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映画恋人たちは名作で、出演者たちは天才!感想とネタバレ

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この記事は 約6 分で読めます。

koibito

無名俳優による素晴らしい演技、完成度の高い脚本、リアルすぎる演出が冴えまくっている、邦画の歴史に残る名作。すごすぎて、もっと有名になっていないとおかしい映画です。91点(100点満点)

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恋人たちのあらすじ

橋梁点検の仕事をしているアツシ(篠原篤)には、愛する妻を通り魔殺人事件で亡くしたつらい過去があった。自分に関心がない夫と考え方が違う姑と生活している瞳子(成嶋瞳子)は、パートの取引先の男と親しくなったことから平凡な日常が変わっていく。エリート弁護士の四ノ宮(池田良)は友人にひそかな思いを寄せていたが、ある日、誤解が生じてしまい……。

シネマトゥディより

恋人たちが高評価な理由はこれだ!

ぐるりのこと。」の橋口亮輔監督による、神がかかっているハイクオリティーな群像劇です。とにかく俳優たちの演技が素晴らしいです。こういう奴いるよなぁ、というキャラクターばかりで、演技じゃなくて実在する人物なのかと眼を疑うでしょう。

それにしてもあんなすごい俳優たちを一体どこで見つけて来たんだろう。みんな上手いんですよ。一人や二人ならまだしもほぼ全員ですからね。

なんで彼らが有名になっていないのか疑問で、逆に腹が立ってくるほどです。今こそ人気映画俳優たちと本当に実力のある俳優たちを総入れ替えするべきなんですよ。

どうやってあんなリアリティーを出すために演技指導したのか想像もつきませんが、よっぽど監督が一人一人の俳優と向き合って撮ったのでしょう。橋口亮輔監督のインタビューを読むと、その辺の撮影の裏側についても語っています。

>>橋口亮輔監督のインタビュー

皮肉やユーモアの使い方が絶妙で、ワンシーンワンシーンにしっかりオチや見せ所があります。無駄なシーンが全然ないため、2時間20分という長尺も全く気にならないし、夜遅くに見ても興奮して寝落ちすることはないでしょう。普段寝るのが早い僕でも深夜1時半ぐらいまで、お目々ぱっちりでした。

ストーリーは、複数のエピソードが巧妙に絡み合っていきます。三人の登場人物を中心に、彼らのやるせない生活を映し出し、彼らの恋人を通じて、様々な心境をつづっていました。

「恋人たち」というタイトルがぴったりで、脇役として登場する人物たちもそれぞれ自分のパートナーとの関係に悩み、苦しみ、また喜んでいく姿がメインのストーリーを邪魔しない程度に描かれています。

同時にとても日本らしさが出ていて、現代の様々な社会問題を浮かび上がらせているのが見事でした。全体的に重い内容だけれども、笑えるエピソードが多いため、息苦しさが和らいでいくのが不思議でした。

名シーンを挙げていったらキリがないんですが、特に僕が気に入ったシーンを紹介したいと思います。

映画恋人たちの名シーンの数々

1、元女子アナの話

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元女子アナが旦那に愛想をつかせ、挙句の果てには結婚詐欺で訴えてやると言い出す、支離滅裂なシーンがすごいです。なんでもこの元女子アナによると、彼女自身が素晴らしすぎて一緒にいられるだけでも男は相当な利益を得ているんだそうです。だって元女子アナだから。

2、瞳子と旦那の関係

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瞳子の旦那は彼女とほとんど言葉を交わさず、性欲が溜まったときだけ何も言わずに合図をします。そして二人はただの性処理とも言える味気ない行為をするのでした。

あの二人の感じはやばいですね。リアルです。こういう日本人のカップル絶対いますよ。夫が禿げてて、いかにもダメ男そうなところがいいです。それも自分がやりたくなったのに避妊具は妻に買いに行かせるという怠けぶりも最高です。

ああいう夫婦の形を描ける監督って今まで日本にはいませんでしたよね。美しくもなければ、色気もない、ただの排泄。映画で見たら笑っちゃいますが、おそらく他人ごとではない夫婦は多いはずです。

3、美人水

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スナックのママが水道水をペットボトルに入れただけの水を「美人水」と謳って高額で販売しているのが笑えます。本当かどうかは分かりませんが、彼女の自慢は元準ミスであることです。「準」というのがいいですね。グランプリじゃないんだっていう残念さが滲み出ていて、彼女の雰囲気や外見とマッチしていました。

