夫を殺した犯人もありきたりで読めてしまうし、理由は正当だとしても「馬の話」をあそこまでもったいぶる意図がよく分かりませんでした。
「馬の話」とは、キャロラインが子供の頃、馬が欲しいと継父にねだったら、馬をプレゼントしてくれる代わりに継父が自分に馬乗りになって性的虐待をしてきた、挙句の果てには目の前で馬を殺された、という話で、それ自体はショッキングで悲劇なんですが、命の危険にさらされながらも、その話だけは絶対に夫には言わないというキャロラインの心理が理解できませんでした。
その割には今さっき知り合ったばかりのオッサンやジャーナリストにはペラペラ喋るっていうね。口が堅いんだが、軽いんだかどっちなんだよって話です。
唯一の見ごたえがあるのは最初のベッドシーンぐらいでしょうか。あの数秒のシーンのためにこの映画は存在すると言ってもいいでしょう。開始から30分でそのシーンになります。その後は席を立って映画館を出たとしても何も失うものはありません。
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