「死霊のはらわた」、「蜘蛛の巣を払う女」などのフェデ・アルバレスが監督した、3人の泥棒VS盲目の退役軍人による室内型ホラー映画。単純明快なストーリーと密室でのバトルが面白く、娯楽ホラー映画として十分に楽しめる作品です。65点(100点満点)
ドント・ブリーズのあらすじ
養育放棄の両親と暮らす不良少女ロッキーはいつの日か共にここから抜け出そうと妹に約束していたが、そのために必要な逃走資金を得られるあてはなかった。
ボーイフレンドのマニーから地下室に金庫を持っているらしい視覚障害者宅への強盗を持ちかけられた彼女はマニーと友人のアレックスの3人で真夜中に盲目の男性の屋敷に押し入るが、そこで彼らは実はこの男が超人的聴覚を用いて自宅への侵入者を仕留めていく連続殺人者だったと知る。
果たしてロッキーとアレックスは、即座にマニーを殺害した盲者の追撃を回避して悟られることなく静寂を保ったまま密室の家屋から脱出できるのか。
wikipediaより
ドント・ブリーズの感想
シンプルで万人受けしそうなホラー映画です。怖いというより、エキサイティングな作品といったほうがいいですね。
ストーリーは、空き巣を繰り返す不良少年少女3人組がある日、盲目の退役軍人の家に大金があるとの情報を入手して家に忍び込むものの、家の中に閉じ込められ、ぶっ飛んだ退役軍人のおっさんから恐怖を味わう、というものです。
おっさんには実は暗い過去があります。戦争で視力を失ったというだけでなく、交通事故で一人娘を亡くしているのです。その一人娘を車でひいた女性は、金持ちの家庭の人間だったことから事故はお金で解決されました。不良少年少女3人組が狙いを定めたのはほかでもないそのお金だったのです。
しかしおっさんを良く見ると、体は筋肉ムキムキでかなり強そうです。格闘技にも長けていて、戦場の経験もあるため殺し合いとなればプロ。まるで「北斗の拳」のキャラクターみたいでした。
そんな相手を完全に舐めてかかった若造3人たちは、夜遅くおっさんが寝ている隙に家に侵入したのはいいものの、すぐに気づかれて、反対に家の中に閉じ込められてしまうのです。
耳をすませ、臭いをかぎつけながら銃で襲ってくるおっさんから、果たして3人は無事生きて家の外に出られるのか、というのがこの映画の見所です。
ドント・ブリーズのタイトルの意味
タイトルの「Don’t Breathe(ドント・ブリーズ)」は「息をするな」という意味です。物語の内容とぴったりですね。主人公たちは盲目のおっさんに気づかれないように終始息を潜めて行動しようとします。その様子がまさに「Don’t Breathe」なのです。
ただ、息をしなければおっさんに気づかれないかといえばそうじゃなく、おっさんは鼻も鋭く、人の気配にも物音にもかなり敏感で、ときどき「絶対、目見えてますよね」といいたくなるほど、正確かつ俊敏な動きをします。
おっさんがあまりにも強すぎて途中で笑えてくるレベルです。あの辺はいかにもアメリカンな都合のいい設定ではあるものの恐怖を演出するには仕方がないのかもしれません。
ドント・ブリーズのネタバレ
ストーリーは前述した程度で、物語の大部分は登場人物たちが室内を行ったり来たりしているだけの、よくある室内型ホラー映画です。
ホラー特有のネタバレといえば、おっさんの家に娘をひき殺した加害者の女が実は拉致監禁されていた、という下りでしょうか。女は両腕両脚を縛られ、壁からワイヤーで吊るされています。そしてあろうことかおっさんの子供を妊娠していたのでした。
おっさんは、失った娘の寂しさを取り戻すために子供を女に産ませようとしていたのです。ところが不良グループを殺そうとしたときに誤って女を殺してしまい、次なるターゲットを不良グループの女の子に定めます。
女の子の手足を縛り、なにが始まるのかと思いきや、おっさんはフラスコから冷凍保存された精子を取り出してきて、人工授精を試みる、という恐ろしくかつ滑稽なオチが待っています。
あんなに簡単に素人が人工授精できるのかどうかは甚だ疑問ですが、いかにもホラー映画のネタになりそうな話ですね。散々滅茶苦茶なことをしてきたおっさんが「俺は乱暴はしない」と言い出したり、家を荒らしに来た若者たちが事故の加害者の女性を救出しようとしたり、ところどころで不均等なモラルが顔を出すのがちょっとアンバランスでした。
そのアンバランスさのせいか、物語を追っていくと、いつの間にか誰が悪者で、誰が被害者なのかよく分からなくなってきます。どっちを応援していいのかもよく分かりません。冷静に考えると、登場人物はみんな悪い奴らっていうなかなか珍しい映画です。
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