下手な俳優、感動狙いの演出、甘ったるいセリフだけで構成されている、泣けないし、笑えない駄作。事実を基にしているという以外どこにも魅力がなく、ただ病気で苦しんでいる登場人物を見せられるだけの映画。10点(100点満点)
死にゆく妻との旅路のあらすじ
平凡な家庭を築き小さな縫製工場を営む清水久典(三浦友和)は、バブル崩壊で工場経営が傾き多額の借金を抱える羽目に。がんの手術をしたばかりの妻ひとみ(石田ゆり子)を残して金策に駆け回るが、金策も職探しも空振りの状態が続く。気の休まらない日々を過ごしていたある日、夫妻はあてもなく日本各地をさすらう旅に出る。
シネマトゥデイより
死にゆく妻との旅路の感想
清水久典の手記を基にした、駄目男が病気の奥さんを車で連れまわし、職探しの旅に付き合わす、共感ゼロの映画です。石田ゆり子と三浦友和の役作りが全然できておらず、見ていて恥ずかしくなるレベルです。
石田ゆり子は、末期がんで食事も喉に通らないという設定なのに、全然やせ細っていかないし、「私この役のためにがんばって3キロダイエットしました」とか平気でどや顔で言いいそうで怖いです。
三浦友和は終始表情がなく、ずっと同じトーンで演技しているから、ほとんど感情や状況が伝わってきません。何がしたいのかも、何を考えているかも分からないし、ただ、ぼそぼそ喋っているだけでした。
キャスティングの時点で失敗していますね。邦画ってなんでもかんでも美男美女でキャスティングしようとするから、リアリティーがないんですよ。中年カップルの話なんだったらだらしないおっさんと、どこにでもいるような主婦みたいな俳優を起用すればいいのに絶対にそうしないじゃないですか。
ストーリーも酷いですね。多額の借金を抱えた男が、がんの手術を終えたばかりの奥さんを一人残して失踪し、フィリピン人の女と浮気したかと思ったら、やっぱり奥さんのところに戻っていって、それ以上離れるのが嫌だから二人して車で職探しの旅に出る、というものです。
これを美談にされてもねぇ。奥さんは旦那さんを愛していたのかもしれないけど、旦那は病み上がりの奥さんを置いて若い女とよろしくやってるからね。このくせキャッチコピーが「2人でいることが、なぜ罪になるのですか?」って。死ぬ間際に一緒にいただけで、それまで20年以上結婚していたのにデートも一度もしたことがないなんて奴が夫婦愛語るなって。
この映画が事実にどこまで忠実に描かれているのかは当人にしか到底分かりませんが、オンボロのワゴン車で日本各地をダラダラ旅するカップルの姿をカメラが追うんだったら、せめて景色ぐらいもっといい絵を撮ろうよって話なんですよ。なにあのカメラワークは。全部同じ高さからしか撮ってないじゃん。
脚本はしつこくし、同じセリフの重複がひどいですね。あの女は何回「おっさん」って言うんだよ。ただ「おっさん」って言いたいだけじゃん。
最初の10分で結末が見えてしまうのも痛いですね。末期のがんの妻が旅行するっていうだけで、最後に彼女が死んで終わり、というラストがミエミエなんですよ。
あれなら最初の10分ぐらいで妻が死んで、残りは未亡人になった夫の心情を描くとかのほうがよかったです。妻が死んだ途端に吹っ切れて速攻でフィリピンパブに行ってたら文句なしでした。
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