アメリカで異人種間の結婚が違法だった時代の、あるカップルの苦悩と法との戦いを描いた裁判ドラマ。
アメリカの闇の歴史を知るうえではいいかもしれないけれど、物語自体はつまらないです。40点(100点満点)
ラビング愛という名前のふたりのあらすじ
1958年、大工のリチャード・ラビング(ジョエル・エドガートン)は、恋人の黒人女性ミルドレッド(ルース・ネッガ)の妊娠をきっかけに結婚を申し込むが、当時バージニア州では異人種間の結婚は違法とされていた。
二人は法律で許されるワシントンD.C.で結婚し、地元で新婚生活をスタートさせるが、突然夜中に保安官が現れ逮捕されてしまう。彼らは離婚するか生まれ故郷を捨てるかという耐え難い選択を迫られ……
シネマトゥデイより
ラビング愛という名前のふたりの感想
「テイク・シェルター」、「MUD マッド」などで知られるジェフ・ニコルズ監督の差別ドラマです。いわゆる黒人差別映画で、1967年に異人種間の結婚を禁止する法律を違憲とするきっかけを作った、ある夫婦の訴訟を取り上げています。
1967年までアメリカでは堂々と州が人種差別の法律を施行していたなんていうとんでもない話で、現代にまでつながるアメリカの人種問題の根底が伺えるストーリーになっています。
ストーリーは、白人男性のリチャード・ラビングが黒人の妻ミルドレッドとの間に子供を授かり、結婚するところからスタートします。
幸せに暮らしていた夫婦のところに突然夜中に保安官が押しかけてきて、二人は連行され、牢屋にぶち込まれ、挙句の果てには有罪を言い渡され、離婚するか、25年間バージニア州に二人一緒に入ってはいけない、といっためちゃくちゃな判決を言い渡されてしまいます。
二人は収監されるのを避けるために当時から先進的だったワシントンDCで結婚生活を始めますが、大自然に囲まれた故郷での生活が忘れられず逮捕されるのを覚悟で地元に戻ってきます。やがて人権団体や有能な弁護士を味方に付け、バージニア州で下された判決を最高裁にまで上訴する、というのが話の流れです。
ちょっと前までアメリカでこんなことが起こっていたなんて本当に信じられないですね。ただ、法が改正されようが、異人種の結婚が増えようが、アメリカの一部の地域の閉鎖感と人々のメンタリティーは今もほとんど変わっていないでしょう。
現代に至ってもアメリカではことあるごとに人種をめぐる暴動や衝突が多発し、自分たちももともとは移民のくせに外国人を毛嫌いするなど、問題が根強すぎて今後数百年ではとても解決できそうもないです。
本作は実在する人物を基に作られているそうですが、お馴染みの「真実の物語」や「このストーリーは事実に基づいています」的なテロップは冒頭に流れませんでした。
おそらく相当脚色したんじゃないのかと思います。じゃないとテロップを載せない理由がないしね。例えば妻のミルドレッドが妊娠中に、一緒に入ることが禁止されているバージニア州に夜中に車で忍び込んだ下りとか嘘臭いですもんね。
家族がいるところで出産したいんだったら、家族をワシントンDCまで呼び寄せればいいじゃんって話なわけで、妊娠中のデリケートな期間にあれほどのリスクを背負う意味がよく分かりませんでした。
ハリウッドの黒人差別映画って、黒人はみんないい人ばかり、という描き方をしますよね。そんでもって差別被害者の可哀相な黒人をかばう優しい白人たちが物語の後半に登場して、彼らが黒人を救うというのがパターンになっています。差別を批判するはずの映画が、気づかないうちに偏見丸出しの設定や内容になっているのがなんとも皮肉です。
ラストにはリチャード・ラビングとミルドレッドの実際の写真が登場し、彼らのその後の人生が文章で説明されます。リチャード・ラビングは数年後酔っ払いの運転手に車をぶつけられ、交通事故で亡くなったそうです。
ただ、あそこであの説明を入れてしまうと、人種間の結婚は厳しく取り締まるくせに飲酒運転はしてもいいのかよって、取り上げるテーマが変わってきちゃいますね。あの説明はいらないです。
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