ドイツ検事とモサドによる元ナチス親衛隊アドルフ・アイヒマンの逮捕劇をつづった政治ドラマ。モサドの作戦よりもドイツ人検事長フリッツ・バウアーの活躍にフォーカスしている作品で、エキサイティングさに欠けます。44点(100点満点)
アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男のあらすじ
1950年代後半のフランクフルト、検事長フリッツ・バウアー(ブルクハルト・クラウスナー)は、ナチスによる戦争犯罪の告発に奔走していたが、捜査は難航していた。ある日、ホロコーストに深く関わった親衛隊中佐アドルフ・アイヒマン潜伏に関する情報を入手。バウアーは、ナチス残党がいるドイツの捜査機関ではなく、イスラエルの諜報(ちょうほう)機関モサドに情報提供しアイヒマンを追い詰める。
シネマトゥデイより
アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男の感想
「僕たちは希望という名の列車に乗った」のラース・クラウメ監督による、イスラエルの諜報機関モサドの功績として語り継がれているアドルフ・アイヒマンの逮捕劇の裏側を描いた作品です。
物語の大部分を彼がいかに国内外の圧力に屈せず、アドルフ・アイヒマンの逮捕のために奔走したかをつづっています。
僕はスパイやモサドの話が結構好きなので、本などでアドルフ・アイヒマンの逮捕については何度も読んでいました。なんでも元ナチス中佐のアドルフ・アイヒマンは戦争裁判にかけられるのを恐れ、戦後アルゼンチンに逃亡し、長年偽名で生活していたそうです。
アドルフ・アイヒマンはアルゼンチンに家族を呼び寄せ、子供を育て、ごく普通の生活を送っていたようです。アルゼンチンは多くの元ナチス軍人の逃亡先としても知られていたにもかかわらず、世界各国の諜報機関が長年静観してきた経緯があります。
そんな中、ユダヤ系ドイツ人検事長フリッツ・バウアーのもとに信憑性の高い一通の手紙がアルゼンチンから届き、アドルフ・アイヒマンの潜伏を知り、彼を捕まえることができるのはモサドだけだと信じて秘密裏でモサドとコンタクトを取る、というのがストーリーラインです。
この逮捕劇がすごいのは、モサドが諜報員をアルゼンチンに送り込み、アドルフ・アイヒマンを拉致、誘拐し、イスラエルに無理やり連れてきた点にあります。
その間アルゼンチン政府には一切報告せず、捕まえた犯人を旅客機に乗せて、イスラエルまで輸送するというスパイ映画みたいなことが本当に行われていたそうです。
その逮捕劇の詳細がこの映画で描かれていればもっとドキドキと興奮があったことでしょう。しかし実際モサドの活躍にはほとんど触れておらず、あくまでも検事長フリッツ・バウアーがしかめっ面しているシーンにばかり時間が割かれていて、いまいちでした。
また、検事長フリッツ・バウアーとそのパートナーが同性愛者だとか、どうでもいい一面を追いかけすぎていてテーマからずれるのが残念です。アドルフ・アイヒマンの人間性にも全く触れていないし、邦題の「アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男」はあまり作品の全体像にマッチしているとは言えないですね。
それにしても当時のドイツは同性愛が禁止だとか、モサドと取引したら反逆罪だとか、いろいろと理不尽な法律がまかり通っていたんですね。それよりも自動車の中や建物内ではタバコを吸ってはいけない、という法律を作ったほうがよかったですね。フリッツ・バウアーの副流煙だけでも何人か死んでますよ絶対。
コメント
フリッツバウアーに
視点を置いた作品で
彼の人物像などを
描いた作品だから。
日本ではもちろん
ドイツ人さえ
知らない人が多い人物で
アイヒマンはこの作品では
副菜。
これを観てから「オペレーション・フィナーレ」を観たら面白いですよ。Netflixでやってました。
まさに、モサドの実行部隊を克明に追った映画です。
アイヒマンを拉致する瞬間のシーンなど、続きものかって思うくらい同じ感じで描いてました。
二つ合わせて観たら結構良い感じでした。
オペレーション・フィナーレ見てみます。ありがとうございました。