人気俳優池松壮亮と菅田将暉が共演した、登場人物がただぼーと話すだけの青春ドラマ。脚本と二人の演技が良く、スローな漫才を見ているようです。68点(100点満点)
映画セトウツミのあらすじ
性格は正反対だがどこかウマの合う高校2年生の内海想(池松壮亮)と瀬戸小吉(菅田将暉)は、放課後にいつも河原で話をしながら暇つぶしをしている。くだらない言葉遊びや、思いを寄せる女子へのメールの内容、時にはシリアスなことも語り合う。そんな二人を見守る同級生の樫村一期(中条あやみ)に瀬戸は憧れているが、樫村は内海に好意を抱いており……。
シネマトゥデイより
映画セトウツミの感想
同名漫画を基にした、日本映画の中では数少ない、ほぼ会話だけで成立させている質の高い映画です。複数のショートストーリーによって構成されていて、ちゃんとひとつひとつにオチがあるのが見事でした。
監督は「さよなら渓谷」などで知られる大森立嗣監督で、脚本や演出はすごいの一言に尽きます。間の取り方とか、会話のかぶせ方とか、最初のセリフが最後につながっていくところとか、緻密な計算がされているのが分かります。
物語は放課後に仲良しの高校生が座ってお喋りをするだけ。それで1時間15分退屈せずに見られるんだから相当クオリティーが高いと言えます。
大部分のシーンを河原で固定のカメラで撮影していて、ほとんどロケにお金がかかっていないところもいいですね。本来ならこういう低予算、会話中心の映画が日本にももっとあるべきなんです。新人監督ならなおさらこういう映画から挑戦していって、徐々にスケールを大きくしていけばいいんですけどね。キャストだって、なんだったら二人だけでいいんだし。
ただ、日本人監督、あるいは脚本家の最大の問題は、ほとんどの人がまともな脚本を書けない、という点ですね。なかなかここまでリアルで、ユーモアがあって、構成力のあるストーリーやセリフを考えられる人はいないですよ。
人気の若手俳優、池松壮亮と菅田将暉のコンビも良かったです。息もぴったりだったし、下手な漫才師とかよりもよっぽど面白かったです。高校生にしては賢すぎる二人でしたけどね。もっとアホでしょ、高校生って。
菅田将暉は演技が自然で上手いですねぇ。日本も菅田将暉ぐらいが平均レベルになってくれればいいんですけど。一方で最近どの日本映画を見ても、この二人が出ているのには危機感を覚えます。人気が出ると、その俳優だけにオファーが集中するのが、いかにも日本らしくて、とりあえず売れている人を使っておけばいいみたいな雰囲気が嫌いです。
俳優たちも俳優たちで作品を選ばないですよね。せっかくいい俳優なのにしょうもない映画に出てたりするでしょ。事務所の関係とかで選べないのかもしれないけど。
この映画に関してはほぼ文句をつけるところもないんですが、ひとつだけ見逃せない大きなミスがありました。それはヒロイン、樫村一期が中条あやみだということです。
なんでも樫村一期は由緒正しいお寺の娘なんだそうですが、なんでそんなお寺の娘にイギリス人ハーフの中条あやみがキャスティングされているんでしょうか。
ということは住職の奥さんは外人っていうことになりますよね。不可能ではないでしょうがかなりレアだし、むしろそっちのエピソードが知りたいわってなるんですよ。
白人系外国人の女が仏教徒なのかよって思うし、住職と奥さんはどこで知り合ったんだよってなりますよ。住職が海外研修にでも行ったときなのかなぁ。
お願いだから、ストーリーと関係ないところで、そういうくだらない想像をさせないでもらいたいんですよ。中条あやみを使いたいんだったら、お寺の娘という設定を捨てればいいだけなのに。せっかくいい映画なんだから、そういうところにもこだわらないと。
コメント
中条あやみさんについてですが。
なにも知らずに見ればなにも気にかかりません。
知っていても、樫村さんがハーフということにはならないはず。
文句のつけかたが無理矢理な気がするんですが。
確かに中条あやみポーリンはミスキャス。
池松君ちょっと好きになりました。