ママは美人水をねずみ講のように売っていて、それで一儲けしてやろうといった、あくどい野望を抱いています。このシーンにしても、ただの笑いでしかないけれど、なんの根拠もない水素水とかに毎月何万円も使っている人たちが大勢いることを考えると、決して笑えないんですよね、日本の現状って。あのストーリーの中にはそういう皮肉も込められているはずです。

4、瞳子と不倫相手の絡み

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瞳子はひょんなことから、パートの取引先の男と親密な関係になり、寝てしまいます。ベッドシーン自体は省かれていましたが、その後のシーンがやばいリアルです。

上半身裸でタオルを首にかけた状態の瞳子が、男のために冷蔵庫から冷えた飲み物を持ってきて、二人して上半身裸のまま世間話を始めるのです。そのとき男は何気なく瞳子の乳首をいじくりながら、普通の話をします。そこに胸があるから触るといった感じがリアルです。

あのシーンもすごいですね。そもそもあそこまで描こうとする監督がいないじゃないですか。リアルすぎて度肝抜かれました。俺もたまにああいうことするし、っていう男性視聴者も少なくないはずです。

5、カップルの立小便

幸せなカップルの象徴として、この映画の中で描かれているのが、酔っ払ったカップルがへべれけになりながら道を歩くシーンです。男のほうが「ちょっと小便したい。ここでしていい?」と聞くと、女は「いいよ、じゃあ私見てるからね」といって彼氏が小便をしているところを嬉しそうに覗き込んでいる、というシーンです。

酔っ払っていることもあって男も女も嫌がることなく、小便の最中ずっと二人は寄り添っています。その一部始終を主人公が後ろから見て感心しながら自分と恋人との関係と重ね合わせている、というシーンです。

これが下手な恋愛映画だったら、愛の象徴として使われるのは、余命わずかな病気の女のもとに必死で走っていく男のひたむきさだったり、女の命を守るために悪者に立ち向かっていく男の勇敢さだったり、といったベタな演出に終わっているところでしょう。

でもそんな手段は使わずに、他人からしたら不潔で非常識なことでも、恋人の間では美しい行為になりうるんだよ、というのを立小便のシーンを使って表現しているところに監督のものすごい才能とセンスを感じました。

ああ、こんなふうにいいシーンを挙げてたら、もう一回見たくなってきた。

コメント

  1. エロい人 より:

    こんにちは。
    僕もこの作品が好きで何度も映画館で観てしまいました。
    とにかくあの中年女性が素晴らしすぎる、ほんとにリアルな名シーンが多いです。
    旦那との愛のないSEX終わり、濡れタオルで股だけ拭いたり、タバコ吸いながら野ションベンして、タバコの火をションベンで消したり。

    しかし1番素晴らしいのは映画男さんも挙げられてる通り乳首コリコリシーンです。
    あれは映画史に残る名シーンだといっても過言ではないと思います。

    ローマの休日が素敵なんていってるカルパッチョOLにはわからないでしょう。

    乳首コリコリはやっちゃうんですですよねー、
    あのあと舌で転がし出したら2ラウンド目したくなるんですよね(笑)

    • 映画男 より:

      エロい人さん

      タバコ吸いながらの座り小便のシーンも笑えましたね。本当にいい映画だったと思います。

  2. 加藤 より:

    弁護士と主婦と橋梁点検士の恋を巡る群像劇。職業?のピッキングだけでユニークだなー。さらにゲイ、皇室マニア、通り魔、というタームが抉る!仰る通り、各プロットがまるでショートコントか小話になってツリー状となり展開。仰る通り、小話が名話になっていて、その尽きない話力が凄いですよね。「確実に相手のステータスを与えたじゃん、だって私、女子アナだよー!」というキラーフレーズの破壊力に参りました。あと情事のあとの女の胸を淡々とまさぐり会話をする男の事情とかね(笑)。一々ですが、映画男さんの仰る通り(笑)、俳優さんがハマり過ぎて過不足なさすぎて、映画であることを忘れて現実を見ている抉さ(笑)。

    マジ、頭から列挙したくなりますね、こいつら小話どもを(笑)。弁当屋のキレる女を取り囲むパートの会話とか、鶏肉のもも肉注文がどーとか筑前煮がどーとかの弁当屋ネタもひたすらリアルだし、ネタを列挙してどーしよーもない日常の溜息が失笑する連続です。

    キモ(キメ)はやはり、女子アナのオチのダメ話しを聞いて傷心を癒したり、ダメ亭主の避妊セックスが惰性化していたのに、中だしでいいんじゃん、夫婦だろの一言でホロッとしちゃったり、酔っ払った恋人同士、男が立ちションをして女が肩越しにそれを嬉しそうに見ている、のを見て自棄傷心を慰めるキッカケにしたり(男と女はこんくらいの単純なダメ関係がきっと幸せなんや)、という映画の抽象化を許さない、現実の見落としを確認させる優れた描写に舌を巻くしかないですね。少しだけ、つげ義春を思い出しました。

    ■映画男さんの評論を僕が買う二つの理由。

    一つ目は、映画男さんの評論は映画は映画だけで見極めろ!というアティチュードがまず最優先されている。ややすると、評論は風呂敷を広げて深読みして自慢するもんです。実は僕もそうなんです(爆)。その馬鹿さ加減を暴露するのが、このサイトの価値だと思います。抽象化して読む癖をまずは裸の具象だけで見極めろとする、原点回帰ですよ。だから、セリフとか行動とかツッコミまくりますよね。抽象化するのは僕は大切な知的作業だと思いますが、原点を抑えてなければ滑稽です。そのことのお叱りをたくさん浴びた気がするんですよね(笑)。凄く勉強になるんですよ。

    二つ目は、空気を読むな、映画を読めですね。これは長い間、日本に篭って日本人していると、身に染みた空気読みの文化というか垢が知らずに発動しているわけで、映画男さんが日本を捨てて放浪されている(笑)という破天荒なライフスタイルから窺える空気は読まないが映画を読むアティチュードが確立されている(笑)。というのをヒシヒシと窺い知るわけですよ。えーと、なかなか日本に居て日本人してると捨てられないんです、この垢が。イノベーションが日本でほぼ発動されないのは空気を読むからだと指摘されてます(笑)。まーイノベーションが偉いとは思いませんけど、傾向として抑えておくと、ですね。トマト何とかとかいう外国の映画評論サイトは日本では起こりそうもないのは、日本的な空気を読む癖が邪魔をするみたいです。あと、基本的にこうした流れからクリティカルな部分が弱い傾向もあると思います。ということを、映画男さんの評論を深読みすると(爆)感じちゃうんですよね。

    三つ目は(あれ、二つじゃなかったっけ?まーいいや)、淡々と続けることです。継続は力なり。映画男さんはバッシングされても、気にせず、淡々と書く。これも実は出来そうで出来ないことです。もはや、というより実は才能です。普通はモチベーションを大切にして人は好感度上げて続ける処世術を心がけますよね。でも、モチベーションに依存する人は、たいてい継続力がないんです。風にも負けず雨に負けず、淡々と続けるひとが続くんです。その見本だと僕は思います。すみません、モチベーションあげてしまいましたね(爆)。

    失礼しました。

    • 映画男 より:

      加藤さん

      コメントと詳細な分析ありがとうございます。この映画のひとつひとつのエピソードは、本当によく作りこんでますよね。見ながら感心しちゃいました。

      いつもブログのことをベタ褒めしてくださってありがとうございます。ブログを続けていくうえで、大変励みになります。

  3. looool より:

    やっぱ邦画ごみだわw

  4. 井村 より:

    他の90点の作品より圧倒的に面白くなかった

  5. yhyh_jx より:

    こんにちは。初めてコメントさせていただきます。
    いつもブログ拝見させてもらっています。ずっと映画男さんの”恋人たち”のレビューをみて気になっていて、最近見たのですが 素晴らしいシーンの連続で驚きました。個人的にはゲイの弁護士の松葉杖で影をなぞるシーンや、ギブスの文字を真っ二つに回転ノコギリで切られるシーンが うわぁって声を出すほど感心してしまいました。瞳子の排泄セックスのシーンでも、コンドームを買いに行くのがコンビニじゃなくて自販機っていうのがまたいいですね。
    映画男さんのレビューを見てこの映画を見つけることができてよかったです。ありがとうございます。

  6. 映画にわか より:

    この映画ホントに良かったです。私は最後の青空を見上げるシーンが好きです。

  7. アオヤンマ より:

    これは、観てみなければ、と思います。